2007年12月30日日曜日

Free Universityは無理だろうか?

今年も歳末である。しかしe-Learningはなお道遠しである。

統計分析こそ一歩一歩ではあるが、e-Learningサービスの水準を上げてこられたが、なお感性には程遠い。人間一人でできることは限られているし、どれほど特定分野の内容を充実しても、統計領域だけでカリキュラムが構成されるわけではない。バランスよく多くの科目でe-Learning化を進めない限り、全体としての魅力は上がるまい。

以前勤務していた役所の先輩で金沢経済大学に転じたN氏に連絡をとって、先方のネット教育への取り組みを聞いてみた。すると「以前にも内部でシステムを開発したことがあるが、使い勝手が悪く今では利用者はほとんどいなくなった。」とのことである。

システムは日進月歩だから内部で資金・労力を投入しても直ぐに陳腐化するのが大問題である。恒常的にメンテナンスが続くものと覚悟しないといけない。これは個別の大学で大規模な資金を投入してネット教育の充実を検討するときに主たるリスク要因となる。大学全体ならまだスケールメリットが期待できるが、個別授業の担当教員がコンテンツを編集する時は、長期にわたるメンテナンス作業には耐えられないという厳しい現実が全ての与件となる。かくしてコンテンツの蓄積は遅々として進まないが今の現実だと言えよう。しかも人材の交代は大学では日常茶飯事であり、加えて大学での仕事は個人ベースで進められ、柱になる人材の流出は直ちにその大学における当該業務の停滞を意味する。そのことが予め予見されているので、本腰を入れたプロジェクトチームが中々作動しない。ゲーム理論でいう「囚人のディレンマ」である。

初夢にはまだ数日があるが、<フリーユニバーシティ>という目標の下、大学を跨って多数の人材がインターネット配信授業をサーバーに集約し、体系化した上で公衆に向けてネット配信授業をフリーで公開してはどうだろうか。

規制緩和といえば聞こえはいいが、たとえば今はロースクールを受験するにも予備校での補習が必要になりつつあり、更にDVD、WEBなどマルチメディア教材が大変高い価格で予備校から販売されている。高等教育へアクセスできる経済的能力に近年の所得格差が反映されつつあることは随分前から指摘されているが、大学に続いてロースクールも金がなければ受験勉強も満足にできない<贅沢な職業選択>になりつつある。法律専門職は社会全体が必要としている公共性の高い職業であるにもかかわらず、広く人材を求められる社会システムになっていない。

知的財産をビジネスに活用することは一面望ましいものではあるが、本来公共の資産とするべき専門教育に経済的理由のために多くの者がアクセスできない社会は発展できるはずがない。それと言うのも、教育産業が規制産業であり、価格が自由化されていないこと、ブランドバリューが過度に形成され、参入が自由でないところに様々の歪みの原因があるのだと思われる。

多くの学問領域について自由に視聴できる授業を大学が自らの責任として一般に公開していくことは大学という組織の存在意義でもあると思うのだがどうだろう。そうしたリソースを管理運営するサイトを望む潜在的なニーズは一層高まっていると思うのだ。もちろん在学生からは授業料を徴収しているわけだから正規の教育サービスとの区分けをする必要はある。一方で授業料を徴収しながら、その資金を活用してフリーのネット教育を運営するわけには行くまい。授業料は在学生に対する教育サービスとして還元するのが筋だ。

それはそうなのだが、教育産業をとりまくこのところの社会状況は悲嘆にくれる域に達している。

2007年10月26日金曜日

CSSによるレイアウトをやってみた

勤務している組織のホームサイトを任されることになって今月は本当に大変だった。年間スケジュール上、11月からサイト閲覧者が増えると予想され、とにかく突貫工事を余儀なくされたわけだが、その過程でテーブルタグを使ったレイアウトでなく、今風のCSSによるレイアウト制御を勉強してみた。

まあ、CSS入門者にしては結果オーライと言うところだが、やっぱり文法と動作との対応を頭に入れるにはかなりの時間を要しましたネ。しかも、大きく分けてIEとFirefox、WindowsとMacが混ざり合って、それぞれが微妙に異なった表示をする。時には重複するブロックにかけたbackground-colorが異なった現れ方をする。要するに、言語としてはどうにも柔らか過ぎて、芯が無いと言うか、記述と動作が結びつかない。ずぶずぶと沼の底に沈んでいきそうな頼りなさを感じたことは否めない。

とまあ、このように不満は多々覚えたのが事実ではあるけれど、メンテナンスは見通しが良くなったので相当楽になるような気がする。

何よりもコンテンツを書いているときは文書の基本構造だけを考えながらマークアップを入れていって、ブロックわけしてから、レイアウトのデザインという風に作業手順が整理されることは最大の妙味だと言いたい。

2007年10月12日金曜日

Aflaxは使えそう

OBSホームサイト編集をまかされるようになって、まずはトップページをリニューアルしようと時間を費やしている。統計e-Learningまで時間が回ってこない。とはいえ、10月中にはあらかたケリをつけないといけないと思っているので、こちらの作業も再開間近だ。

とりあえず9月中ごろからFlashで新鮮味を出しているが出来はよくない。と、そんな時、AptanaAflaxをいじってみた。大分前にインストールだけはしておいたのだが、中々使えそう!FlashをJavascriptでねえ・・・いいのではないか。開発者が同一人物。そうか!というところ。

2007年10月1日月曜日

労力は必ず報われる

専攻内FD研修会に出た。今年度前期の授業評価結果を見た。

元々、統計シミュレーション機能をWEB上で利用させていたりして<Eラーニング>項目のスコアは高かったが、今回の結果は4.8だった。ビジネススクールとはいえ比較的多い履修者30人の平均値だから、相当数の学生は満点である5点をつけたものと見える。<準備>が4.90ともっと高い。これは授業とほぼ同一内容の説明をネット経由ストリーミング配信したことが効いたのだろう。その他多くの評価項目があるが、総合では<推薦したい>が4.7、<満足度>が4.57と、今回の結果はこれまでの自己ベストとなった。<ディスカッション>は授業中では行っていないのでスコアが低く出ているのは当然というか、やむを得ないとも言える。まあ、実質的な意味で今期提供したサービスに極めて高い評価がついたと自己満足しているのが正直な気持ちだ。

実は、ネット配信で学生向けに授業を提供し始めたのは今年度前期からである。実際に自由記述欄を見ると
● ストリーミング授業が良かった
● Eラーニングでの補講等でのフォローが分厚い授業だった
● ネット配信で予習が出来、課題のフォローもあって、良く理解することができた
などとあり、やはり一口にEラーニングと言っても、単に補助教材的なサービスをアラカルト風に提供するだけでは、学ぶ人たちの観点からすると、それほど評価してくれないということがよく理解できた。インターネットなら何でも良いというわけではなく、授業の理解に直接に役立つリソースのみが受け入れられるということだろう。

統計とはいえ基本段階でよかったともいえる。基本の解説は、言ってみれば10年前とそれほど内容は変わらない。大学院生以降の研究者が使うテキストなら年々変化していると言わざるを得ないが、基本的な教科書なら長い期間ずっと同じ内容だ。だから今回収録した授業は数年の継続的使用に耐えるだろう。来年度に将来予測など応用的な内容について収録を行えば(この分野も中級レベルながら定石な技法は既に確立している)、量的には2倍の教育サービスを提供できる。投入している労力は1人(つまり私だ)と一定なのだから、これは労働生産性が倍増したともいえることではあるまいか?

つまりWEB上で知的資産を蓄積することによって、資本集約性が上昇し、教育の労働生産性が上がっているということに他ならない。あらゆる経済活動が競争下にあり、究極的には生産性を向上させた組織のみが生き残るのであれば、やはりどの大学も例外なく高度Eラーニング・サービスにとりくむことを、今後ますます迫られるだろう。

この10年、特に高等教育段階でIT技術が浸透してきたことは夙に指摘されている。しかし、主としてEMS(e-Learning Management System)が普及してきたわけであり、今後の最大の課題は充実したコンテンツの作成であると何度も指摘されている。もしもコンテンツがアウトソーシングされれば、大学教育はブランド教授の出店と化すであろう。コンテンツばかりは、教える人間が自分で作らないと、教えているとは言えない。本ならともかく、語りまでも教室内で再生したら、もはや放送技術者(というよりバイト)だ。

教室という閉ざされた空間で独占的に供給されるしかなかった授業というサービスも、今後急速に移動可能なモノとして取引されるようになるだろう。教育サービス従事者としては恐ろしい時代がやってきたものだ。

2007年9月17日月曜日

今回のリニューアル

統計分析をテーマにe-Learningサイトを公開している。URL

http://nisiyama2.ih.otaru-uc.ac.jp/elhome/Main.html

なのだが、あまり多数が同時にアクセスすると直ぐに満杯になると思う(そんなことは当面ないとは思うが)

このサイトをリニューアルしようと考えている。まず統計シミュレーションには自作のライブラリーを作っていたが、全面的にR(D)COMを利用して、バックエンドでRを起動して計算を行うことに変更した。Rというのは、商用版ではS-Plus等に対応する高水準の統計分析ソフトで非常に有名である。

Visual Studio .NET2005ASP.NETアプリケーションを開発する場合、参照先としてR (D)COMを追加しておくだけでよい。いま追加だけと言ったが、具体的にはもう少しややこしい。VS .NETから利用するときは、R(D)COMと同梱されているStatConnLib.tlbStatConnectorSrv.tlbを参照先に追加する。次いで、dcomcnfgを起動してからDCOMの構成からStatConnectorSrvのプロパティを表示し、セキュリティ・タブを選び、<起動とアクセスの許可>にアカウント”ASPNET”ないし”NETWORK SERVICE”を追加しておくことが必要である。XPではASPNETを追加しておけばよいし、私の経験ではWindows Server 2003ではNETWORK SERVICEで支障はないはずである。

こうしておいてプログラム中から

Dim rcom as StatConnector = New StatConnector()

とすれば、Rがインスタンス化されるので、あとは例えば

rcom.EvaluateNoReturn(“x<-rnorm(1000)”)

などと記述していけば、バックエンドで動作しているRを操作することができる。Rで生成した変数にアクセスするには

rcom.GetSymbol(“x”)

とすればよい。但し、.NETでは

Dim x as double

X = CType(rcom.GetSymbol(“x”),Double)

のように型変換が必要となる。

グラフ作成は一時ファイルを保存して、それをWEBページに貼り付けるという単純な方法をとった。保存ディレクトリーをその都度、クリーンアップするのは言うまでもない。今のところ、bmpファイルを貼り付けている。

不明の点は《RCOMホームサイト》

http://sunsite.univie.ac.at/rcom/

を参照すれば、まず解決できる。

一応、基礎となるルーティンは整ってきたので、UIFlashで行こうかと編集を始めたところだ。

暫く心覚えに役に立つことを書き留めていくつもりだ。