2011年6月1日水曜日

落ちた生産の回復スピード

小沢系政務三役が集団辞任。今夕に内閣不信任案提出。鳩山氏は同調か・・・等々。政局報道が次々にある。

今の日本は政治の季節なのかなあ・・・違うだろ!そう言いたいのは小生だけではないと思う。

経済産業省から鉱工業生産が公表された。前月比の概要は以下の通りだ。

3月

4月

生産

▲15.5%

1.0%

出荷

▲14.6%

▲2.7%

在庫

▲4.2%

0.5%

在庫率

4.1%

14.5%


3月の大震災ショックでガクンと落ちたまま、4月は1%の微増。ナベ底を這っている状況だ。これは4月の数字だから、当たり前ではあります。統計数字というのは、相当、遅れて出てくるのだ。

5月から6月にかけての予測数字も併せて公表されている。「先行きについては、予測調査によると、5月が前月比8.0%の上昇、6月が7.7%の上昇となり、先行きは回復が見込まれます」、経済産業省はそう見ている。簡単に計算すれば、4月中は落ちたまま、5月、6月で16%の増加になる。つまり、6月一杯で3.11直前の活動水準に戻る見込み。そう見てよい。

これは(心の底からそう言いたいのだが)、本当に大したことだと思いますよ。今でも地震、津波に被災した東北地方では生産設備や建屋が損壊して、生産再開が不可能な所が多いと耳にしている。6月末までに元通り、というのは被災地抜きでサプライチェーンを再構築して、製品供給を可能にしたということであり、つまりはそれだけの余剰能力が日本国内にあったわけである。

デフレの根因は日本国内の過剰設備だ。そんな風に、余剰能力は悪玉視されてきたのだが、それが今回は幸いしたというか、結果オーライであったわけ。

それでも日本全体の余剰能力はまだまだあるというから驚きだ。内閣府が公表した1~3月期の需給ギャップが以下のように報道されている。これは新聞記事だから例によって引用しておこう。

内閣府は30日、日本経済の供給能力と需要の差を示す「GDP(国内総生産)ギャップ」(需給ギャップ)が、2011年1~3月期はマイナス3・9%だったと発表した。
 東日本大震災で企業の工場などが被災したにもかかわらず、供給力が需要を大幅に上回り、デフレが続いている。金額に換算すると年間20兆円程度の需要が不足している計算で10年10~12月期と同水準だった。需要不足の状態は11四半期連続だ。 震災で企業は、工場設備の損壊や原発の停止による電力不足、部品の供給網の寸断などの影響で、供給能力が年換算で約6兆円落ち込んだ。
 しかし、消費の自粛ムードや企業の設備投資の低迷で、需要も同じ程度押し下げられ、需給ギャップは縮小しなかった。 需給ギャップは、実際のGDPと、国内の設備や労働力を平均的な水準で利用した場合に生み出せる「潜在GDP」(供給能力)との差を示す。マイナスは需要が不足していることを示す。企業が工場を増設したり、雇用を増やそうとしたりする意欲がしぼみ、一般の消費者も消費を手控えようとするため、物価が下落する要因となる。(出所:2011年5月31日 読売新聞)

震災によって、6兆円の供給能力が損壊を被った一方で、需要も低下している、というのでは確かに不況モードではあるわな、と改めて悟った次第。<ああ、確かに自粛もしたからねえ・・・>、経済というのは、誠に正直なものであります。自粛=売れない、だから困るわけである。

とはいうものの、社会インフラ復旧、新しい街造りで需要はこれから出てくるには違いない。故に、需要不足(=需給ギャップ)は早晩解消される方向にある。

このブログでも本格的な生産増加は夏が過ぎて秋からではないかと書いたのだが、そんなわけで予想以上のスピードで震災以前の態勢に戻りつつある。政府というより、これは個々の企業の努力。やっぱり優秀なのは、上ではなくて、下ですな。

である以上は、政府も奮励努力して、出来るだけ早期に復興予算(二次補正)を決め、事業計画を実行に移していくことに、全力で取り組まなければなりますまい。そうしなけりゃ、政治家も官僚もいらん!そう悪しざまに言われたって抗弁できないのではあるまいか?

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