2011年12月13日火曜日

中国漁船と韓国海洋警察との殺傷事件について

初夏にはアメリカ国債格下げ、9月、10月とギリシア危機、更にはヨーロッパ全体にまで危機が拡大して、先日のEUサミットでは各国が「財政統合への道筋」を確認して一段落した。英国は新条約には署名しないというので、またまた騒動が持ち上がっているが、これは昨日投稿した話題でもある。そんなところに、中国漁船による不法操業を摘発した韓国海洋警察官が、中国漁船船長によって殺傷されたとの報道だ。

当然、中韓両国の外交問題になっていく可能性が高いが、もしこの当事者が韓国ではなく、日本の海上保安官であったらどうか?今頃、日本のマスコミは半狂乱となり、政府は顔面蒼白になっているのではないか?政府は、冷静沈着かつ毅然とした態度で中国と協議することができるのだろうか。その日本政府を日本人達は冷静沈着に見守ることはできるのだろうか?極めて残念ながら、小生、いささか不安になるのだ、な。もちろん韓国は中国と戦争などをするはずがない。ないけれども、限定的な武力紛争が起きることは十分あるわけであり、ここで武力紛争を徹底的に回避するという選択をするようなら、何もかも全て、中国に奪取されてしまうだろう。まあ、この辺り、中国という巨大国家とのつきあい方は、島国の日本よりも韓国の方に、はるかに一日の長がある。

ただ限定戦争を覚悟するとしても、そんな状況が韓国政府にとって望ましくないことは勿論だ。報道されるところでは、当の中国政府が違法漁船を厳格に処罰する方針に転じているとのことだ。中国政府の違法操業厳罰化の動きが、かえって違法漁船の拿捕回避行動を激烈にし、危機に陥ったときには殺傷行動をも敢えて辞さない誘因をつくっている。そうも考えられる。

では、中国政府が違法操業厳罰路線を転換すればよいかと言えば、それも効果的な防止策にはならないだろう。違法操業をしようという動機が残る限り、ペナルティが小さくなれば、違法漁船の数が増えることは明白である。これも韓国政府の望む所ではないだろう。

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韓国政府は金で解決するべきである。というより、<水産業地域発展振興計画>を中国政府に策定させ、水産加工業の拠点開発を進めさせるべきである。その計画の中で、韓国は直接投資を通じて、中国の拠点開発に寄与し、関係地域の雇用機会創出、所得向上に貢献する方法が効果的である。違法漁船が増えるのは、それが儲かるからである。一部の漁船は食うためにやっているのだろう。どちらにしても経済的動機から違法操業をしているはずだ。であれば、更に付加価値をつけた製品を生産できるようにしてやれば、韓国は水産物を中国に輸出し、中国はその水産物を食料品に加工することで、所得を得ることができるだろう。その所得は、違法操業を繰り返すことによるリスクを考慮すれば、はるかに中国漁民にとっても魅力的であろう。かつまた、中国に進出した食品加工企業も利益を得られるのである。

経済的な誘因から引き起こされる事件は、上手に取引をすることで、必ず解決できる。限定戦争などは下策である。賢明な政策を選択して上策を採るべきである。

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