2012年6月7日木曜日

ドイツ主導で金融規制がまとまるか?

和の精神というのが、小生、幼少の頃より苦手である。小学生の頃、終業式でもらう通知票に「協調性に欠ける」と何度か書かれていたものだ。しかし、亡くなった父から「お前は協調性をみがかんといかんなあ」と言われると、どうも反発の念を感じたものだ。父は、たくさんいる兄弟の長男として成長したせいか、指導するということに慣れていて、異論をいうと「そこがいかん」と言うのが常であった。それって、全然協調してないよね。小生、言いたかったのだが、怖くて言えない。哲学者ソクラテスは、冤罪で死刑となった。友人は逃亡するように懇願したが、泰然と死に赴いた。その時のやりとりが名著「パイドン」になって残されている。ソクラテスは、そこで「わしはみんなのために死ぬんじゃよ」などとは一言も語っていない。「法に従うことは、自分の魂の清浄を守るためなのじゃ」と。これ即ち「悪法もまた法なり」。自分で決めている。みんなは関係ない。格好いいじゃないか。自分が善しと思うように生きる。和なんてどうにでもなれ、と。一度でいいから父に言いたかったなあ。

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金融投資は自己責任の世界である。負ければ誰が悪いのでもない。まして世の中が悪い訳ではない。投機があたって大富豪になっても、誰に遠慮をしなければならないわけじゃない。大いばりだ。しかし、世界市場を暴走族のように暴れ回られると、大半の人にとっては迷惑だ。それに金融危機の後始末で税金が使われている。金融マンよ、この現実をどうする、と。規制しよう。それが今の世界の方向だ。

独紙Frankfurter Allgemeineに以下の報道がある。
Zwar stehen Einzelheiten nicht fest – außer dem Umstand, dass es sich nicht um eine umfassende Besteuerung aller Finanzgeschäfte (Finanztransaktionssteuer) handeln soll, weil diese weder in der gesamten Europäischen Union noch in der Eurozone durchsetzbar ist. Aber die Vorsitzenden der drei Koalitionsparteien, Angela Merkel (CDU), Horst Seehofer (CSU) und Philipp Rösler (FDP), haben Unterhändler beauftragt, ein Modell zu entwickeln, wie die Finanzmärkte an den Kosten der Finanzkrise beteiligt werden könnten. Am Dienstagabend beriet erstmals eine Arbeitsgruppe von Koalition und Opposition über die Einführung einer Finanzmarktsteuer. (Source: Frankfurter Allgemeine Zeitung, 05.06.2012)
金融危機発生から生じるコストに対して金融業界は応分の負担をするべきであるという発想だ、な。こういう政策方針が検討されていることは聞いていた。金融取引課税の導入で与野党協議も始まるようだ。なるほど、大分まとまってきているわけじゃな、と。
Zuletzt hatte Frau Merkel auf einer Konferenz mit CDU-Kreisvorsitzenden am Wochenende neue Möglichkeiten der Besteuerung angesprochen: „Wir schauen, ob wir vielleicht mit einigen ähnlich gestimmten Ländern etwas hinbekommen.“ Rösler deutete am Dienstag ein Einlenken an. Er ließ wissen, er habe „nichts gegen eine kluge Regulierung der Finanzmärkte“. Zu den möglichen Mitteln gehörten ein Verbot des „Hochfrequenzhandels“ und eine „Besteuerung von Derivaten“. (出所:上と同じ)
導入されるとすれば、(一定期間における)取引頻度規制、金融派生商品取引への課税。この二つが挙げられている。ただEU全域で導入するのか、ユーロ圏で導入するかなど、乗り越えるべき点は多いだろう。
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日本はデリバティブにはなじみが薄く、金融工学上の技術水準、商品開発力、販売力、顧客層ともども、まだまだ後進国である。それを規制するのは自分の首を絞めるようなものかもしれない。ただ日本も<金融暴走族>を取り締まった方がよいのは確かだ。さしづめ円ドル取引、外国為替市場はターゲットにするべきだ。これは前稿でも書いたことだ。 

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