2012年6月20日水曜日

G20首脳会議とオウム信者の近況、後者は井戸端会議なのですか?

メキシコ・ロスカボスで開催された<G20>でも世界経済に関する本質的な提案は出てこなかった。ギリシアの再選挙で反財政緊縮派が政権を握る事態は回避されたが、それでも与野党の勢力は拮抗しており、ユーロ離脱と財政緊縮路線厳守のいずれをとるか、選択は容易でない。この二つは、ドイツの対欧州経済戦略にも依存するので、今のままでは両立不可能だ。それ故、状況は<塹壕戦>というか、持久戦模様になった。というか、ギリシア的な小国がフラフラ状態のまま、それでも財政緊縮努力だけは続けており、そんな欧州不安からユーロ・じり安になる現状は、そもそもドイツの国益に適っている。ドイツが率先して、現状を変えようとする誘因はないはずだ。ドイツは小出しに戦術を繰り出しながら、フランス、イタリア、スペインなどの南欧、英国とのバランスをとるだろう。ドイツに経済戦略変更を迫れるほどの大政治家は、いまのヨーロッパにはいないのじゃあるまいか?

G20の場では日露首脳会談も実現した。日本の国益とロシアの国益の二つを両立できる方法があれば、それを実行していけばいいが、鍵は北方4島だ、な。関係者も既に高齢で、関心を持つ人も減っており、領有権を「棚上げ」しながら経済的利得を追求することに対して、国民的反発は(全くなくはなかろうが)それほど心配する必要はないのではないか。自分たちの所得よりは国家としての原理原則にこだわるのであれば、目先のゼイキンが何パーセントか上がる損失は何でもないはずで、それよりは長期的な財政安定という本筋を優先するのが理屈にかなっている。この何ヶ月の議論を振り返ると、多くの人の関心は原理原則ではなく、自分たちの所得と利益にあることは明白である。経済的な日露交流拡大には日本人の多数が賛成すると判断するのがロジックだ。

それでも心配があるのだとすれば、領有権譲歩ドミノの引き金を引くことになるのじゃないか、これでしょうなあ。日本は領土よりは経済的利益をとる。日本経済の現状は外国にも周知のことだから、原理よりは所得、これが本音じゃないかと、そう外国政府が憶測しても不思議ではない。だとすれば、日本は本音を隠した方がよい。で、やせ我慢となる。やせ我慢だとすれば、張り子の虎なのだから、中国資本をじゃんじゃん導入すれば、いずれ日本も耐えきれぬようになる。とまあ、こんな議論をすることも可能だが、素人がちょっと短文を書いていても、このくらいは直ぐに思いが回る。とすると、これは真実ではないのだろう。やせ我慢ではなく、どこまでも永久に原理原則をつらぬくのが日本人なのかもしれない。

どちらにしても<G20>関連は、<世界>の話しだから巨大だ。その反対に小さい(と思われる)井戸端会議的話題もある。オウムだ。


最近、オウム真理教の主流派「アレフ」への入信が(特に、小生が暮らしている北海道では)加速しているという。逮捕された高橋克也が逃亡後17年を経た今もなお当時のままの信仰を全うしていることが分かり、オウム信者はそのことに大変勇気づけられているとのことだ。マスメディアはオウム信者の近況を報道しながら、公安当局在職者にも登場してもらいながら、オウムへの警戒心を明らかにしている。


いかにも下世話な話題に見える。奥様達の井戸端会議で話題になるのは、グループ・トゥウェンティ(G20)の成果ではなく、オウム信者であろう。それはG20が日本にとってはいっそう重大で、オウムは些末な事柄ということなのだろうか?


マスメディアや公安当局は日本のエスタブリッシュメントの一部である。首都圏で活動する大企業のビジネスマンもそうである。他方、一般に新興宗教に帰依しようとする人は、何らかの意味で社会から疎外されているか、不安を感じている人である。必ずしも反社会的感情を最初から持っている訳ではないにしても、特定の宗教団体を権力が押さえ込もうとすれば、信者は自分たちが日本社会からそのように処遇されていると感じ、潜在的な入信者層もむしろその宗教団体への共感を強めるであろう。宗教の場合、抑圧は実質的な応援に等しい。


日本の相対的貧困率(可処分所得中央値の半分以下の世帯割合)は、2009年時点で約15%に上がり、OECD平均値の10%をはるかに超えてしまった。一般にイノベーションが進行すると勝ち組と負け組が発生するので、所得分配は一時的に不平等化する。というか、大成功へのインセンティブを与えるので、不平等化したほうが良い。また別の場合もあり、所得分配は大企業が<市場支配力>を行使することによっても不平等化する。経済成長が加速しながら不平等化するなら前者であるが、生産性が停滞しながら不平等が高まれば、それは<独占の弊害>であることが多い。後者の不平等化が進む場合は、むしろ有利な地位の濫用や不当利益の摘発、さらには企業分割などを果敢に実行し、市場のパフォーマンスを発揮させる方が事態を改善する。機会均等の原則を貫くと言ってもよい。日本の不平等化進行は公正取引委員会と旧・労働省(現・厚生労働省)の<サボタージュ>である可能性が高い。市場シェアではなく資本関係に着目するべきだ。これが小生の見方だ。


このように議論を進めると、現在のG20とオウム報道のどちらが日本の将来により関係が深いか、かなりハッキリすると思うのだ、な。奥方たちは国際経済学やマクロ経済学にも、独占禁止法にも無頓着だ。それでも主婦の直感は鋭い。そこで話されていることが実は日本国民には大事な話題なのだ。そういう見方も可能であろう。

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