2012年7月4日水曜日

中国、欧州経済 ー まあ、こんなところか

本日の日経朝刊・国際面に以下の記事が掲載されていた。
中国人民銀行(中央銀行)の胡暁煉副総裁は香港での記者会見で「中国の資本勘定の自由化はおよそ75%進んだ」と指摘した。人民元の自由交換を意味する、資本自由化に向けた残りの25%は「債務に関する部分とデリバティブなど金融取引に関する部分だ」と述べた。 
そこで、中国政府が広東省深セン市の前海地区に設置を認めた金融を中心とする「実験地区」が注目される。胡副総裁も「前海地区の金融機関による人民元の対外融資」や香港を含む「域外からの前海地区の企業への融資」などを例に挙げた。もっとも「考慮し認可することも可能」「前海地区で実施することも可能」など言い回しは慎重。実現の可否や時期については明言しなかった。

(香港=川瀬憲司)
 対外投資をする時には為替レートが固定化されている方がリスクが小さい。19世紀の経済グローバル化を金本位制が支えていたのは当然のロジックである。が、今は変動相場制である。ヘッジをかけずに対外投資をするのは危険である。だから金融先物取引、オプション取引などの金融派生商品が発展してきた。そのデリバティブ取引が規制されている限り、人民元を含む複数通貨が関係する対外取引は肝心なところで規制されていると見てよい。

中国経済も無限の余剰労働力を活用したテイクオフ段階ではもはやない。ヨーロッパ経済は周知のとおりだ。アメリカ経済はある程度安定するだろうが、日本経済もどうなるか分からない。加えて、今後、労働市場の需給に応じて中国の国内賃金が決まってくるとすれば、為替相場は変動相場制に移行しておくのが中国国内の経済安定化には寄与するはずだ。それは中国の政策当局も分かっているが、金融市場メカニズムは本当に信頼できるのか?危ない・・・そんな言い方である。

ドイツでは金融取引税導入のたたき台が与党内で議論されている。そもそも野党が言い出したことであるし、フランスは社会党政権になった。詰めるべき個所はまだ残っているが、導入される可能性は高いとみている。ギリシア、スペイン、イタリアもずっと後を引きずる問題だが、金融取引税は世界経済の潮流を変えるモメントになるだろう。もし、実施されれば、だが。

そのヨーロッパ経済だが、日経と提携しているのだろうFTの報道が紹介されている。
欧州中央銀行(ECB)は今週の理事会で政策金利を引き下げると予想される。ユーロ圏の失業率が過去最悪となり景況感も低水準になったため経済を活性化する狙いだ。先週の欧州連合(EU)首脳会議で、中央銀行として銀行監督の役割を果たすべきだと合意。ECBのユーロ圏の債務危機脱出を助ける役割が再び注目されている。

今週、ECBが低金利融資や債券買い入れなど銀行や政府に追加的な直接支援をすると予想するアナリストはほとんどいない。だが市場は、ECBが初めて政策金利を1%未満に引き下げると見る。この措置は中央銀行の融資に依存するユーロ圏の銀行を支援する手立てとなる。

INGグループのシニアエコノミスト、カールステン・ブルゼスキ氏は2日の調査リポートで「0.25%の利下げはほぼ織り込み済み」と指摘した。一部エコノミストは0.5%の利下げを検討するとみる。

EU統計局は2日、ユーロ圏の5月の失業率が11.1%に達し、ユーロ発足以来最悪になったと発表した。ブルゼスキ氏は、失業率が低いドイツを除き「ユーロ圏諸国すべてで景況感が過去の平均値をはるかに下回っている」と指摘する。ユーロ圏の製造業購買担当者景気指数(PMI)は、景況感の分かれ目となる50を11カ月連続で下回る。ブルゼスキ氏は「ユーロ圏のリセッション(景気後退)入りが間もなく正式に発表される」とみる。

ECBが政策金利を据え置くと予想するエコノミストも一部いる。ECB理事会が預金金利見直しを検討する可能性は高い。ECBは2009年と10年のほとんどの期間、政策金利を1%に据え置いてきた。後に「出口戦略」で引き上げたが、再び1%に引き下げた。この時、期間3年の前例のない低利資金供給を発表した。

(3日付)

=英フィナンシャル・タイムズ紙特約
ECBといえば、昨夏、まだ経済回復軌道に不安が残るのに、金利を引き上げたことが思い出される。思えば、ソブリン危機の激動はそれからであった。昨年の秋には小生もECBの政策ミスだと悪態をついた。 やっと現実が分かってきたのネ・・・まあ、そんな気配だが、それでも上の記事の最後に付け加えられているように、金利据え置きを予想するエコノミストもいるというから驚きじゃな。金利引き下げの必要なしという見解がECB内部にあるわけだ。


何事も「できる」理由があるし、「できない」理由もある。そうそう、韓流ドラマ「張禧嬪(チャン ヒビン)」を録画しては楽しんでいるのだが、気の利いた科白があった。粛宗国王が正室・仁顕(イニョン)王后に言った言葉であったな。
できない理由もあれば、できる理由もあろう。そなたはいつも出来ない理由ばかりを余に伝える。そなたは「それは嫌です」と言わず、「それは間違っております」といつもいう。なぜ「それは嫌です」と、そう余に言わないのか?
ドイツ経済は好調だから、ドイツの観点から言えば、金利引き下げの必要はあまりない。むしろ物価が心配であろう。「それはドイツにとって困る」と言えばいいものを、「それは政策として適切ではない」という。

ドイツ人ゲーテは、イギリス人について以下のような論評をしている。
ドイツ人が哲学上の問題の解決に悩みぬいている間に、イギリス人の方は、その偉大な実践的知性を発揮して、われわれを嘲笑しながら世界を征服している。奴隷売買に反対するイギリス人の長広舌はみんなも知っている ・・・我々をたぶらかそうとしているが、今や、その真の動機が現実的な目的の方にあるということは明らかだよ。(出所:エッカーマン「ゲーテとの対話」(中)、137ページ)
南ヨーロッパが、適切な財政政策とは何かを解決するために悩みぬいている間に、ドイツ人はその勤勉と企業家精神を発揮して、世界市場で高いシェアを奪うことに成功した。金利引き下げとリフレーションに反対するドイツ人の長広舌はみんな知っている・・・・我々をたぶらかそうとしているが、今やその真の動機が(ドイツ人の)現実的な目的の方にあるということは明らかだよ。

フランスやイタリア・スペインのゲーテがいれば、おそらく上のような見解を述べることでありましょう。


0 件のコメント: