2012年9月12日水曜日

覚え書き ー 造幣局はなぜ平成小判を造らないのか?


ちょっとした慶事があり隣町のS市に赴きウィーン金貨”ハーモニー”を1オンス買ってきた。我が家では何かビッグな慶事があるとき、金貨を買って、その袋に日時と内容をメモしてとっておくことにしている。蓄財と思い出作りを兼ねた習慣だ。相続対策にも最適である ー あまり声高に言うべきじゃあないが。

ただ、買って帰りながら、つくづく考えた。オーストリア政府が鋳造する金貨を買うのも確かに粋だ。他には、カナダ政府の”メープル”金貨、南ア政府の”クルーガーランド”金貨があるが、いずれも金地金の価格にコインとしてのプレミアムが上乗せされて売買されている。

なるほど資産の貯蔵手段はいろいろある。ただ民間企業の株式はその会社が倒産すれば紙くずだ。再建の途中には、最悪、100%減資されて文字通りのゼロに戻ってしまう。国債はいまのギリシア危機、南欧危機を見ればわかる。宝石はどうだろう?ダイヤモンドは小さすぎる。なくなりやすい。それに取引価格が不安定であるし、更に火災に弱い。現金もやっぱり駄目だ。たとえば江戸時代に各藩で藩札が発行されたが、藩が「お取り潰し」になれば、それを正貨に換えるのが大変だった。額面ではまず戻らなかった。現在の通貨も同じだ。中央銀行次第、民間銀行次第、いつインフレになるか分からない。ドルで持っていても世界では通用するが、貨幣価値は現実に下がってきた。日本国内ではもっとドルの価値は減価している。

では、日本円がいいのか?いや、日本円も先行き安泰ではないだろう。たとえば中国海軍が尖閣諸島周辺で軍事演習するとどうか?円ドル相場は、その日1日で5円は変動するのじゃないかと予想する。80万円の現金を持っているとしても、価値は1日で数パーセント下落する。ましてや日中で軍事衝突などがあれば、日本円の資産価値など吹っ飛ぶであろう。その国の通貨は戦争に弱いのだ。いくら日本銀行が誠実に通貨価値を守ろうと思っても、日本の地政学的・国際関係的ならびに経済政策的要因によって大きく影響されてしまう。これでは不安ではないか。

小生は、現代の世でも<金>が最も安全な資産形態であると思っている。


一体、造幣局はなぜ「平成小判」を発行しないのだろう?たとえば2オンスで1枚の小判を造るとして、今なら30万円の額面になろう。30万円を<1両>と定めて、新たな通貨単位をつくる。小判発行の際、金地金プラス鋳造コストを28万円程度として、2万円のプレミアムをつけて流通させる事はできるのではないか?取引価格は金価格が底値になる。プレミアムは造幣局の利益となり、それはそのまま国庫収入となるのだ。

思うのだが、音楽の国オーストリアの”ハーモニー”、紅葉の国カナダの”メープル”に比べて、日本の”黄金の国ジパング”のキャッチフレーズはよほど強力であろう。

もし1両小判を30万円で購入する事ができて、その専用ケースには”Old Asian El Dorado Jipang”と記載されているようなら、これは<絶対買い>です、な。古銭商や一部好事家だけの趣味の世界に限定するには、もったいないような国家のニュービジネスではないだろうか?

日本政府は、カネが足りないと言うばかりではなく、国家専売と税外収入の拡大を図ってはどうか。クソ真面目に<増税>ばかり国会にかけて、その度に迷走するのは、国民としてももう御免蒙りたい。それが本音ではあるまいか?考えてみれば<社会保険料>も保険料であって、税ではないのだ。もっとフレキシブルに国庫収入拡大策を検討するべきだ。「平成の荻原重秀」が望まれていると言えるだろう。

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