2013年2月1日金曜日

ドイツ経済の明るさは世界のさきがけか?

ドイツの五大研の一つであるIFOから月報が届いた。IFOは、毎月、ドイツの景気動向指数を公表しており、それをみると独経済の現状、先行きが展望できる。

Der ifo Geschäftsklimaindex für die gewerbliche Wirtschaft Deutschlands ist das dritte Mal in Folge gestiegen. Die aktuelle Geschäftslage wird nach einem Rückgang im Vormonat wieder etwas positiver beurteilt. Zudem haben sich die Aussichten auf die kommende Geschäftsentwicklung erneut deutlich verbessert. Die deutsche Wirtschaft startet hoffnungsvoll ins neue Jahr.



日本の先行指数、一致指数、遅行指数と対応して、Geschäftserwartungen, IFO Geschäftsklima, Beurteilung der Geschäftslageが作成されている。遅行指数はまだ低下してきているが、先行指数、一致指数は既に反転上昇している。底をうったのは、原資料から確認されるとおり、昨年12月である。先行指数のボトムはそれより早く、昨年の9月であった。してみると、独株のDAX指数の動きもその背景を理解できる。


Source: Yahoo! Finance, 2013/02/01作図

アメリカ国債の債務上限、ギリシアのソブリン危機に揺れた2011年夏に暴落したあと、順調に上昇してきたDAX指数は2012年に入ってから下落し、春から夏にかけて底を打った。世界的にもミニ景気後退的な踊り場であったわけだ。本ブログでもEUのリセッション入りをこの頃投稿している。夏場以降、モタモタした状況になっているが、これはECBによる国債買取にドイツがあくまでも反対して、金融政策の展開が遅れたためである。そこを抜けてからまた上昇が続いてきているわけで、11月下旬になってからドイツ株が突然上昇を始めたわけでないのだな ― 日本の株価上昇は安倍政権誕生と金融政策転換が視界にみえてきた11月下旬以降だ。

いずれにしても昨年末にかけての株価上昇は世界的な現象でアメリカ経済も同じだ。しかし、アメリカ経済をとってみると、ISMによるPMI(=Purchasing Manager's Index)は昨年12月までずっと低下基調にあり、変化の兆しはない。PMIは経営現場から得られる業況判断であって信頼できる数字だ。心理要因に左右される株価とは違う。日本の数字については昨日投稿したとおりだ。

アメリカの実質GDP成長率が昨年第4四半期にマイナス成長(年率▲0.1%)となったあと、FRBは現在の量的緩和政策の継続を決め、雇用の改善が確認されるまではこれを続けるという意思を表明している。
The Federal Open Market Committee said in a statement yesterday that growth, while slowed by “transitory factors,” faces “downside risks” even after strains in global financial markets have eased. The expansion will pick up and unemployment will fall in response to “appropriate policy accommodation,” Fed officials said in a statement after a two-day meeting. 
“Everything in this statement suggests that they will continue to buy $85 billion per month and that we still have a ways to go before they’re satisfied that the labor market is where they want it to be,” said Ward McCarthy, chief financial economist at Jefferies & Co. in New York and a former Richmond Fed economist. 
Bernanke and his FOMC colleagues are deploying record stimulus through an open-ended expansion of the Fed balance sheet after determining that the benefits from stoking a flagging economy outweigh any risk of financial instability or higher inflation.
Source: Bloomberg , Feb 1, 2013 12:49 AM GMT+0900
経済指標の動きはプラス、マイナス、区々様々であり、方向感に欠けている。判断が難しい局面だろう。

金融当局であるFRBも、財政不安、インフレ高進への懸念 ― つまりそういう心配について率直に語っている、ここが肝心だな ― それもあるが、その心配より景気刺激によるプラス効果が大きいと認識している。そういう立場であって、ここに変更はない。こんなFRBをとりまく状況ととっている行動が、近未来の日銀の姿を映し出しているのだろう。とはいえ ― 総裁も交代するので想像は難しいが ― 公式見解として『○○は政府が担当する分野でありますし、△△は民間企業が乗り越えるべき課題であります』などと、これまでと同じように日銀が語り続けるとなると、日本経済の実態は全体としてほとんど変わらないかもしれない。

マクロ経済の行方が微小な原因で左右されがちなとき、政策当局の発言・行動を観察している市場の<心理的要因>が、予想外に大きな結果をもたらすだろうことは、小生も同感である。こういった事柄は、データ分析では非系統的で、不規則な成分になるのだが、結果として現れる経済現象を後追いするビジネスマンにとっては、それがいかなる成分であるのか、どうでもよいことである。





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