2013年3月3日日曜日

日曜日の話し(3/2)

今日は日曜日だが統計学会の春季集会が学習院大学であるので東京に来ている。本投稿は、あらかじめ編集しておいたのを、ホテルからiPadで公開したものだ ― キーボードを持参すれば、iPadとLTE接続でどこからでも楽に編集して投稿できるのだが、両方そろうのはもう少し先になるので、仕方がない。

こちらに来る直前、Amazonに予約注文しておいた"Emil Nolde - Meister des Aquarells"が出版予定時期より半年も遅れてやっと届いた。

ナチス政権の支配下、デンマーク国境に近い北ドイツの寒村に隠遁生活を続けながら、何千点にものぼる作品を、主に水彩で描きのこした。それらの作品は、第二次大戦後になってから油彩で描き直されたときいているが、本書は水彩画を対象に約80点を掲載している。


Emnil Nolde, Langensee
Source:  Christie's

上の作品は、残念なことに到着した画集には選ばれていない。本当に残念だ。ま、ネットに出回っている作品が、改めて新刊の画集に入っているのも変な話ではある。

ノルデと言えば、"Landschaft"(風景)、"See"(海)、"Lilien"(百合)がタイトルに頻繁に登場するし、人物を描くときには"Alter Mann"(じいさん、翁など)も数多く使われている言葉である。実際、グーグルで"Nolde Watercolor"を検索すると、夥しい数の作品がネットにアップロードされていることがすぐに分かる。以下の画像もChristie'sから借用した。


Emil Nolde, Dschunke auf See
Source: Christie's

水彩画を描くとき、ArcheやFabrianoなどコットンでできた水彩紙に描くのが普通だが、ノルデは滲みが強く、白色が際立っている和紙(Japan Paper)を常々愛用していたという。そういえば上の2作品とも、特に下のヨットを描いた作品の方は、そのまま日本の墨彩画としても通りそうな雰囲気をもっている。

ただ購入しようとすると ― 小生はノルデの水彩画がほしくてたまらないのだが ― 大変高額である。例えば、上の"Dschunke auf See"は、Realized Priceが£39,650 ($59,316)と記されているから、大体6万ドル、日本円にすれば540万円くらいである。ちょっと手が出せない感じである。

しかし上の落札価格はまだましであって、いかにもノルデらしい海の絵になるとこんな風にレポートされている。
This was a very successful auction with 46 of 48 offered lots being sold for a total of $13,852,210 just below the pre-sale high estimate of $13,953,000. ... Lot 21, shown at the top of this article, is entitled "Meer und Zwei Dampfer Mit Rotem Abendhimmel" and is a 8 5/8-by-10 5/8-inch watercolor on Japan paper that was executed circa 1938-1945. It has a very modest estimate of $70,000 to $90,000 inasmuch as it rivals the best work of Turner. It sold for $167,500.
 (Source: Here)

Emil Nolde, Meer und Zwei Dampfer Mit Rotem Abendhimmel

価格は、16万7500ドル。1ドル100円で換算すると大体1700万円!これはもう絶対的に入手不可能であります。

まあ、この絵を購入する人は、カネを1700万円持っているよりは、カネをこの絵に変えてもった方が有難いと考えるから、この価格で買うわけである。絵を買ってカネがなくなると生活に不便だから、1700万の10倍は流動資産をもっていなければ、この一作品をこの値段で買う気にはなれないだろう。となると、ざっと2億円の資産をすぐに換金可能な形でもっているはずだ。不動産も合せた資産全体では2倍計算するとして、まあズバリ、5億円か。

資産保有額5億円程度の富裕層であれば、上の作品を購入する気になるかもしれない。この一作品に限ってみての推量ではあるが。ま、これはゲスの勘繰りには違いないので、このくらいにして、小生は画集くらいで我慢するとしよう。それよりも、ノルデの水彩画はゼービュルにあるノルデ・ファウンデーションで良好に管理・保蔵されているようだから、時間をみつけて行くのが一番いいだろう。

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