2013年4月16日火曜日

「新政権ハネムーン景気」は終わったようだ

昨晩ビジネススクールの授業で統計分析を講じて、帰宅して遅い朝を迎えて、経済ニュースをみて吃驚した。
4月16日(ブルームバーグ):国内通信3位ソフトバンクの株価が半年ぶりの下落率を記録。昨秋に買収で合意した米携帯電話3位スプリント・ネクステルに対し、米衛星テレビ会社ディッシュ・ネットワークが、これを上回る買収額を提示したことから、売りが加速している。
株価は一時、前日比9.6%安の4235円を付けた。日中下落率としては、スプリント買収協議を発表した際の財務懸念から昨年10月12日に記録した17%以来の大きさ。午前10時22分現在は、同360円(7.7%)安の4325円。(出所)ブルームバーグ
”これはいかん!”と、ネットトレーディングで利用している某会社に接続すると確かに前日比415円安(▲8.9%)の暴落になっている。ロイターなどはソフトバンクの経営戦略が頓挫する可能性が出てきたとも述べている。ヤレヤレ(韓流に慨嘆するならアイゴーというところなのだろうが)、またやりやがったか。全く、孫社長の戦略には安定感というのがないのだな。ディッシュの対抗買収に対して、ソフトバンク側の応酬が注目されているということだが、やっぱりここは小生、全株売却しておきました、はい。米市場進出が取りやめになるということはないにしても ― そうなったら更に1000円下がるだろう ― 買収額引き上げは大いにありうるし、いずれにせよある程度の資金圧迫は避けられないだろう。

それにしても、ソフトバンクは突風のような要因だが、楽天も日立も、アメリカのGoogle、Amazonといった成長株も急落している。大体、昨日のNY市場は265.86安。楽観できる様相ではない。WSJには以下の記事がある。
Stocks tumbled as steep declines in gold and other commodity prices fueled a selloff after worse-than-expected data on Chinese and U.S. economic growth.
The plunge on Monday began during Asian hours and spread around the globe. Late in the day, news of explosions at the site of the Boston Marathon added to market jitters.
But for most of the day, attention was centered on the dive in gold prices. For the second straight session, gold plummeted, losing $140.40, or 9.4%, to settle at $1360.60 a troy ounce. The drop was the largest one-day percentage fall since February 1983. Monday's decline brought the two-day losses to $203.70, or 13%.
Traders reported talk of investors selling stocks to raise cash in response to losses on gold positions.
Source: Wall Street Journal, Updated April 15, 2013, 6:56 p.m. ET 
国際商品市況とはいっても石油ガス価格は比較的安定している。急落したのは金価格である。それで株売却を余儀なくされているのなら、まあマネーゲームの一局面であり、実体経済とは関わりは薄いという解釈だ。

確かに、そもそも昨年10月下旬から始まった突然の株価上昇は、昨年春以来の踊り場終了を見通した先行的な押し目買いであるとか、色々と講釈されていたが、小生にはさっぱり根拠が不明で、何で上がるのか分かりませんと本ブログでも書き留めておいたほどだった。そこで言ったのは、結局は政権交代ユーフォリアでしかないのじゃないかということだった。中国が胡体制から習新体制へ、アメリカも大統領選挙、フランスではサルコジからオランド新大統領、韓国も大統領交代、そして日本も解散総選挙と相なった。それで浮かれちゃったんだろうねえ、と。

あれから40年……、違う。あれから半年。その時の狂熱がさめる頃である。実際、昨秋と今と世界経済はそれほど変わっちゃあいない。欧州金融機関の不良債権は根本的に解消されたわけではない。欧州内部の財政インバランス、資金インバランスの問題は、手つかずであり、そもそも解決したいという真剣な決意を各国がしているのかどうか不明である。中国の国内事情は楽観できないことが段々と分かってきている。領有権紛争の芽があることに気がつかなかったが、ずっとそこにあることを再認識しつつある。北朝鮮問題もどうも拡大再生産されつつある。

ただ変わったといえば、日本が最後尾から最前列まで出張っていって、米バーナンキFRB議長と同じ色の旗を振り始めたことであろう。やっていることが同じなものだから、ドルの対円レートが高めに振れたとしても「日本はそういうことはやめろ」とはいいにくいだろう。


方向としては、今後、インフレに向かうことに絶対間違いはない。それでもリスクの潜在を意識すると、金ではなく、ペーパーマネーに戻ろうとする。全く不合理である。ま、不合理な政権交代熱からさめてきたわけだから、これまでやってきた不合理な行動をリセットしつつあるとも言えるだろう。それにしても金価格急落は変だねえ……いまの環境で金価格が1400ドルまで急に下がるとは。

中国かどこか新興国の流動性が最近きつくなっているのじゃないか?そんな気がしないでもない。


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