2013年7月2日火曜日

Amazon.com ー 画廊は書店と同じ道をたどるのか

定期購読しているメールマガジンから、以下の報道にたどりついた。
AMAZON.com is expected to launch an online art gallery later this year. The online retailer of books, electronics and apparel aims to offer over 1,000 art objects from at least 125 galleries, according to dealers who have been approached by the website’s business development group. Amazon executives told one dealer that 109 galleries have already agreed to participate. 
The retail giant’s interest in launching an art gallery first came to light in May, when it organised an information session for New York dealers. Since then, the Seattle-based company has approached dozens, if not hundreds, of galleries from across the US about participating in the programme. A representative for Amazon declined to comment on its plans, saying, “We have not made any announcements about art”. 
At least one dealer was told his gallery could offer art under a pseudonym until the website became successful. Amazon representatives told dealers the site would resemble Amazon Wine, which launched last fall and works directly with 450 different vineyards and winemakers across the country. 
The art platform will take a commission from all sales conducted through the site rather than charge galleries a monthly fee to present their wares, according to dealers familiar with the venture. Commissions will range from 5% to 15% based on the work’s sale price, dealers say. (For comparison, the online sales site Artspace charges commissions ranging from 10% to 20%.)
Source: The Art Newspaper, 27 June 2013 
大手書籍店には、多くの本が並んでいるが、それでもわざわざ足を運んで買おうとしても、偶々在庫がなかったりすることは日常茶飯事だ。この事情は、専門書ばかりではなく、文庫本、古本にも当てはまる。なので、本好きで書店回り、古本屋回りを趣味としていた小生も、最近は「買うため」に本屋に行くのではなく、ただ「寄るだけ」のことが多い。

要するに、小売店は<売れ筋>を置くことを欲しているのであって、そこに行けば買えるという信頼感を顧客に与えることには失敗している。そう思うのだ、な。本屋から足が遠のきつつあるのは、何も行くのが嫌になったからではない。行っても、ないかもしれないから、探すのが面倒だから、だ。

この事情は、書店だけではなく、家電販売店、アパレルなど、全ての商品について当てはまる。アマゾンのビジネスモデルが成功した理由は、正にここにある。もはやアマゾンは、書籍ネット販売ではなく、「何でもそこにあるサイト」になりつつある。検索は瞬時に行われ、広告・宣伝も対個人で表示されるようになった。楽である。面白い。送料もかからない ― ただ欧州では地元業者を保護するため送料タダ商法は規制されるという記事を目にしたことがある(最終確認できていないのだが)。

流通は、「何でもそこにある」、「すぐに手に入る」、この二点で勝ち負けが決まる。要するに「市場(マーケット・バザール)」であれば、売る方は買い手が見つかるし、買い手は売り手をみつけることができる。その意味で、顧客を細分化して、ターゲットをしぼる商法は、利益率には有利だが、成長を目指す上ではヴァルネラブル(Vulnerable)だ、というのが小生の印象だ。つまり、大は小よりも圧倒的な競争優位を持ってしまう。日本の中古専門書売買では第一人者であった「赤い靴(Akaikutsu)」が姿を消した主因には、アマゾンが中古書籍売買に参入したことが挙げられる。顧客を浸食されたのは、なにも丸善やナウカだけではないのだ。

だから、今度は美術品市場に参入すると報じられても、やっぱりなと思うだけだ。書店の次は画廊が同じ道をたどるのだろう。ただ、美術界には文筆界とは異なる事情もある。文筆業は、作家+出版社+販売店の三本立てだが、美術界は作家+画廊の二本立てである。作家を育てる出版社が生き残っているのと同じ理由で、画家を育てる画廊はアマゾンが成長・拡大しても生き残る可能性は高い。

なくなるのは、画廊という店舗だけなのかもしれない。無論、真品を目で確かめたいというニーズはなくならないので、完全なネット販売は美術品には適しないが、常時店を開く必要はない。画廊連盟共有の面談室があれば、商談成立には事足りる。そんな風に美術品取引も変わって行くのではあるまいか。

とはいえ、アマゾンが作家と直取引を始める時がやがて来るだろう。作家は、どこかの団体に属し、仲間がいて刺激を受けてさえいれば、あとは創った作品を高額で買ってくれる買い手をみつけることだけが望みなのだから。


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