2013年8月24日土曜日

福島第一: 東京五輪開催は辞退しておく方がいいのではないか

23日時点でのロイター電:
[23日 ロイター] - 2020年夏季五輪の東京招致委員会は23日、開催都市が決まる9月7日からの国際オリンピック委員会(IOC)総会に向け、東京都庁で出陣式を行った。
東京は2016年大会に続く2大会連続の立候補で、マドリード(スペイン)、イスタンブール(トルコ)と争う。開催地はブエノスアイレス(アルゼンチン)で開かれるIOC総会で委員の投票で決まる。
安倍晋三首相は出陣式で約800人の出席者を前に、「ブエノスアイレスでは2020年、東京のアナウンスを響かせましょう」と呼びかけ、自身も代表団の一員として現地入りすることを明らかにした。
しかし、東京五輪招致にカネをかけている状況ではなくなりつつあるのじゃあないか?

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本日のYahooニュースには福島第一原発周辺の汚染水拡散が次のように報じられている。
東京電力は23日、福島第一原発の港湾内で採取した海水の放射性トリチウム(三重水素)の濃度が1週間で8~18倍に高くなったと発表した。1~3号機周辺の地下水汚染の発覚で、監視を強めた6月以降では過去最高。港湾外への放射能汚染の拡大が進んでいるとみられる。(朝日新聞デジタル)
韓国・日本ツアーは旅行キャンセルが相次いでいるという。韓国政府から日本に情報提供が要請されたのは先日のことだ。

既にシンガポールでは

<福島汚染水漏れ問題>「日本政府は問題を直視し、安全対策を取れ」―シンガポール華字紙

というヘッドラインが踊っているし、
レコード・チャイナには

福島第1原発の汚染水流出に「海洋環境を汚染する日本に賠償を請求せよ」―中国版ツイッター
配信日時:2013年8月20日 19時30分

という文字がある。アメリカのBloombergも以下のように解説している。
8月23日(ブルームバーグ):東京電力福島第一原子力発電所の汚染水漏えい問題が深刻化し、原発の再稼働や原発技術の海外輸出など安倍晋三政権の掲げるアベノミクスの柱の一つともなる原子力政策に暗雲がたれ込めてきた。
(中略)
菅義偉官房長官は同日の会見で、「このような漏えいの発生は極めて遺憾」と指摘。「政府全体として早急に汚染水の漏えいを止めることに全力を尽くす」との決意を示した。ただ、東電も漏えい箇所の特定ができず、他のタンク近辺からも高濃度の汚染が確認されるなど、問題の解決にはまったくめどが立っていない。 
日本に50基ある原発のうち、48基は停止中。安倍政権は規制委員会の基準に基づいて安全性が確認されたものについては順次、再稼働させる方針を掲げている。 
一方、原発の再稼働に関しては共同通信が7月13、14日に行った世論調査でも反対が50.6%、賛成は40.0%と反対が半数を超えている。上智大学の中野晃一教授は福島第一の汚染水問題の深刻化は国民の間で原発への反発を強めることになると指摘する。
Original: Bloomberg, 2013,8,23 
もしも日本海流が南から北ではなく、北から南に流れていたら、首都圏の住人はこれほど安閑としてはおるまい。当の福島県人がなお静かである中、首都圏住人が先に霞ヶ関に集結して、デモを繰り広げていただろう。

黒潮が北へ流れているのは不幸中の幸いだが、仮に北海道東沖から放射性物質が検出される事態になれば、国後島、択捉島周辺からも検出されるのは時間の問題であり、仮にそうなればロシア政府は日本政府に対して公式に損害賠償を求めてくるだろうー もちろん生命に直ちに危険を及ぼす程の放射性数値にはならないだろうが、広い海洋全体を原状復帰させる能力が日本にはない以上、先方の賠償要求と此方の北方領土をチャラにするような形で手を打たされる位は十分予想できる。こんな展開もありえないわけではないなあと、今は想像している。

……こんな風に想像したが、ふと気になって確認すると、黒潮は千葉県沖からほぼ東方向へ流れ、北から南に流れる親潮が岸寄りに南下していると分かった。更に、福島沿岸寄りには日本海から津軽海峡を抜けた暖流が南下してもいる。そうか…、福島沖は黒潮が北上しているというより、潮の流れは北から南へ下がっているのか、と。そもそも国後、択捉辺りに黒潮は近づいていない。フ~ム、だとするとあれか、原発汚染水が福島第一港湾内から外へと漏出すれば、まずは南へ拡散していくわけか。危ういなあと感じた次第。

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原発管理当局は、いま伊方、川内、泊等々、再稼働申請のあった各原発の審査で手一杯だろう。というか、当局が立ち上がってからずっと原発再稼働の方角を向いて仕事をしてきており、重大事故を起こした福島第一原発については事故責任のある東電に任せて、その安全性担保には意識が向いていなかった兆候がある。

汚染水拡散がこれからどう進展するか現時点ではなんとも言えないが、おそらく現状は安倍政権にとっては想定外であろう。進展によっては、物事の優先順位を誤った<失政>となり、内閣支持率が一気に20%程度にまで急落、不支持率が40%超にまで上昇する、そんな事態もありえると予想する。また仮に東京五輪招致に成功するとしても一年後に辞退するという確率がゼロではない、と。小生はそう感じている。とすれば、いまの状況で五輪招致にエネルギーを投入するのは理に適っておらず、戦線を整理するべき状況であると。そう思うのだな。

IOC総会などに出ている場合ではなく、早急に帰国して、事態把握につとめるべきではないか。そう感じている国民は多いのじゃあないだろうか。

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これも本筋からずれていて、ちょっと違うか……首相官邸にいる極く少数のトップ・マネジメント層がすべて仕切っていくというのは、一日24時間という時間制約を考慮すると到底無理であると思うのだ。メガ企業も同じだろうが、トップがやるべきことは100万の人的リソースを最も効率的に活用することである。『三人寄れば文殊の知恵』という。数人の頭が百万の手足を意志のとおりに制御できるはずはないのだ。党員が各官庁の要所に何万という単位で浸透している国柄でもない。現場に十分な権限を与え、官僚百万人の士気を高めて、おのおの能力と組織力に基づいて現実と戦う、闘う勇気と生きがいを与えるのが日本の政治家の職務だろう。結局、日本の総理は一番奥に座る<床几大将>である。欧米や中国の指導者像とはずいぶん異なるが、天皇を戴いた日本ではずっとそうなのだから、せっかちに変えようとしても結果は出ない。そう割り切るしか良いやり方はないのではないか。

何もかも総理大臣の発言を待つというのでは、せいぜい一人もしくは仲間数人の話しであり、こんな風では権力を実質行使できるはずもなく、お先真っ暗じゃあないかとも、小生、最近思っているのだ、な。


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