2014年7月11日金曜日

海とキッチン

先日、心疲れたときには海に行こうと言ったのは哲学者・森有正だと書いた。

今朝、まだはっきり目が覚める前に何の夢をみていたか覚えていないが、海に行こうと言ったのは森有正ではなくて、矢内原伊作であることを思い出した。

矢内原伊作の『顔について』は若い頃の愛読書だ。


この中に「海について」がある。
心おとろえたときは海に行こう。心熾んなときも海に行こう。衰弱と燃焼とは別のものではない。倦怠と瞋恚とは別のものではない。この世は人を疲れさせる。この世の限られ、歪められ、固定された時間と空間とは、自由な心を縛り、閉じ込め、悲しませる。……山はその高さと深さによってわれわれを我々自身に送り返し、われわれを内面へと向かわせるのである。海はそうではない。海はその涯しない広さと、生気にみちた明るさと、絶えまのない動きとによって、われわれを内部へではなく外部へと向かわせる。山は人を抱擁し、やすませ、休息させ、内省させるが、海は人を解放し、逃亡させ、活動させるのである。それゆえに海に行こう。(同書:62-63頁)
よく思い出したものだ。考えていないようでも、どこかで考えていたのだろうか。

☆ ☆ ☆

亡くなった祖父が残してくれたお金でキッチン周りをリニューアルすることにした。祖父は司法界で生涯をおくった人である。祖母も祖母の娘である母も、小生に後を継いでくれと何度も言ったものだ。が、小生はそうはならなかった。北の田舎に隠棲してサボり放題の人生を送ってきた。ところが愚息がそっくり同じ道ではないものの法律でメシを食っていく仕事を選んだ。愚息を育て上げたカミさんに何かしてあげてくれと些少の金を遺してくれていたのかもしれない。

それで今日は隣のS市にあるリクシルのショールームまで商品の現物を見に行ってきた。リフォーム業者は、来週月曜に見積もり金額を持ってくる、そのついでに電気業者も連れてきて工事の段取りも相談したいという。

それにしてもLixilって知らんなあ。そう思って調べてみると、サンウェーブやINAXなど数社が大合同して誕生した会社で業界最大手だという。そういえばサンウェーブって最近聞いてないよなあ、そうかいまはリクシルになったんか。小生がまだ両親と暮らしている時、確か台所はサンウェーブだったような記憶がある。あるんだねえ、今でも。

そんなことを思いつつ、今日はカミさんに付き合って疲れた。海に行きたくなった。というか、北の窓から海が見える。今日は外を眺めながらオフ・ワークとしようか。



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