2015年6月8日月曜日

覚え書 − 「問題があるのはまずい」症候群の一例

一般的に言って、問題が出てくる、問題が見つかる、というのは良い兆候だ。

何故なら何を管理するにも「問題がない」という状態は絶対にないわけで、日常的に最も重要な課題は「問題点を見つける」。この点にしぼられるからだ。「異常なし」という姿勢がしばしば破滅を招く遠因になるのは、福島第一原発を管理していた東京電力のみに当てはまるわけではない。

問題解決の前に問題発見が必要であるのは鉄則中の鉄則なのだ、な。

ところが多くの場合、問題が見つかると『まずいね』という言葉が返ってくるのには、小生若い時分から「理屈に合わん」といって大いにヤル気をなくし、サボタージュしたものである。本当に扱いにくい若者であったわいと、今でも夢の中で若い頃の職場が蘇ってきては汗を流している・・・。覚めてホッとするのは寧ろ幸福であると言われれば確かにそうなのだが。

それはともかく、高級官僚の人事一元化政策を行うため内閣人事局が設けられたところ、これが不評なのだと言う。少し古いが下の報道を書き留めておきたい。
中央省庁の幹部人事を一元管理する「内閣人事局」(局長=加藤勝信官房副長官)が30日、発足から1年を迎える。
 省庁の縦割り排除や女性登用を進めるだけでなく、人事権を通じて、安倍内閣が掲げる「政治主導」を強化する役割も果たしている。
(中略)
ただ、人事の決定に当たっては菅氏と内閣人事局長の加藤氏の意向が強く働いているとされ、霞が関からは「官邸に嫌われたら、出世できない」(中堅)との嘆きも漏れる。安倍首相が進める農業・医療などの規制を緩和する「岩盤規制改革」でも、人事権を握る官邸の反応を気にして、規制権限を持つ関係省庁の腰が引けているとの声もある。
(出所)YOMIURI ONLINE, 2015-05-30

官邸に嫌われないように身を処すのは理不尽だというのが伝えられているメッセージだろうか。

そもそも縦割り省庁体制を統合し、官僚政治から内閣が主導する政治へと変化させるために人事一元化が行われた。一元化されれば、民間企業の従業員が経営陣の評価を気にするように、内閣の評価を気にするようになるのは当たり前である。

もともと狙った変化が表われてきた段階で、「問題が生じてきた」と言うとすれば、それは不利益を被る集団による不満であるという理屈になる。

ただ士気が全般的に低下すれば、問題には違いなく、解決のためには原因分析が必要である。

一元化するのであれば、人事戦略についてもチャンと一元化しているのか、そもそも高級官僚システムの包括的人事戦略というのはあるのか。不勉強のせいかあまり聞くことがない。疑問はつきない。

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