2015年8月31日月曜日

たしかに「ヘイトスピーチ禁止法案」では通るまいヨ

「ヘイトスピーチ禁止法案」の今国会での可決が見送られるとの報道あり。憲法で保障している「表現の自由」と抵触する怖れがあると、与党が二の足を踏んでいるためらしい。

法案の具体的な背景は、(言うまでもないが)在日韓国・朝鮮人を標的にした粗暴な街頭宣伝が目に余るレベルに達していて、これ自体が日本の社会問題になってきている点だ。

が、「ヘイトスピーチ禁止法案」は、直接的に発言を公権力で禁止するわけなので、確かに憲法との兼ね合いが心配されるだろうねえ…、とは思われるのだ。

とはいうものの、何度も投稿しているように憲法の定める「表現の自由」は、何を言っても責任をとらなくともよいという意味ではない。

口にしたことで相手が傷ついても「表現の自由」を名目に責任をとる義務がないならば、そもそもセクハラやパワハラ、マタハラ等々、現代日本社会で蔓延する<口先暴力>を抑止する根拠が全くなくなってしまう。言おうと思って、相手に言ったことは、すべて発言した人物が責任を持つ必要があるし、精神的苦痛を与えてしまった場合は<謝罪>と<賠償>の義務が生じるのは当然だ。もちろん、これらの判断は裁判にまつ必要がある。

ヘイトスピーチとは、人種・宗教などを理由とした<エスニカル・ハラスメント>に該当する。分類としては、セクハラ、パワハラと属性を共通する不当行為だと見るのがただしい。

更に、口で言ったことだけが不当行為なのか?口ではなくLineなどネットを利用した<ハラスメント>も同種の行為ではないか。落書きをする、ビラをまくなどもそうであろう。もっと一般的にみて、ネガティブな流言やデマを意図的に拡散させる行為もこのカテゴリーに含まれると考えれば、ライバルに対するネガティブ・キャンペーンもそっくり含まれてくるだろう。

ともかく、表現の自由を悪用した不当行為は、情報化が飛躍的に進んだ現代社会では根深く広がっていて、蔓延している。そう思われるのだな。

ところが、<ハラスメント>一般を法的に定義する基本法が日本にはまだない。<口先暴力・ネットバッシング>もまた一種の<暴力>であるととらえる視点が求められているのであって、その中のヘイトスピーチだけを取り出して、『こういうことは演説してはならない』と定めるのであれば、確かにそれは権力の肥大化につながる悪しき道である。そう思われるのですな。

いずれにせよ、ハラスメントを「口先(筆)による犯罪」と認めるなら、言った人は(書いた人は)お上に罰金を払うか、刑務所でオツトメをするわけだ。それよりは、言われた人(書かれた人)へ償いを行う民事上の措置の方がはるかに大事ではないのか?億円単位の賠償判決でも出しますか…全部裁判するの……?どっちにせよ、きちんと一般的な目で審議することが望まれているのは確かだ。


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