2016年3月9日水曜日

面白いのでメモっておく: 国連と天皇

これは面白い。そんな話題が国連から出てくるとはねえ・・・。そう思わせるのが、次の記事。
 国連女子差別撤廃委員会が7日に発表した日本の女性差別に関する報告書を巡り、男系男子による皇位継承を定めた日本の皇室典範が女性差別にあたるとして、見直しを求める内容が報告書最終案に盛り込まれていたことが8日分かった。
 複数の日本政府関係者が明らかにした。政府が反論し、最終的に記述は削除された。

 政府関係者によると、最終案は4日、同委から政府に示された。皇室典範が女性天皇を認めていないことに「concern(懸念)」を表明し、見直すよう求めていたという。

 政府は、在ジュネーブ日本政府代表部を通じて、〈1〉十分な議論もなく皇室典範に関する意見を突然盛り込むのは手続き上の欠陥がある〈2〉国民の支持を 得ている世界の王室・皇室制度を取り上げるのは不適切――などと反論し、削除を求めた。政府関係者は「反論しなければ、そのまま掲載されていた。報告書の 作成過程に疑問がある」と語った。
(出所)Yahoo!ニュース
(元記事)読売新聞、3月9日7時52分配信

議論のテーマとしては以下のものが選べるだろうか:
  1. 国民の支持を得ている世界の王室・皇室制度を取り上げるのは不適切
  2. 十分な議論もなく皇室典範に関する意見を盛り込む・・・欠陥がある
  3. 男系男子による皇位継承を定めた日本の皇室典範が女性差別にあたる
上の1と2はまとめてもよい。要するに、日本国民がそれでいいと思っている法律を互いに納得する意見交換もすることなく突然「女性差別にあたり問題がある」と公表するのはおかしい、と。

まあ、あれであるな。亭主関白の家庭があって、妻も子もそれでよしと円満に暮らしているのに、『あれじゃあ奥さんが可哀想よ』とお向かいさんの弁護士一家が言い出して、それが市の弁護士会の報告書でも言及される・・・。こんなことがあれば、確かに面白くないわな。小生も同感だ。


『政治においては、世襲の権利によって統べる愚かな殿様ひとりのほうが、権勢を欲しがってなぐり合いをする無数の生半可な利口者よりも危険性が少ない。』(パスカル)

人間は進歩するが、人間が滅びるのも進歩するが故である。これもパスカルの言だったかな ?


「女子差別」という特定かつ単一のテーマに関連して検討を進める以上は、男系男子に限り継承可能であるという現在の皇室典範は、ロジックとしては問題になる。この点は誰が考えても否定できない所だ。

加えて、「国民が支持している、だから・・・」という理屈は、世界において常に容認されるわけではない。容認されなかった例など、現に無数に見ているはずである。

おそらく皇室典範という法律ではなく憲法に明記するとしても、男女の平等という観点からその憲法には問題があるという報告を国連は出すであろうし、また出さなければならない。


日本国憲法にはただ「天皇」と表現されているだけだ。天皇は男性であると規定しているのは法律である皇室典範である。憲法で天皇は世襲されると規定し、その天皇は男性だと皇室典範で決めているので、つまりは男子から男子へと、男系で世襲していくとしているわけだ。その決定を大日本帝国憲法発布と同時に明治政府が明文化して行った。

男系で皇位を世襲するという規定は「女性差別」に該当するのだろうか?

日本の天皇制が「女性差別」の象徴であったのか?

そうではあるまい。歴史という時間を通して生き残ってきたシステムは、その存在によって頑健性が証明されている。そもそも男女を差別するという習慣なり、システムがあるとして、そこから永続可能な利益が日本社会にもたらされるとは考えられない。

一言で言えば、それがよいからそうしてきた。「話せば長くなる。が、それが最もよかった」。最適であった。そんな性格のものじゃあなかったのか。天皇制についてはそう考える視点が本筋であると感じる。

ユニバーサリズムとローカリズムは、常に対立する二つの見方なのだが、それが世界の公共の利益に損害を与えていない限り、ローカルな「伝統」を尊重するという視点も「普遍的真理」という視点と同程度には重要だろう。


・・・と、総括しておくのが、今日のまとめとしては適切か。

誰の利益にもならない真実は、誰も知る必要がないものだ。これもパスカルだったかな・・・。真実だからといって、それ自体に価値があるわけではないというのは、小生も日頃同感するところなのである。森鴎外も言うように『かのように』の視点を捨て去ってはならない。人間社会はそれほどシンプルではない。

0 件のコメント: