2016年4月24日日曜日

熊本地震: これは東日本大震災との違いなのか

後で調べるための覚書きとして書いておきたい。

熊本地震と東日本大震災が発生した後の現象的な違いである。

一つは、被災地で発生した窃盗・空き巣である。東日本大震災時にもある程度は発生したと記憶している。そもそも東日本大震災の被災地には巨大津波が来襲し、家屋はほぼ壊滅していて、空き巣に入るにも狙うものがなかった。そんな事情もあったかもしれない。これに対して、熊本ではやや違いがあるようだ。

熊本地震の発生後、住民の避難により「空白地帯」となった被災地で、窃盗事件が相次いでいることが21日、熊本県警などへの取材で分かった。県内では被災直後から他県警の応援も受け、被害が激しかった地域を中心に24時間態勢のパトロールを開始。被害の未然防止や摘発の強化に乗り出している。

(出所)産経ニュース、2016年4月21日

もう一つ、アマゾン「ほしい物リスト」の活用状況。

被災地で必要なものをネット上にアップし、それを見た支援者が代金を払うと商品が届く−−。ネット通販大手「アマゾンジャパン」のサービス「ほしい物リスト」が、熊本地震でほとんど利用されていない。2011年の東日本大震災では活躍したが、認知度不足などから活用されていないようだ。・・・  
ほしい物リストは、たとえば避難所の運営者が欲しい商品とその数をネット上に掲載し、支援者がその商品をアマゾンを通じて購入すると、避難所に商品が届く仕組み。必要な物資を必要な量だけ調達できる利点があり、東日本大震災では、仙台市などが活用し、7000カ所以上の避難所や個人宅などに10万個以上の物資が届けられた。伝言欄もあり、避難所と支援者のコミュニケーション作りに役立った。南海トラフ巨大地震の被害が予想される徳島県が運用に向けた訓練を重ねるなど、活用の動きが広がる。 
 だが、熊本地震での利用は低調でリストは数件にとどまる。

(出所)毎日新聞、2016年4月23日

 アマゾンのほしい物リストのほうは津波とは関係ない。さらに、周知の度合いは2011年の東日本大震災の時より、今年のほうがずっと上がっていると思われる。にもかかわず、これほどの「違い」があるというのは、偶然ではないと思われ、人口・被災状況・都市化の度合いなど環境要因を考慮しても統計的に有意な違いであると思われる。

そうかと思うと、SNSとデジタル地図情報をドッキングさせたサービスが熊本では提供されている。
 「情報があふれていて何を見ればよいか混乱していた。分かりやすい地図情報を見ることができてうれしかった」
 被災者から早速、こんな感想が届いているのは、フェイスブックの公開グループ「Youth action for Kumamoto」の取り組みだ。「給水所」「スーパーマーケットの営業状態」「炊き出しや支援物資集積地点」などの情報をグーグルの地図サービスに示している。
(出所)日本経済新聞、2016年4月21日

東日本大震災時には、SNSは浸透していて大いに活用されたが、スマートフォンはiPhoneが4から4sへと進む段階に来ていた一方、アンドロイドのほうはGoogle Nexusが登場して認知され始めた時期である。フェースブックも「アラブの春」を支援する影の立役者であったというので、やっと日本でも注意されてきた頃だ。東日本大震災と熊本地震とでは、SNS利用技術もその進化の度合いにおいては、確かに大きな違いがある。

確認される違いは、いろいろな説明が可能である。が、事実に最も当てはまる説明の仕方、つまり最有力な仮説は常に一つしかない。

技術的な違いもあれば、人間的要因に基づく違いもあるはずだ。

統計的な違いに着目することは、あらゆる品質管理の第一歩であるばかりではなく、PDCAサイクルにおける問題解決への近道だ。

災害は場所や時点が違うだけではなく、外観や現象面で多くの違いを示しているはずだ。違いに応じて、対応も一様であってはならないはずだ。

反面、災害救助においては必須の共通事項もあるだろう。

その災害固有の対応と、一様に対応するためのシステム標準化とを、どう整理して仕分けるかという点も課題としては面白い。

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