2016年5月5日木曜日

日米: 中国市場争奪で歴史は繰り返す?

米・共和党の大統領候補が(事実上)トランプ氏に決まって今秋の本選挙は面白くなってきた感がある。

報道によれば、民主党の最有力候補であるヒラリー・クリントン氏は、極めて著名で実績も十分すぎるくらいだが、特に女性と若者の支持が薄い弱みがある(そうだ)。それに対して、トランプ氏は、草の根アメリカ人のホンネに響きあうことを語っているようだが、女性層はトランプ氏に嫌悪感を感じているようである(とのことだ)。

今秋の米国・大統領選挙は、どちらが大統領にふさわしいか、どちらの候補を支持するか、というよりもどちらが嫌いか、どちらがイヤか、そんな<ババ抜き大統領選挙>になるのではないかと予想してきたが、まさしくババ抜きゲームがこれからアメリカで繰り広げられそうな塩梅になってきた。

まあ、ババ抜きを文字通りに解すれば、クリントン氏は娘さんが出産されてもうお婆ちゃんになっているそうで、そうなるとトランプ大統領誕生とあいなるわけだが、これは一場の笑い話であろう。


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ただ、思うのだなあ・・・。

トランプ氏は、日本や韓国など同盟国に対する軍事負担を軽減し、むしろ仮想敵国であった中国やロシアとの融和を図りたい。そんな姿勢を示しているので、日本政府も気をもんでいるそうだ。

本ブログで何度も書いているが、アメリカという国の<永遠の夢>、というよりこれまでの歴史を見る限り<見果てぬ夢>であってきたのは、中国という巨大市場をロイヤリティの高い優良顧客にするという野望である。もし中国人をそっくりアメリカ企業の優良顧客にすることができれば、停滞色を強めるアメリカ経済は再び太陽の光を浴びることができるというものだ。人数だけで言えば、中国は日本よりも10倍も魅力のある市場なのである。10を捨てて、1を自腹で守るなんてバカバカシイではないか。トモダチを選ぶならトモダチがいのある奴を選びたいものだ。この理屈はたしかに庶民受けするであろう。

中国市場を獲得しつつあるのは、むしろロシアであり、ドイツであり、イギリスである。そして日本も険悪な日中関係が続いているにもかかわらず、経済面では関係を深めたいと互いが考えている節がある。

アメリカが中国市場の『門戸開放』を要求したのは、20世紀初頭である。それ以来、日本はアメリカの目の上のタン瘤となってきた。ヨーロッパの帝国主義国家は駆逐するべき老大国であった。植民地帝国を駆逐する段階では日米の利益が合致したが、そもそも中国進出においては熾烈な競争関係にもあったわけだ。

1920年代以降の日本の外交戦略は、中国での権益維持と国際協調のバランス、アメリカとの良好な関係維持と中国進出とのバランス、ロシア抑制策とのバランスであった。そのバランスを一挙に崩したのが、満州事変という陸軍の一参謀(=石原莞爾)による曲芸のような戦略、というより暴発であったのだな。

あとは歴史が示すのみ。

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欧州が先行し、日本が追随する。その日本が目の上のタンコブとなる。

歴史は繰り返す、だ。

考えていることはわかるが、アメリカの大戦略を180度転換するということだ。

TPPもせっかくまとまったが、<ちゃぶ台返し>の憂き目にあうかもしれない。本当にそうなるとは予想できないが、ずっと持ってきたアメリカの野心であるには違いない。

とはいえ、共産党政府ですぜ。自由資本主義はどうするんですかい?自分だって、資本主義の象徴みたいなお人でしょ?

まあいいってものか・・・、共産党の親玉の習近平さんだって、ご親族のお方がタックスヘイブンに隠し所得をもってたってネエ、驚き、桃ノ木、山椒の木ってもんだ。看板と中身は違うと考えりゃあ、中国もアメリカもやっていることは同じってことさね。もうけ話が何よりお好きでしょう・・・。

こんな風な政治評論がそのうち出回るかもしれない。そうなってきた。

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