2016年6月13日月曜日

米金利: まだ金利引上げのチャンスを探すものなのか?

FRBによる米金利引き上げは、過ぎてみると昨年2015年のある時期に必要な分量でやっておくべきだった、と今は思っているのではないだろうか?


8月には上海暴落。12月に引き上げを決めたら年明けには再び上海急落に端を発するダウ平均の暴落。

「いまは無理だよね』と思いつつ、再引き上げを延期してチャンスを探し、いよいよ上げようと思っていたら雇用統計の悪化があった。ちょっと待つかと思っていると、英国のEU離脱問題がクローズアップされてきた。『いまは無理だよね』に戻ってしまった。

今回の景気循環は世界的には設備投資循環として理解できる。今は過剰設備の状況にある。その中で米経済はほぼ完全雇用状態に近いと判断されている。雇用増加数が伸び悩むのは当たり前だ。完全雇用状態に近づいているのは日本経済も同様だ。4月の全国有効求人倍率は1.34にまで上昇した。全都道府県で1倍を超え、求職者数を上回る求人がある状況であるーそれでも「歓迎できない」と報道されているのは、景気判断云々ではなく、就業構造に関する問題であって、こちらは20年単位で考えるべき構造問題だ。

ま、どちらにせよ常に何かがあって上げるべき金利を引き上げられずにきた。上げるべき消費税率を上げないと決めてしまった。

適切な時期に決めるべきことを決めないでいれば、後になってより激しい反応が出てくるのは経済の常である。

自律調整できたはずのアメリカ経済も、判断の遅れのため完全雇用の制約にかかり、成長率の低下から投資が減少し、消費は旺盛なもののマクロ的には景気後退に入っていくかもしれない。典型的なヒックス的不況に落ちていきそうだ。

逃したチャンスはただ逃がしたという事実だけがあるのであって、忘れた約束事のように遅ればせながら実行しても、もはや事態を悪化させるだけである、と。傍から見ているとそう思うのだなあ。

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