2016年6月18日土曜日

都知事選の混迷 ≒ 政治家選別の混迷

二人続けて東京都知事がカネの問題で不名誉な辞任をしたというので、一体どうすれば立派な都知事を選出できるのか、と。都内では盛んに井戸端会議が催されているらしい。

本日の道新には道知事の海外出張に関連する経費が報道されていた。それによれば、ファーストクラスに搭乗する権利はあるものの、それは一度もなく、ビジネスクラスを使っているということだ。問題は『だからよし』というわけにはいかないという点だろう。

適任か、不適任かは単に出張費が高すぎるとか、別荘をもっているとか、そんなことではないはずだ。


そもそも今の日本人は、東京都の知事に、国会議員に、最終的には内閣総理大臣にどんな人物を希望しているのだろうか?

そこが、小生も、わからない。そもそも「日ノ本太郎」なる人物が実際にいるわけではない。確かめようがないのだ、な。

大体、都知事を一人選ぶときに、その人のキャラクター、思想、バックグラウンド、さらには評判、評価、仕事の仕方等々、有権者はどのくらいまで分かったうえで投票をしているのだろう?

ざっとした印象や、人気、世評だけではないだろうか?

こんな有様になるなら、知事選出も議院内閣制にすればいいのではないか。都知事なら、都議会が議員の中から選ぶわけだ。

だからといって、全うな人物が都知事になる保証はない。そもそも都議会議員にはどんな人物が立候補しているか。そこが不透明である。大体、都議会議員の報酬で、東京都を心から愛し、滅私奉公しようと一肌ぬぐ人物がどのくらいいるのか、ここもまたサッパリわからない。

ある県の知事OBは、報道番組で知事辞任の際のルールを決めておくのがいいだろうと話していた。アメリカ連邦政府で大統領が任期を全うできなかった場合は副大統領(兼、上院議長)が、それが不可能の場合は下院議長が、更に・・・という具合に継承順位が定められている。継承者が大統領職をつとめるのは残任期間である。

都知事なら残任期間が2年弱残っている。その期間を緊急的に勤める。ま、ピンチヒッターというわけである。

知事職もそうしてはどうかというアイデアだった。


それでもなお、政治家に対する不信や不満の心情は絶えることがないだろう。

永遠にこうなのかもしれないし、どこかで統治リスクにまで至るのかもしれない。

今の安倍首相は長州の政治家一族の三代目である。アメリカではクリントン、ブッシュ両家の政治独占を嫌悪する心情が強いと伝えられているが、日本ではヒラリー・クリントン元国務長官のエリート臭に対する反発に類似した心理が安倍首相に対してあるのだろうか。

民主党政権の初代首相をつとめた鳩山氏に対する盲目的な信頼を思い出しても、日本では血統に対する尊敬の念が意外と強いのかもしれない。

年齢に似合わず小泉進次郎議員の衆望が意外なほど高いのも、ある意味では親の七光りかもしれないし、別の意味では日本人の名門好き、家元好きの心理に適っているのかもしれない。

持タザル者ハ富ヲ欲スルガ、持テル者ハ金銀デハナク名誉ヲ欲シ、歴史ニ名ヲ留メント欲ス

小生の思いつきでこう書いたが、「カネは働いた分だけもらいますけどネ」という世俗的な政治家が嫌で仕方がないならば、すでにカネなり、土地なり、人脈なりをもっている人に政治をお願いするしか方法はないだろう。

何も持っていない、これからの人に、民主政治をまかせ、滅私奉公がモラルであると言い、カネを作るなと求めつつ、自分自らは儲かる仕事があれば喜ぶという有権者では、日本に「政治」なる行為は成立しがたい。というか、政治の新陳代謝はなくなる理屈だ。

こんな風に思ったりもする昨今でござります。

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