2016年6月24日金曜日

EU離脱: 『何があるか分からない』のは本当だった

ひょっとするとと思っていたが、まさか離脱が多数を占めるとは想定外だった。英国の国民投票である。

ソ連崩壊以来、欧州が台頭して旧ソ連圏は後退した。ロシアのプーチン政権は経済制裁の下で逼塞状態にある。

英国がすぐにEUから離脱するわけではないが、結論は決まってしまった。ヨーロッパの弱体化が進むのは確実だ。

ロシアは喜ぶだろう。ロシアとドイツは今のところ(歴史的にも)悪くはない。ヨーロッパは弱体化する。その中でドイツは欧州筆頭国になる勢いを示すだろう。フランスは単独でドイツとやりあう必要がある。フランスは落胆しているだろう。落胆したフランスはロシアとの距離を縮めようとするだろう。ロシアは仏独を天秤にかけるに違いない。ロシアのプーチン大統領は中国を訪問する予定だが、過剰生産、過剰設備にあえぐ中国にはロシアの石油を爆買いする意欲はもうないだろう。そんな中国に頭を下げて頼みごとをする必要がなくなったとすれば、プーチン大統領は幸運ではないか。逆に、ロシアに貸しを作るチャンスを逸するだろう習近平国家主席は落胆を感じているだろう。日本にとっては少し有り難い話かもしれない。まさに『風が吹いて桶屋がもうかる』という話しである。欧州と距離をおく英国は、米国が対欧州、対ロシア戦略を考える際の価値が下がってしまったが、弱体化しロシアの影響力が強まる今後のヨーロッパ大陸に直面するとき、英国の存在はやはり大きいだろう。

非常に長い目でみて英国にとって欧州と距離を置くのが得か、共同体の一員であるのが得か、それは現時点ではなかなか予想できない所だ。しかし、自分の国の運命は自国で自由に決めたい、それができるだけの外交、経済資源を英国はもっているというなら、それはヤッパリ持っているのだろう。

それにしてもBP、RIO TINTO、HSBC、GLAXOなど英企業に投資するなら、今夜に買えばよかった・・・・そう思う人は多かろう。待っていた賢明な(?)人は、今日が千載一遇のチャンスだと思うだろう。

小生も「残留派」が勝つだろうと思っていた。

「世界経済は危機にある」と、安倍総理はサミットで話したそうだが、今後半年、米大統領選挙もある中で、来年4月に消費税率を引き上げると決めてしまっていいんですかと、それが心配だったから再延期したのです。「だから言ったじゃないですか」、そう言えるようになったわけで、日本の安倍総理もロシアのプーチン大統領と同じく、心中でシメシメと思ったりもしているのではないかねえ・・・・・。

『これでもうイギリスはダメだ』と断定して、欧州の拠点をパリやフランクフルトに移す、ロシアとの関係を強化するなど軽薄なことををすれば、それは第一次大戦後に大英帝国はもうダメだと軽んじて、ドイツの勢いに幻惑され、最終的に失敗した戦前の二の舞になるだろう。ここはよく吟味したほうがいいと思うねえ・・・。

それにしても、競馬やパチンコとは違う、実に迫力があるリアルそのものの政治劇ではあった。まあ、いま世界で話されているのは『キャメロン首相も、ホント、アホじゃなあ』。そんなところだろう。

0 件のコメント: