2016年7月23日土曜日

5月14日予測「7月ボトム」は結果オーライか?

5月14日投稿で書いた予測は、その時点で利用可能だった直近の景気動向指数を使って計算した結果だったが、その先行指数自体は3月末までの推移でしかなかった。これによると、先行指数(株価、長短金利スプレッドなど景気先行性を有するデータ群を一つの数値に要約したもの)は、夏までは下がるものの、7月で底打ちする気配がある。そんな結果であった。

さて、今日は7月23日だ。

鉱山業界のニュースサイトであるマイニング・ドットコムは次の記事を掲載している。

Metals and mining rally has staying power




There was a general pullback in industrial metals and mining on Wednesday on the back of a stronger dollar and lingering worries about global growth. But the dip doesn't mean that the upward momentum is now broken.


There hasn't been a lack of skeptics about prospects for the sector and at the start of the year producers themselves may not have expected nickel above $10,000 by mid-year, iron ore building a base above $50 or zinc up by 40% by July.


上の記事を見ると、鉄鉱石の価格がまだ相対的に弱いようだが、その鉄鉱石についても:

 鉄鋼原料となる鉄鉱石の価格が反発している。指標となるオーストラリア産の中国向けスポット輸出価格は7月中旬に1トン59ドル前後まで上昇、約3カ月ぶりの高値をつけた。直近安値の6月上旬に比べて2割高い。資源メジャーの増産に歯止めがかかりつつあるとの見方が出た。
 豪英資源大手BHPビリトンは20日、1~6月期の鉄鉱石の生産量が前年同期比2%減の2億2700万トンとなったと発表した。従来の生産目標を下回り、増産ペースが鈍っている。ブラジル資源大手ヴァーレとの合弁会社サマルコの鉱山で2015年11月に発生したダム決壊事故で、生産量が落ち込んだ。
 中国では6月以降に鋼材価格が再び反発し、底入れ観測が強まっている。需要回復をにらんだ投資マネーが鉄鉱石の先物市場に流入し、現物価格を下支えする。マーケット・リスク・アドバイザリーの新村直弘代表取締役は「製品である鋼材の価格からみれば、鉄鉱石は70ドル近くまで上昇する余地がある」と語る。

今日23日付の日経で上のように報道されている。

背景として鋼材市場の底打ち気配がある。22日付けの日経:

 世界鉄鋼協会がまとめた6月の世界66カ国・地域の粗鋼生産量は前年同月比0.03%増の1億3572万トンと横ばいだった。5月まで17カ月連続で前年割れが続いていたが、需要の落ち込みに一定の歯止めがかかった。
 世界生産の約半分を占める中国は1.7%増え、4カ月連続で前年を上回った。宝鋼集団など国有製鉄所は減産に取り組んでいるとみられるが、民間の中小メーカーが増産の手を緩めていない。
 欧州の28カ国は5.3%のマイナス。36.2%減と5月に続き大幅に落ち込んだのが英国で、インド・タタ製鉄の撤退などが影響したとみられる。南米9カ国と米国もマイナスだった。
 需給に引き締まり感が出てきたが、「ゾンビ企業」が多い中国の増産に歯止めがかかるか不透明だ。
世界経済の実態は、今なお鉄と電気でみるのが一番である。とすれば、これから徐々に将来景気に明るさが増してくる段階に来ているかもしれない。

株価は先行性をもつので、すでに株価はボトムアウトしつつある可能性がある。だとすれば、5月14日の予測も結果オーライであったことになる。

李克強・中国首相が『経済は安定している』と語るなど自信が伝えられているのも、それなりの方向感が出てきているためかと推察される ― もちろん中国のことだ、全ては人為的かつ「計画的に」実行されている市場操作であるという見方も完全に排除することはできまいが。

中国の李克強(リーコーチアン)首相は22日、北京で世界銀行や国際通貨基金(IMF)など主要な国際6機関トップとの会議を開き、「世界経済が低迷する中でも中国経済は安定を保っている」と強調した。23日に中国・成都で主要20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議が始まるのを前に、中国経済の先行きに対する懸念の打ち消しにつとめた形だ。
(出所)朝日新聞デジタル、2016年7月23日


 英国の国民投票、日本の参院選など不確定要素をファクターに入れず純然たるボックス・ジェンキンズ法で計算したのだが、意外や結果オーライになりそうになってきた。

そもそも経済外の政治的不安定性は経済予測ではノイズとなるので、データに潜在しているイレギュラーな要素を正確に抽出できたとすれば、それだけで予測には十分なわけである。たとえ政治的サプライズが事後的に発生したとしても『この程度のことはあらかじめ計算に入れているんですよね』と、そんな意味合いの数字として受け取るべきなのだろう。

さすれば、トルコのクーデター未遂、今回おこったドイツ・ミュンヘンでのテロ事件も、ノイズとして考えればよろしい。当初の予測で問題なし。そうなるのか?

ウ~~ム、難シカ。

ノイズではあるのだろうが、経済全体としてボラティリティが上がっている。これだけは言えそうだ。


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