2025年11月20日木曜日

ホンの一言: 「両刃の剣」の忍耐限度には日中で差があるのでは?

最初から北京政府は高市首相の出現を警戒していたが、当たり前のことだ。日本国内でも同じ警戒心はあったし、今もあるものと推測する。高市首相の支持基盤は最右翼を形成する超保守的な日本人有権者の集団なのである。

ここに来て、中国は日本産海産物の輸入再禁止に踏み切った。とはいえ、これを以て中国政府は高市首相の支持率低下戦略に舵を切ったと即断するのは早計かもしれない。


日本国内の報道では経済政策にまで対日攻撃を拡大するのは中国にとっても《両刃の剣》だと講評する向きが多い。

21世紀に入ってから、国内メディアがそのニュース解説で一体何度この「両刃の剣」という表現を愛用してきたか、もう日常用語になってしまった感覚もある。

しかし、以前の日本人なら

肉を切らせて骨を断つ

こちらの表現をより好んで使っていたような記憶がある   ―   ずいぶん昔になりましたが。

こんな所にも現代日本人がいかにソフト(≒軟弱?)になり、リスク嫌悪の感覚をもつようになったかが見られると思います。多分、そんな退嬰的な感覚が蔓延する根底には、人口の高齢化・少子化と低レベルの移民政策がシンクロして働いている、と。そう観ております。


同じ趣旨の表現は英語にもあるだろうと調べてみると、

Lose a battle to win a war

戦闘に負けて戦争に勝つ

どうやらこれが該当するようだ。

囲碁でいえば「7子を捨てて地合いをとる」と言った戦略感か。将棋で言うと「飛車を捨てて玉を詰める」とでも言える。

実際、中国の国民党政権を相手に始まった日中戦争で中国側が選んだ戦略は、文字通り「肉を切らせて骨を断つ」といったものだった。マア、肉を切られたのは中国で、骨を断ったのはアメリカだったが、それでも第二次世界大戦後を通して中国は"Forgotten Allies"として確かな評価を得ているのである。

中国は領土、人口に恵まれた大国であるからだろう、犠牲を厭わない傾向がある。それに対して、日本は犠牲を嫌がる。損失の拡大を心配する。速戦即決を好む。日本人が機会主義的だとよく言われるが、それも地政学からみれば仕方のないことである。

少なくとも中国は「両刃の剣」の忍耐限度が高いと予想しておくべきだろう。それに対して、日本は忍耐心には(最近は特に?)欠けていると観ている。支持率低下に脆弱なのも日本側である。


もちろんこの「忍耐心」は国民の団結心や絆のことを指すのではない。あくまで勝敗を争う戦略ゲームにおいてである。念のため・・・ただ、マア、こう言い切れるのか、迷うところで、日本が日中戦争を通して中国を叩けばたたくほど、劣勢のはずの中国は想定外にまとまり、世界は中国に同情し、日本は苛立ちを強め、追い詰められ、内部に亀裂が入っていったと理解しているが。

それにしても、高市首相の台湾有事発言。この答弁を引き出した立憲民主党の岡田議員に「余計な質問をする」、「誰が得をしているのか」などなど、批判が寄せられているらしい。呑気だネエ・・・ホントに。小生が思い出したのは、ホワイトハウスでトランプ大統領とゼレンスキー大統領が口論になった事件だ。ゼ大統領はヴァンス副大統領の挑発に乗ったと、今では誰もが思っているが、高市首相も岡田議員の挑発に乗った。(見ようによって?)そうとも観えるわけで、だとすれば「打倒高市」を胸中に抱いている勢力は、極右より左側に位置する広い範囲にそれだけいるわけでありましょう。

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