2025年9月14日日曜日

ホンノ一言: それほど外国資本に買収されるのが怖いですか?

記者会見の発言にしろ、ネットにアップされている投稿記事にしろ、切り抜きはよくないとは思う。切り抜きは全体の趣旨を伝えないからである。

しかし、その部分が記事全体の論調を凝縮している核心的部分であるとしか思えない箇所もある。そんな場合は、切り抜くことで概要をシンプルに伝えられるであろう。

こんな投稿がある:

こうしたなか、永谷園や大正製薬などはMBO(経営陣による自社の買収、Management Buyout)を行い、株式上場を止めている。もはや敵対的買収を防ぎ、中長期的に日本型経営を行おうとするならば、株式上場を止める以外にない、というのが現状だ。

 日本文化に根差した日本型経営が否定され、欧米型経営に法律で無理やり改造され、日本のサラリーマンの給料は上がらなくなり、株主配当は増えている。

 日本型経営では、一部の事業が不採算であっても会社全体でカバーすればよいとされたが、欧米型経営に転向した日本企業では、選択と集中の名のもとに、事業所閉鎖と首切りが横行している。リストラにあった技術者のなかには、生きるために外国の企業へ転職し日本の技術を教える者もいて、結果として、日本の競争優位を下げている。

Source:PRESIDENT Online

Date:9/14(日) 7:16配信 

URL:https://news.yahoo.co.jp/articles/6ea3b4d116816d1b82af39db82353bddeab8b72d?page=3

岸田内閣による対内直接投資(対日直接投資)推進政策がきっかけとなって、今や日本的経営の良い所を継承する老舗企業が続々と非上場化を迫られたり、買収された後で社内リソースをしゃぶりつくされている。そんな懸念を伝えているのである。


単純に思うのだが、

日本文化に根差した日本型経営が否定され、欧米型経営に法律で無理やり改造され、日本のサラリーマンの給料は上がらなくなり、株主配当は増えている。

ここの下りなのだが、サラリーマンの給料がずっと上がらなかったのは、日本企業の方であり、上がり続けていたのは日本型経営とは縁のない欧米企業だったのではないだろうか?

実にシンプルなファクトチェックをすれば十分だ。


今後も日本型経営を続ければ給料は上がる。欧米資本が日本企業を経営管理すると、上がるはずの給料も上がらなくなるという意味なのだろうか?

そりゃ、本当なのだろうか?

概して外資系企業は給料が低く、日本型企業は給料が高かったのか?逆だろう。


短期的利益のみに関心があり、長期的な再生には興味がないから、期待が持てないということなのだろうか? だとすれば、日本企業の買い手に問題があるのであって、相互にウィンウィンの関係になれる欧米企業に日本の側からアプローチするべきだという結論になるのではないか?

確かに非上場化をすれば買収される心配はなくなる。しかし、広く資本(=出資・リスクマネー)を求めることを諦めるという事は、これ以上の事業拡大、新規立ち上げは積極的に求めないという意思表示であるとも邪推される。これまで通りの会社経営を続けられるというものだ。しかし、日本全体でこんな姿勢を続けたことが、失われた30年の根源的な背景であったのではないか?


一口に買収といっても、悪質なものもあるし、良質なものもある。日本だって海外企業を買収している。日本型経営を強要して失敗した例も多いし、うまく行ったところもある  ―  ちなみにサントリーが新浪社長の下で買収した米国・ビーム社は日本企業との経営統合が成功した事例としてよく知られている。経営統合は、買われる側と買う側との共同事業である。海外資本が入ってくれば、必ず食い物になるというのも、「じゃあ、そもそも何を期待していたンですか?」と。逆に問いたいところであります。


1945年に日本に「進駐」してきた「連合軍総司令部」を目の当たりにした時の恐怖心がその人の原風景になったというならまだ分かる。そうでもないのに、「貿易立国」だとのたまいながら、一度は「輸出大国・経済大国」になって、今度は形勢不利と見るや「日本型経営」や「非上場化」を国家防衛政策よろしく語るというのは、「鎖国」でもしたいのか、と。水際で防衛したいのか、と。

本気でそう思ってるのかもしれないネエ・・・という感想です。


つまるところ、この世はお互い様である。相互主義である。既に日本は国としてグローバル世界で売買をしながら食っている。故に、グローバル世界の中で、お互い様を原理としてやっていかずばなりますまい。いつまでも我を張っていれば、取引困難の相手とされるだけである。

国内で日本文化や日本趣味をいつまでも大事に守るのは、感性の世界のことである。日本人が日本文化を心から本気で守りたいと思っているなら、経済活動がどうであろうと必ず守られていくはずである。



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