2026年8月12日水曜日

覚書き: 足元の景気判断を誰も語らないのは奇妙だネエ・・・

 普段愛読しているブログに足元の日本経済の景況に関してこんな下りがあった:

日本企業の第1四半期の決算発表も8割方終わりつつありますが、概ね好調と言ってもよく、経常利益は前年同月比で25%の上昇となっています。円安に伴う輸出企業の利益増加と思われるかもしれませんが、輸出企業と内需関連企業で経常利益の貢献率を見るとざっくり輸出企業の60%に対して内需が40%となっています。また金利上昇に伴う金融機関の利益が莫大になっており、業種全般に好調を維持していると言えます。

日本経済を見れば絶好調とまでは言わないまでもバブル経済以降、最も輝いている時代に入っているとみています。

URL:https://agora-web.jp/archives/260806204700.html

ところが高市内閣は物価高騰の中での生活支援策として消費税減税を断行しようとする構えだ。つまり

景気は良いが、暮らしは苦しい。

ここから出て来る結論は、

労働分配率が急低下し、企業利益に吸収されている。

こうなるのだが、本当だろうか?

ChatGPTに調べてもらったばかりだが、こんな回答だ:

財務省「法人企業統計」を使った企業ベースの労働分配率(人件費/付加価値)では、2024年度は64.2%でした。2000年度の73.2%から約9ポイント低下しています。 さらに2025~26年の四半期データでも低水準が続いており、内閣府の2026年7月資料では、2026年1~3月期までの推移が概ね60%台前半にあります。

かなり以前に本ブログにも投稿したことがあるが、SNAベースで測ると労働分配率はそれほど劇的に下がっているわけではない。が、企業会計ベースで足元の分配は、かなりな程度、労働所得から資本所得へと比重が偏りつつある。このトレンドに間違いはないのだろう。そして、この背景としてAIの普及、浸透があるはずだという見立ては、前にも投稿したことがある(たとえばこれ)。

「AI革命」がリードする「新たな成長軌道」に日本は入りつつあるのだろうか?

しかし、企業利益が拡大し、労働所得が伸び悩み、結果として労働分配率が下がっているなら、当然の理屈として法人税を増税するという選択肢が検討されるはずだ。ところが、消費税減税の財源として、法人税増税を叫ぶ声がそれほど大きいわけではない  ―   マア、新聞、TVも増税は嫌がるはずなので、故意に触れないだけなのかもしれないが、まさかここまで不誠実ではあるまい。

ただ、景況感がイイと言うのは、内閣府の景気動向指数の動きからも確認できることではある。


Source:  https://shigeru-nishiyama.shinyapps.io/getdrawci/

緑色が先行系列、紫色が一致系列で、直近月は本年6月である。図から明らかなように、先行系列は直近のボトムである昨年4月以降、ずっと上昇を続けている。これは景気拡大の腰が極めて強いことを意味している。紫色の一致系列は生産・販売の現状を総合的に伝えるデータだが、多分(?)今後にかけて上昇トレンドを加速するであろう、と。図を見る限り、こんな予測になる。

最初に引用した景況感とも一致するのだが、どうも違和感もあるのだ、な。とにかく日本社会には《明るさ》が欠けている。

そこで日銀の「短観」(本年6月)で裏がとれるかどうかを見てみた。

端的に言うと、企業規模、産業を問わず、2026年度の売上高見通しはプラス(=対前年度増加)である。インフレ進行の中で販売価格引き上げが続いているので、これは当たり前である。しかし、経常利益は企業規模、産業を問わず、2025年度から一転して、2026年度は減益見通しになっている。利幅(=マージン)を測る売上高経常利益率も25年度から26年度にかけて、どこも低下が予測されていて、コストアップ増に苦しむ企業経営の現状が映し出されるものになっている。
これでは法人税率引き上げなど、政府は言い出せないだろうネエ
という状況だ。


一部の人が言う「奇妙な明るさ」は、どこから来るのだろうか?

そもそも内閣府の景気動向指数は、今でも景気判断材料として信頼に足る統計なのだろうか?

「四半期別GDP速報(QE)」を重要な景気指標とする慣行は、ごく最近になってようやく「ちょっとおかしい」と感じ始めたのか、下火になってきたが、毎月の景気動向指数の方は小生も愛用してきた。しかし、これも「ちょっとおかしい」という動きをするようになってきた。

一時的な気の迷いか・・・


0 件のコメント: