岸田首相が今国会の所信表明演説で《経済、経済、経済》という風に「経済」という単語を連呼したそうな。
確かに、日本人全般が政府の政策のどんな分野に最も高い関心を持っているかと言えば、ほとんどの時点で、「暮らし」や「経済」であるのは一貫した事実だ。外交でも、安全保障でもない、普通の日本人が最も強く願望している政策が「暮らし」に関係するものであるというのは、ほぼ自明のことであろう。
その自明のことに、ほとんどのマスメディアは、気が付いていないのかもしれない。視聴者は外交や軍事にもソリャア関心はあるでしょう。エンターテインメントも求めるものだ。しかし、メディア産業に期待しているのは「暮らし」の役に立つ情報だ。この辺でズレを感じるようになって久しい。メディア産業の企業行動が変容した背景としては、永年の<停滞慣れ>、<横ばい慣れ>、<現状維持を良しとする気風>、マア、この辺りを挙げてもよいかもしれない。要するに、経済面でニュースがなかったのだろう ― そんな事はなかったのだが。
そこへ、コロナ後のインフレがやってきた。
インフレ+賃金上昇+高金利
という普通の成長経済への移行が停滞・日本でも間近に迫って来た。
ところが、折しも現時点の日本は空前の人出不足である。成長しようにも労働力の限界が表面化するのは時間の問題である。これまで非正規労働力の源泉として日本経済を支えてきた女性もこれ以上は難しいほどにまで就業率は高まっている。賃金は、政府が旗を振る前から上がっていくであろう。
この人出不足に対応するためにも自動化、AI化など資本設備の高度化が叫ばれている。今は、そんな筋道で議論されているようで、マスコミもここまでは理解してそんな話を何度もしている。
しかし、現時点の日本経済で足らないのは人手、つまり労働資源だけではない。
失われた30年を問題とするのはもう古い。「震災後の停滞」と言うべきだ。
日本経済の成長にとっていま足らないのは<人手=労働力>だけではない。<電力≒エネルギー>も足らないのだ。
これでは日本全体のアウトプットを増やしようがない。成長を持続させるのは無理だ。
こんな理屈になる。
もう時間がないのである。そう思えませんか?
今日はエネルギーだけの話しだが、後もまた推して知るべし。研究、大学、初中等教育、リカレント教育などの人材育成から始まり、育児支援、家庭支援、生活支援、社会保障、税制、果ては農林水産業、食糧安全保障、etc. etc. etc. ...。つまるところ、頑張っているのは目立つ所だけで、総合経済ヴィジョンなる冊子を発行している機関も人も学会も寡聞にして知らない。
日本国内のどの政党も、政策立案マシンと呼ぶに値するような組織とは根本的に違う。票は集めても、政策形成に資する人的リソースが集まるメカニズムがない。お寒い限りなのだ、な。
日本の政党は、「ハマス」のような政治結社ではなく、要するに「全国的な選挙互助会」、いや「日本選挙互助会連盟」と言うべきかもしれない。明らかに政治結社ではない。
その意味では、日本の政党は組織として強くはなく「弱い組織」である。財閥系老舗のメガ企業がどこも"coherence"(=一貫性、凝集性)に欠く、クラゲのような多足生物に似ているのは、日本的組織としては共通しているのかもしれない。
バスに乗ったら乗客主導で走らせるべきだ
所詮は、欧米直輸入の「民主主義」が自らの血肉として身についていない日本人の弱みということか。
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