2026年10月21日水曜日

断想: 「ジェンダー平等」は真剣に分析されているのだろうか?

分析的・実証的な研究なく、ただ一つの価値観をただ主張する姿勢は、まず賞味期限3年ないし4年で、その後は世間からは忘れられて行くものだ。少なくとも真っ当な考察を引き受ける一流の人材は現れないものだ。


日本でも《男女雇用均等法》が成立して以来、男女雇用均等がジェンダー平等論に結びつき、ひいては現時点の「愛子天皇熱望論」にもつながっているようなのだが、前にも投稿したように、日本の男女雇用均等政策というのは、多分に男性労働力人口の先細りに何とか国内人口だけで対応したいがため、誰もが賛同するはずの大義名分として唱えられたもので、そこには本気でジェンダー平等を目指す社会思想、あるいは哲学的・理念的な思想の裏打ちというのは、乏しかったと思っている。少なくとも、ジェンダー平等を実現しようという真剣な覚悟が先にあったとは言えない、そう思っているのだ、ナ。

日本でも女性首相が登場し、女性天皇も世間(の一部?)からは熱望されているのが最近の状況だ。手続き上の正当性に疑問が付されているものの、東京大学にも初の女性総長がお目見えするかもしれないご時勢なのである   ―   これまでは通用した「女性だから」という決定理由は次第に通らなくなりつつあるのが現時点の世相ではあるが。

しかし、日本社会の全般を虚心坦懐に俯瞰する限り、反・家父長制、反・夫唱婦随、等々、時系列的には古いと言われる《伝統的価値観》は、この日本でもそうそう簡単にはなくならないのじゃあないか、そんな感覚が小生にはある。

高市的政治家は、これからも出現しうるし、《保守反動》も定着してメインストリームになってしまえば、もはや「反動」とはいえず、「新しい時代」と呼ぶべきかもしれない。「戦後日本」という一つの時代は、日本だけではなく、世界をみても、いまようやく終わりつつある。そんな感覚を持つ人は小生だけなのだろうか?

★

一体、《ジェンダー平等》というのは、どのような内容を含むのだろうか?

というより、男女の性別格差というのは、歴史を通して何故、どのように形成されてきたのだろうか?

ジェンダー平等というのは、小生の不勉強でなければ、近代ヨーロッパで芽生えた「平等なる個人」、「個人の尊厳」という啓蒙思想が発展して辿り着いた倫理的価値観で、いまでは政治的価値観でもある。小生はそう理解しているのだが、この近代ヨーロッパが生み出した市民社会なるもの、それを支える平等なる個人という理念は、どのような根拠に基づいて「正しい」と認識されているのだろうか?

思うに、少なくとも

市民社会が正しい社会で、市民社会は平等なる個人によって支えられるというのは、実証的・科学的に証明された結論ではない。

ずっと以前からそう考えてきたわけで、何度も本ブログにも投稿してきた(旧い投稿例はこれか)。何も反・民主主義者ではないが、かといって親・民主主義者という自覚もないと、ここでは書いておこう。

人類の(文字で記録された)歴史の中で古代史は始まりから崩壊までが完結した唯一のサンプルとして非常に有用である、というのは多分トインビーの言だと記憶している。そんな観点からみると、古代ローマは、長い歴史の中で王政、共和政、帝政をこの順序で全て経験したが、同じ変化は古代ギリシアの都市国家・アテネにも言えることで、古代アテネは王政から貴族政、僭主政を経てから、紀元前6世紀末にやっと民主政へと移行した。その後は、反アテネ陣営とペロポネソス戦争を戦った末に敗北し、最終的にはマケドニアのアレクサンドロス大王に征服されて、独立した国家としての歴史を終えた。

非民主国家から民主国家へ「進化した」というのは、ヨーロッパ近代史の描写であって、決して歴史を通した普遍的な命題ではないわけだ。

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こんな問題意識が、実は日ごろ愛読しているデロング先生の投稿にも取り上げられるのを見るのは、非常に興味深い。最後の結論部分を抜粋させてもらうと、

We live in an era of rapid technological advances, and yet women’s lives, safety and status still vary enormously across world regions. To tackle actually-existing patriarchy, we need to recognize this heterogeneity, and develop tools which help us understand its persistence. Going forwards, I suggest that qualitative insights into different societies can help ground our inquiries, so we can build innovative datasets that capture what really matters. Further, we could scrutinize LLMs to ensure that they do not pink-wash the patriarchy.

私たちは急速な技術進歩の時代に生きていますが、世界各地における女性の生活、安全、そして地位には、依然として極めて大きな隔たりが存在します。現実に根を張る家父長制に対処するには、こうした多様性を認識し、なぜ家父長制が存続し続けているのかを理解するためのツールを開発する必要があります。今後は、さまざまな社会に関する質的な知見を研究の基盤に据えることで、真に重要な側面を捉えた革新的なデータセットを構築できるはずです。さらに、大規模言語モデル(LLM)が家父長制を実態以上に好意的に見せかけるような「ピンクウォッシング」を行っていないか、精査していくことも求められます。

Source: substack.com

Author: Brad DeLong

URL: https://braddelong.substack.com/p/crosspost-alice-evans-stop-pink-washing

いわゆる《家父長制社会》という社会自体は、なぜ形成されたのだろうか?

この問いに対する信頼できる解答は多分まだ得られていないはずだ。しかし、家父長制社会が一度形成されて、その社会システムが理に適った社会として定着し、維持されれば、その中で、社会の現実のあり様は正しく、善であり、故に誰もが善なる規範を尊重して行動するべきだ、と。そんな議論が正当性を獲得するはずである。

この点では、下部構造が上部構造を決めるマルクス的社会観を依然として信じている自分がいる。

とすれば、なぜそもそも男性優位の家父長的社会が世界で広く形成されるに至ったのか?

確かに、ごく最近はポスト家父長制社会への胎動であるかもしれない。とすれば、なぜ最近になって家父長制を超える社会システムが求められるようになったのか?それはどんな意味で解体を超える創造でありうるのか?

今後の問題としては、非常に面白い課題だと思う。


2026年10月17日土曜日

ホンの一言: アメリカ経済に明るい未来なし?

反トランプ、というより反も親もないと言えるほど、客観的経済状況の変動はもはや方向が明らかなのだが、クルーグマン先生はインフレ再燃の酷い状況を指摘している。

War is peace. Freedom is slavery. Ignorance is strength. Inflation is down. Or at least that’s what Donald Trump says.

戦争は平和。自由は奴隷制。無知は力。インフレは下降。少なくともドナルド・トランプはそう言っている。

URL:https://paulkrugman.substack.com/p/the-bad-news-on-inflation-just-keeps 

こんな風に書きだした後、

上の図を見ながらこう書いている:

My basic point — that Trump inherited a relatively benign inflation picture and threw that inheritance away with his tariffs and war — is even clearer from the PPI than the CPI. And the PPI is often a leading indicator of future consumer prices, so there’s no relief visible in the near future.

私の基本的な主張、つまりトランプ氏が比較的穏やかなインフレ状況を引き継ぎながら、関税や戦争によってその状況を台無しにしてしまったという点は、消費者物価指数(CPI)よりも生産者物価指数(PPI)を見ればより明確です。そしてPPIはしばしば将来の消費者物価の先行指標となるため、近い将来に改善の兆しは見られません。

来月の中間選挙では共和党の大敗が予測されているが、たとえトランプ与党が議会で大敗したとしても、 日本とは違ってアメリカは三権分立に基づく大統領制である。内閣不信任も問責決議もできない。

立法府が行政府の意思決定を抑え込むのは不可能で、せいぜいのところ大統領弾劾に向けて議会審議を進めることくらいだろう。

その間に、経済状況は決定的に悪化してしまう可能性があり、それでもト大統領は自分の非は認めず、事態悪化の責任は共和党を支持しない愚かなアメリカ国民にある、と。自分は善意でアメリカの偉大さを取り戻そうと努力してきたのだ、と。

多分、こんな展開になるのではあるまいか?


2026年10月16日金曜日

ホンの一言: 道新のスパイ容疑と高市首相の「そんな事実はない」

サハリンに駐在していた地元紙・北海道新聞(=道新)記者が《スパイ容疑》でロシア政府に拘束された報道があったのは数日前か。

本日、外交ルートで日本政府に拘束の事実を通知してきたようだ。

ロシア側の主張は

当該記者は日本の情報機関の指示に従って、サハリン、千島列島地域からウクライナ軍事作戦にどの位の人数が送られたか、あるいは志願していったかを取材していた。これはスパイ活動に当たる……

と。これに対して、高市首相は

そのような事実はない

と述べている(と報道されている)。

日本国内の大方の人は、

首相も否定しているようにスパイ活動をしていたわけでもないのに、ロシア政府は無法にも日本人ジャーナリストを逮捕・拘束した。

そんなトーンで反応している(ように見える)。


奇妙なやりとりではないか?


ロシア側は(日本語訳を引用するのは不勉強だが)

ロシア連邦保安局(FSB)は2026年10月13日、ロシア極東サハリン州の州都ユジノサハリンスクに駐在していた北海道新聞の日本人男性記者を、スパイ容疑で拘束・逮捕したと発表しました。

こんな風に、

ロシア極東サハリン州の州都ユジノサハリンスクに駐在していた北海道新聞の日本人男性記者

と述べている。

TVのワイドショー辺りでは「北海道新聞はサハリンに記者を常駐させていたんですか」と確かめるレギュラー・コメンテーターもいるようだが、小生も同じ感覚だ。札幌市の姉妹都市であるノボシビルスクや、小樽の姉妹都市・ナホトカなら分かるが、なぜ樺太のユジノサハリンスクなのか?何か取材価値はあるのか?

そんな感じはする。


というより、

本当に、くだんの記者に日本側の情報機関は、何の接触もしていなかったのか?

そんな訳はないんじゃない、と小生は感じるのだが、違うのだろうか。

高市首相は

そんな事実はない

と断言していたが、まるでそれは薩摩藩で捕らえられた公儀隠密について問いただされた幕閣が

そのような者は知らぬ

と、知らぬ存ぜぬで、トカゲのしっぽ切りを押し通す首脳の姿を連想してしまいます。


実際、もしも上記記者が日本の情報機関とのやりとりを認める供述をすれば、日本では未曽有の大スキャンダルになり、水面下で処理できなかった高市内閣の総辞職はもちろん、日本の国際的地位も少なからぬ打撃を蒙るに違いない。

仮にそうなっても政府首脳は

当該記者の供述は事実ではなく、ロシア側の厳しい取り調べに耐えかねて、不本意にも口にしているものと推察される。

こんな風に言うに違いない。こうなると互いに引けない水掛け論であります。

逆に言うと、水掛け論にはならないように、ロシア政府が日本政府を(水面下で)恐喝する材料に使われる可能性もあるわけで、真相はどうなのか、誠に気になるわけであります。


それにしても、日本のマスコミというのは、セクハラ、パワハラ、モラハラなど特段の犯罪でもない《ハラスメント》については、火がついたように噛みついて離れない執着を示すのに、国益の事になると食いつくどころかまったく無関心であるようなのは何故だろうか、と。そこが不可思議なのである。

国民感情の厳しい現実を反映しているのか…?まさか、ネ。単なる営業だと思いたい。

2026年10月13日火曜日

断想: 「声の記憶」について

先日他界した母方の叔父の満中陰が済んだ旨、叔母から電話があった。従妹とも久方ぶりで、というより10年以上の間をおいて、話すことが出来た。

前にも投稿で書いたことがあるが、人間の感覚の中で聴覚が最後まで残って働くそうである。従妹は叔父が臨終を迎えるその時、叔父が好きだと話していたチャイコフスキーの交響曲第5番を聴こえるように再生してあげたそうだ。するともう意識がないかのように見えた叔父の目から一筋の涙が流れ出たそうである。電話の向こうでそう話す従妹の声は、叔母の声と不思議なほどに似ていて、聞いている小生は何だか胸が熱くなった。

音というのは、いつまでも記憶に残るものである。叔父の顔や佇まいは勿論のこと視覚された映像として覚えているが、声音ほどに生々しいものではない気がする。

夢にみる父や母がいかにも夢であるようなのは、一つには声を出していない、少なくとも夢の中で声を出して小生と話をしてはいないからであろう。実際に声を出して話をしていれば、それは寝言になる理屈だ。目覚めてから夢の中で話していた母の声が耳の奥に残っていることは一度もない。

というより、不思議なのは母の声よりも父の声の方が今でもありありと思い出せることだ。母の声は、覚えてはいるが、父の声よりは遠い。男性は男性の声をそのままに記憶するのだろうか?


「古今和歌集」にあり、「源氏物語」の「桐壺」でも挿入されている和歌

むばたまの やみのうつつは さだかなる 

     夢にいくらも まさらざりけり

現代語訳: 真っ暗な闇の中での現実は、はっきりした夢に対していくらも勝らないものだ

URL:https://note.com/chinomiyuki/n/n4e9f13671874

古今集の歌に対して、紫式部は更衣と死別した桐壺帝の嘆きの深さを「決して歌の通りではない」と悟らせることで表現している。小生も源氏物語に同感だ。真っ暗闇で姿形は見えずとも「さだかなる」というのは、つまり声を出して話してくれるから、それも二人の間でのみ意味が通じる事を話してくれることで、その人がそこにいると知れるからである(と勝手に解釈している)。もしそうであれば、姿だけの夢よりは、やみのうつつの方こそずっとまさるものだ。

小生に電話があったのは、葬儀が過ぎた後だったので、般若心経の写経と伽羅の線香を送ってくやみとした。写経だけでは「温もり」がないので、竹の水墨画を一つ同封した。喜んでくれた様子であるのは大変うれしかった。が、水墨画はまだ新米なので、人に贈る代物ではない。恥ずかしくもあった。

油彩、水彩を趣味としてきたが、筆・硯・墨・紙のいわゆる《文房四宝》は、これらと併せて使う水と共に、日本人の文化的生活の古層を為すものだ。写経を新しい習慣とするのに伴って、日本的生活の古層を味わうことが出来ているのは、予定外の収穫である。


人間の記憶に古層があるのと同じ理屈で日本人の精神的生活にも古層があるのだろう。とすれば、日本社会に古層というものがあるということだ。

古層を自覚しない創造・発展はありえないと思う。バブルと同じである。

2026年10月11日日曜日

断想: 曲がり角を曲がりつつあるというのはこんな感じか

昨日は隣町までレバンガ対ジェッツ戦を観にカミさんと二人で出かけて行った。試合はレバンガの動きに切れがなく、それでも最後に追い上げたものの、6点差で負けた。ジェッツの堅い守備を破れず、囲まれてつぶされるか、苦しくなってスリーポイントを打っては外れる、そんなパターンで時間だけが過ぎた。たまにB.Leagueを観るとスカッとするが、強豪を倒してくれると満足度も飛躍的に上がるものだ。頑張ってほしい。来月は佐賀のバルーナーズ戦を観に行く。多分勝ってくれるものと期待している。

高市首相の支持率が高止まりしているのも、小生のレバンガ推しと似ているところがあるのかもしれない。負けても応援、勝っても応援、一生懸命やっている間は応援させてもらいます、という意味でいわゆる《推し》なのであろう。


特に、高市外交には(どこの世論調査だったか忘れたが)6割の支持があるという。噴飯ものというよりは、絶句を禁じ得ず、多少の怖さが混じる。

そういえば、1941年12月8日未明の真珠湾奇襲成功を臨時ニュースで聴いた日本国民の大多数は、胸のつかえが落ちるようなスカッとした気分になったと語り伝えられている。

バスの中で周囲の人に「いよいよ始まりましたね」と話しかけたくて仕方がなかったものの、自分だけが興奮しているように思われ、黙っていたというのです。

さらに、欧米の一流国と戦うことによって初めて日本人が世界の一流国民としての自覚を得られる、という趣旨のことまで書いています。

ChatGPTがこう紹介するのは、文豪・伊藤整である。

世界は一新せられた。時代はたった今大きく区切られた。

こう書いた詩人・高村光太郎は「開戦を、世界史を画する重大な転換として歓迎しています」と述べたことが紹介されている。

一般国民は「長年の胸のつかえが取れるような爽快さを感じた」というのは、小生の亡くなった父が時々話していたことである。 

多分、満州事変に対する対日バッシングと国際連盟脱退で不満と不公平感、閉塞感を感じていた日本人は、《状況の一挙打開》を目指した行動に興奮を感じたのだろうと推測している。

こんなところが(当時の)アメリカ人には気色悪く感じられ、無謀を軽蔑する心情とともに、GHQのマッカーサーが戦後も数年経過した時点で米議会に

科学、芸術、神学、文化においてアングロサクソンが45歳だとすれば、ドイツ人も同程度に成熟していた。日本人はまだわれわれの45歳に対して12歳の少年のようである。

と述べたことにもつながっているのかもしれない。

決してロジックと計算を密に重ねる老獪さではなく、どちらかといえば少年のような純真さを尊ぶ日本人の集団的性格は、「あの頃」から何も変わっていないのかもしれない。

小生は、昔から集団との協調が苦手科目であったから、いまの世相には危なっかしさを感じるのみである。


同じ右翼でも安倍元首相とは違って、高市首相がとるハッキリした反北京・反モスクワ姿勢(更に、反・旧連合軍?)は、日本との持久戦から降りようとしない中国・国民党の蒋介石に対して

国民政府を相手とせず

和平への途を日本の方から断ち切った当時の近衛文麿首相と何だか面影が重なっている。純粋は、高貴ではあるが、同時に幼稚でもあり、愚かさにも通じるのだ(と勝手に思っている)。

日本人は、明治維新の頃から、いやもっと昔から、老いより若さを愛する性癖がある(と勝手に思っている)。それは別にどうでもよいが、時間の価値増殖効果への無頓着は、旬より初物を好み、古酒より新酒を好む趣味をつくる。小生には浅くしかみえないのだ、ナ。

近衛首相も、大衆からの支持が高く、言葉は明快。「推し」の対象になりやすかった人柄だったのだろう。竹下元首相の「言語明瞭、意味不明了」は、これに対して、政治の職人であった同首相の雰囲気がよく表れている。

2026年10月6日火曜日

ホンの一言: トランプ政権、100年前のハーディング政権の再来なのか?

約100年前の米大統領にハーディング大統領がいる。このウォレン・ハーディング氏、米国史上最悪の大統領として長らくトップの座(ないしトップクラス?)を守ってきたことは前にも投稿したことがある。前の投稿は2017年のことだから第一次トランプ政権の時期だ。ハーディング政権はその腐敗ぶりから米市民からは「オハイオ・ギャング」と呼ばれたそうだが、この伝で行くとトランプ現政権は「ニューヨーク・ギャング」と呼ばれることになるのだろうか?

"Ohio Gang"は既に定着した固有名詞としても通用するらしく、例えばWikipediaでも検索することが出来る。そこでは

The Ohio Gang was a gang of politicians and industry leaders closely surrounding Warren G. Harding, the 29th president of the United States. Many of these individuals came into Harding's personal orbit during his tenure as a state-level politician in Ohio, hence the name.

During the Harding administration, several members of the Ohio Gang became involved in financial scandals. These included the Teapot Dome scandal and apparent malfeasance at the U.S. Department of Justice, some of which ended in prison terms and a suicide. Following Harding's sudden death of a heart attack in 1923, many members of the Ohio Gang were effectively removed from the corridors of power by Harding's vice president and successor, Calvin Coolidge.

オハイオ・ギャングとは、第29代アメリカ合衆国大統領ウォーレン・G・ハーディングを取り巻く政治家や産業界のリーダーたちの集団である。これらの人物の多くは、ハーディングがオハイオ州の州政治家だった時代に彼の個人的な交友関係に入ったことから、この名前が付けられた。

ハーディング政権時代、オハイオ・ギャングのメンバー数名が金融スキャンダルに関与した。これにはティーポット・ドーム事件や米国司法省における不正行為などが含まれ、中には懲役刑や自殺に至った者もいた。1923年にハーディングが心臓発作で急死すると、オハイオ・ギャングのメンバーの多くは、ハーディングの副大統領であり後継者であるカルビン・クーリッジによって権力の中枢から事実上排除された。

まさに史上最大級の腐敗政権であった史実が淡々と述べられているとともに、関係者の哀れな最期も紹介されている。

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トランプ現政権の腐敗ぶりについては、もはや「天敵」とも言えるノーベル経済学賞受賞者・クルーグマン博士がごく最近こんな風に述べている:

The level of corruption that Trump has engaged in and enabled in others is completely unprecedented – self-dealing that, as Trump would say, is like nothing anybody has ever seen before. America currently has a Republican president who, along with his family, has raked in billions, possibly close to 10 billion dollars in personal gain from office in less than two years. He has effectively sold criminal pardons to scammers, invalidating the legal claims of their victims for restitution. His son-in-law Jared Kushner has become a billionaire running an investment fund for Gulf petro-state autocrats despite having no discernible investment skills. The Times just reported that Kristi Noem paid hundreds of millions over the reasonable price for 5 aircraft – one of which contains a marble bathroom and luxury bedroom – that were ostensibly for deportations but are instead sitting on the runway. And then there’s Trump’s Secretary of the Commerce, Howard Lutnick, whose family has doubled its net worth to over 7 billion dollars, largely through its investments in Tether, the crypto-currency of choice by Iran, terrorists and rogue states.

トランプ氏自身が関与し、また他者にも助長してきた汚職の規模は、まさに前代未聞です。それはトランプ氏流の言い回しを借りれば、「誰もかつて見たことのないような」私利私欲のための不正行為と言えるでしょう。現在のアメリカには、就任から2年足らずの間に、家族と共に数十億ドル、あるいは100億ドル近くもの私的利益を職務を通じてかき集めた共和党の大統領が存在します。彼は事実上、詐欺師たちに恩赦を「売却」し、それによって被害者が求めていた賠償の法的権利を無効にしてきました。また、義理の息子であるジャレッド・クシュナー氏は、投資に関する目立った手腕がないにもかかわらず、ペルシャ湾岸の産油国の独裁者たちのために投資ファンドを運営することで、億万長者となりました。さらに「ニューヨーク・タイムズ」紙の最近の報道によれば、クリスティ・ノーム氏は、表向きは強制送還用とされた5機の航空機(そのうちの1機には大理石のバスルームや豪華な寝室が備わっています)の購入に際し、適正価格を数億ドルも上回る金額を支払いましたが、それらの機体は結局、滑走路に放置されたままになっています。そして、トランプ政権の商務長官ハワード・ラトニック氏も忘れてはなりません。彼の家族は、イランやテロリスト、ならず者国家が好んで利用する暗号資産「テザー(Tether)」への投資などを通じて純資産を倍増させ、70億ドルを超える規模にまで拡大させています。

Source: substack.com

Author: Paul Krugman

Date: 2026-10-05

 トランプ氏自身が関与し、また他者にも助長してきた汚職の規模は、まさに前代未聞です。

こんな風に、ズバリ断言している。アメリカ人であるクルーグマン氏がハーディング政権の事を知らないはずはない。

彼は事実上、詐欺師たちに恩赦を「売却」し、それによって被害者が求めていた賠償の法的権利を無効にしてきました。

という下りは、(多分)詐欺犯罪者から賄賂を受け取り、その見返りに大統領恩赦によって無罪放免し、結果として詐欺被害者が受け取るべき損賠賠償金を無にしている。つまり、被害者が受け取るべき賠償金を被害者に渡すのではなく、自分のポケットに合法的に着服している、文意はこんなところであろう。

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政権の腐敗ぶりにおいて、トランプ政権は100年前の"The Worst One"を超える新記録を樹立しつつあることに間違いはないようだ。

そのトランプ政権との蜜月関係をほとんど「唯一の政治資源」として総理の座を守る高市首相は一体これからどんな歴史的評価を受けるのだろうか?

他人事ながら心配になります。空前の対米投資も約束させられている模様だし、多分、汚泥が飛んでくるような可能性も高いのでありましょう。

アメリカの中間選挙ももちろん大事だが、それとは独立して今後将来にかけて、不可避と予想される《汚職追及》、《腐敗追及》に日本がどんな風に巻き込まれるのか、巻き込まれないのか?

この辺も「面白い」と言っては失礼だが、結構ポイントになってくるのではないかと思っている次第。

クルーグマン先生も

The cesspit of corruption that is Donald Trump’s presidency is finally getting the attention it deserves. It’s about time. And if a massive blue wave sweeps Washington on November 3rd as polls now suggest, Democrats should put corruption front and center of their agenda in Congress.

ドナルド・トランプ大統領の腐敗の温床は、ようやく然るべき注目を集めるようになった。まさに待望のことだ。そして、世論調査が示唆するように、11月3日にワシントンで民主党が圧勝すれば、民主党は議会において腐敗対策を最優先課題として掲げるべきだ。

クルーグマン先生、ト大統領の天敵となっているが、どうやら高市首相にとっても自動的に天敵になりつつあるのかもしれない。

だとすれば、日本にとっては損なことである。


2026年10月3日土曜日

断想: 「理性」が「神」を認識しているのだとすれば・・・

異なった人は異なった意識をもつ。

宗教的信仰と言ってもそれは人の意識にあるものだ。信仰の対象を「神」と呼んでもいいし、「〇〇仏」と呼んでもイイが、たとえ唯一神を信仰する宗教であっても、異なった人が信仰する「神」が同一の神であることを、どうやって証明できるのか?

二人の人が唯一の神を信仰していると言っている場合でも、信仰される二つの神が実は同一であるためには、その神は別々の二人の心の中にのみ在るものではないという理屈になる。主観の外、つまり客観的世界の中に二人が共有できる唯一の神は存在しなければならない。

つまり、キリスト教やイスラム教など唯一の神を信仰する宗教における「神」は、一人一人の主観の中に在るのではなく、主観の外にあるものだ。

唯一の《創造主》を数学の公理のように最初に措定するのは自然な始め方である。

しかし、客観世界における「神」は人間の感覚器官によっては観察できない。


この疑問に答えを出すには、「理性」は異なった人の間で同一であると考えなければならない。数学の定理が万人共通の定理であるのと同じで、理性によって認識される唯一の神は、万人共通の唯一神という結論になる。


「理性」が認識する「神」は、確かに唯一神として認識するなら、同じ神でなければならない、がしかし、キリスト教の神とイスラム教の神は異なっている(ものと理解している)。二つの宗派が認識している神は、理性によって認識された神ではないという理屈になる。

理性によって認識されていない「神」が多くの人によって「同一の唯一の神」として共通に信仰されている理由は(小生には)分からぬ。少なくともロジックが通らない気がする。


10月に入って早々、変な屁理屈を書いた。

これまた暇ということでござんしょう。