2014年11月1日土曜日

ビッグデータ: デマ・流言飛語に対する当局の反撃ツールとなるか

世はビッグデータ時代である。

10年前ならまだなおリスクと金融工学が時代のキーワードであった。それがリーマン・クラッシュで信頼は失墜し、もう言い出せなくなった。で、次のカネのなる木はというと社内に埋もれたままになっているデータ、それを扱いやすいようにデータベースに再編集して分析ソフトを開発すれば、情報廃棄物が経営資源となる。アメリカは、保有しているデータ、データベース技術、統計技術、すべてにおいて最先進国である。

ビッグデータは文字どおりの"Post Financial Engineering"、アメリカの国家戦略であると言えるのだ、な。

そのビッグデータも遂に、というか到頭というか、利用形態も来る所まで来た感がするというのが次の報道だ。
イギリスのロンドン警視庁がある特殊なソフトウェアを使ったシステムのテストを実施していることが判明しました。ロンドン警視庁がテストしているのは、犯罪組織やメンバーが犯した過去のありとあらゆる犯罪データを使って、近い将来に犯罪を起こしそうな人物を事前に予測するシステムです。
BBC News - London police trial gang violence 'predicting' software
http://www.bbc.com/news/technology-29824854 
ロンドン警視庁がテストに使用しているのは、総合コンサルティング会社Accentureが提供しているソフトウェア。テストに使われているソフトウェアは、ロンドンで発生した4年間の犯罪データを、収集した4年の翌年にギャング組織およびそのメンバーが犯した犯罪データと組み合わせて解析するというモノです。犯罪データと言っても、日時や場所、犯人名といった犯罪履歴だけでなく、犯人の行動やSNSでの投稿や言動までありとあらゆる情報まで含まれます。
(出所)Gigazine, 2014-10-31, 事件を起こしそうな人物 

要は、インターネットを流れている超ビッグデータを解析すれば、販売や災害を予測できるばかりではなく、犯罪も予測できる、犯罪を起こすであろう人物も予測できる。だから、危険な人物をマークする。

公安検察、公安警察にとっては、危険な反政府的デマ活動を摘発する有効な手段として、垂涎のツールとなりうるであろう。同じ道を日本も歩むことは容易に想像できる。

しかし、特定秘密保護法があることを考えると、どうも今後の情報戦争の中で、政府と民衆との関係が少し不公平であるような気はする。デマは、いわば「ネガティブ・インフォメション・バブル」、情報としては中身がエンプティだから賞味期限は短く、思考能力のある人物は影響されない。それに対して、犯罪に関するビッグデータ解析で当局が把握する情報は、実質的な中身があり、それに権力が加われば相当大きな力の格差が生まれるかもしれない。

確かに経済社会を動かす本当の情報は民間が持っている(はずだ)。政府が持っている情報はしょせんは「ナマモノ」ではなく「オ古」である(はずだ)。それ故にケインズ理論が前提していると言われる「ハーベイロードの前提」は嘘である(はずだ)。しかし、本当にそうなのか。聴診器だけでなく、レントゲンやMRIまで扱う医師は、当人よりも圧倒的な健康情報を持っているのだ。

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