2014年11月29日土曜日

「GDPショック」:この大きなウソ

この7~9月期のGDP速報は専門家の予想をはるかに下回るマイナス成長というので大きなショックをもたらしたと、今なお波紋が続いているようだ。

確かに7~9月期のマイナス成長は喜ばしい数字ではない。しかし「予想をはるかに下回る」というのは真っ赤なウソであると。そういわざるを得ないのだな。

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たとえば9月時点で4~6月期の二次速報値までが利用可能だった。その9月時点のデータからボックスジェンキンズ法を使って7~9月期以降の予測計算をしてみた。結果は下図のようになる。


使用したデータは実質季調済の実額である。予測期間は7~9月期以降1年間。図に見る通り、7~9月期は前期比マイナスと出る。

これはRのパッケージ"forecast"でauto.arimaを使った結果である。図のタイトルにあるように、季調済系列にはないはずの季節成分を調整している。季節成分をとり切れていないということだが、念のためにデータを対数化して同じ計算をやってみた。それが下図である。

対数化した実額には単純な"order=c(1,1,0)"が当てはまる。やはり7~9月期は前期比マイナスである。予測された実質季調済前期比は▲0.37%である。ほぼ公表値と合致している。

下の図は11月に公表された速報の4~6月期までを用いて7~9月期以降を予測した結果である。但し、季節調整はGDPを対象に手元のX12Arimaで別に行った。だから公表値と完全には合致しない。

予測は上と同じ。Rの"forecast::auto.arima"による。実額だと、やはり、とりきれなかった季節成分を検知してしまう。


図に見るとおり、7~9月期のマイナス成長は事前に予測可能だった。というより、上の図の予測値(青)と実績(赤)は非常に近接している、つまり「7〜9月期のGDP速報はほぼ予測どおり」であったことになるわけで、この点は9月時点の予測も同じである。

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ほとんどの専門家はプラスの前期比を予想していたときく。が、ここで示した予測計算はデータがあればほんの1分でできる。専門家が怠っていたはずはない。結果をみれば「マイナスもありうるか」と、そう思ったはずである。まして、大きなショックを感じるはずがない。それ故、エコノミストが受けた「GDPショック」は真っ赤なウソであると感じた次第である。





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