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どちらにしても、戦後体制は大きな曲がり角をユックリと曲がろうとしている所だ。これからの進展についていま予測していることをリストアップしておく。
- 反対デモが報道されたが、通常、デモは反対のためにするもので、賛成デモはあまりしないものだ。放映された反対デモの背後には、相当数の賛成派、というより「理解」派、「同感」派、「いいんじゃない」派等々の国民が多数いると推察される。大体、全国の主要大学のどこで学生集会が開かれ、どこの大学で「安保法案反対全学スト」が議決されたのか。小生の大学では、立て看板はおろか、ビラもポスターも全く、一枚も目にしない。食堂で学生達が安保関係の話しで議論している様子もない。マスメディアもまたコア層がどこにあるかに気がつき、報道の姿勢を変えていくだろう。それも「急速に」である。
- 政権批判は来春あたりまで続くと思うが、それと同時に戦後の憲法学界の潮流について様々な企画がなされ、憲法学界だけではなく各分野から色々な意見・指摘が掲載される。そんな中で、誰か、いずれかの憲法学者が自己批判的な文章を発表するのではないかと思われる。それをきっかけにして、憲法学界の中の旧世代と新世代の間で論争が始まる。そして新世代の中から台頭する「新立憲主義」が世間の喝采をあびる。概ね4、5年位の間には新しい潮の流れが目に見えてくる。
- そんな新しい立憲主義の展開、浸透から第9条だけではなく、複数の条文を対象に憲法改正案が(名誉回復、というかリベンジの意味からも)学界から提案され、次に与野党が合意する臨時憲法調査会が設置され、その答申を元にして改憲が発議される。今から8年ないし10年くらいはかかるのではないか。残念ながら安倍現総理が憲法改正にまで至るのは無理だろう。無理をすれば必ず制度的欠陥が混じる。
- この改憲発議までの8年乃至10年の間には、必ず今回の安保法制について違憲訴訟があり、最高裁はいずれかの時点で違憲判決を出す。それによる混乱と新立憲主義の浸透から憲法改正への動きが多くの国民から支持される。
大体、こんな風な予測をたてているところだ。
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2015年9月19日投稿だから、投稿時点から2年程が経過したことになる。
昨日、近くの書店に寄ったので、このところ評価の高い篠田英朗『集団的自衛権の思想史−憲法九条と日米安保』を購入しようとしたところ、やはり地元の町の書店ではダメだ。売れる見込みがないのだろうか、置いてないのだな。今年度の吉野作造賞を受賞しているはずなのだが。
仕方がないので、上の本を大衆向けにしたと言われる『ほんとうの憲法:戦後日本憲法学批判』を買った。ちくま新書だから、すぐ読める。
上の投稿で書いた2年前の予想図では、現時点はどの段階に相当するのだろう。
日本の閉鎖的な(=ガラパゴス化した)憲法学界に対して学問的見地から適切な批判がされ始めたことはそうなのだろうというか、そうあるべきだと思うが、ただ憲法学界内部から溢れ出て来た自己批判というわけではない。ではあるが、思うに上の段階2の前半部分までは来たということなのか。
前の投稿では改憲発議まで8年乃至10年かかるだろうと予想している。2015年から数えているので、2023年乃至2025年になる。国民投票、(賛成多数の場合に)公布、施行までを考えれば遅くて2027年までに施行というところか。発議までを早めて5年程度に出来ないだろうか、と。そんなことも前稿では書いている。となると発議が2020年。施行が2022年頃。どうしても施行は東京五輪の後になる。そんな改憲予想図を描いていたわけである。
安倍現政権が願望しているのは(確か)2020年新憲法施行であるそうだ。
今はやっとせいぜいが段階2の前半の最初である。まだまだ前途遼遠だ。ほとんど不可能だろうと予想する。
おそらく北朝鮮問題が深刻化でもしない限り、発議まで8年乃至10年はかかるという最初の予想通りだと思う。そもそも発議にすら至らないかもしれない(それもまた客観情勢を考えれば非現実的だとは思っているが)。
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