2014年6月22日日曜日

100年前の人気画家を覚えているか?

よくみる絵画サイトであるArt Cyclopediaの今日現在(6月22日)における"Most Popular Artists"は

  1. Picasso
  2. Van Goch
  3. Leonardo da Vinci
  4. Monet
  5. Matisse
  6. Dali
  7. Rembrandt
  8. Warhol
  9. O'Keeffe
  10. Michelangelo

この順である。う~ん、小生にも疎遠な名前が混じっているが、どれも聞いたことはある。トップはピカソである。『そうかあ、ピカソねえ、確かに天才だよ』、小生ごときでも作品をみれば、存在感が違っていて、独自性と完成度に圧倒されるのだから、途方もないレベルに達しているのは間違いない。音楽でいえば、好き嫌いは別にしてモーツアルトとか、バッハとか、その水準にあるのだろう。

それにしても相当の昔の人から近現代の作家まで、ルネサンスを表現した大画家もいれば、オキーフのようないかにも現代絵画の香りがする大家もいる。アメリカン・ポップアートの波を造ったアンディ・ウォーホルもいれば、19世紀フランス印象派のモネもいる。まったく混然と名前が並んでいる。ホント、人の趣味は好きずきなのだなあと思う。

今から100年前の時点に遡ると、上の10名のうち何人かはまだ世に出ていないので登場しようがない。ダヴィンチとミケランジェロ、レンブラント辺りは歴史的人物として、モネは既にもう人気画家になっていたのでベスト10に入ったかもしれない。ゴッホはというと、1890年に死ぬまで1枚も作品が売れなかった人だ。ランク入りは無理だったろう。それにしてもゴッホの人気ぶりは国を問わずすごいものがある。国と時代を超えているということか。

とすると、もし人気画家ベスト10を100年前にやっていたら、半分以上は違う名前が並んでいたはずだ。どんな人が選ばれていたかを想像するのは楽しい。たとえばラファエロへの人気と尊敬度は現代とは比較にならないというから必ず入ったろう。レンブラントがいるのにルーベンスがいないのは奇妙だ。それよりモネがこれほど人気があるのに、ルノワールやセザンヌがランク入りしていない。そうか、セザンヌも生前は無名だったしねえ…。しかし、現在も名前がないのはおかしい。ま、架空の議論はつきないのだ。大体、このサイトはカナダに本拠をおいている。インターネットで世界中からアクセスされるとはいえ、北米アート市場での人気度が濃厚に反映されているかもしれない。


Andy Warhol, Mona Lisa, 1979
Source: The Warhol

この絵に目を付けたのは、この週末、映画『万能鑑定士Q』をカミさんと観たことが理由じゃあない。

本歌取りの作品を芸術というかパロディというかは議論があろうが ― 実際、サイト"The Warhol"でこの作品に対しては厳しいコメントが多く寄せられている。いまでは子供だって、この位は作るだろうと ― 上の絵画はダヴィンチのモナリザを「模写」したものではない。

もし部屋に飾れば、モナリザを飾るのとは別の感情や想念にとらわれる。その想念を伝えるのに、モナリザという媒体が必要だった、ではなぜウォーホルはモナリザを選択したのか。ま、美術史を専攻していれば、ここで一本論文が書けるわけだ―というか、誰かが既に書いているに違いない。このテーマは面白いから。

いずれにせよ、こんな人気投票を日本のアート分野でも見たいものだ。その場合には、当然、大和絵・狩野派など日本画家、浮世絵画家、アニメ作家もトップ10に入ってくるだろう。是非、見てみたいものだ。ランキングに登場してくる名前には、世界が注目するだろう。それだけのポテンシャルが日本のアート市場の供給サイドにはあると、そのように小生は見ているのだが、さっぱり音なしの構えなのだ、な。そもそも公開されたWEB上のアートギャラリーもない。気後れしているのだろうか。

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