2014年6月20日金曜日

日本企業の評価: Toyota vs VW vs Hyundai

日本企業の中でもトヨタ自動車は最も輝いているメガ企業だと言えるだろう。技術面でも、営業力でも他社を凌駕し、心配なのは円高リスクだけ、稼ぐ力に陰りは見えず、どんな危機に陥っても復活してくる。そんな無類のパワーを信じている日本人は多いと思う。

しかし本当にそうなら、トヨタが上場している海外市場でも同社が高く評価されているはずである。NY市場のトヨタの株価推移をライバルのフォルクスワーゲン、ヒュンダイと比べてみる。いずれも最近5年間の株価である。グラフはいずれもYahoo Finance(US)によるものだ。

まずトヨタ自動車。


次にドイツのフォルクスワーゲン。


最後に韓国のヒュンダイ。


それぞれ特徴がある異なった動きを示している。

ヒュンダイは2011年まで怒涛の快進撃をしたが、その後は停滞している。これには直接競合するトヨタ・プリウスのリコール騒動の影響があっただろう。それでも2009年のボトムから最近のピークまで5倍程度の高値に上った。

フォルクスワーゲンはリーマン危機後の株価下落が著しいが、その後は速やかな回復基調を続けており、底値比で2倍以上の高さに達している。

トヨタは確かに経営優良企業ではあるが、その株価はリーマン危機の後はずっと低迷し、2012年秋以降にはアベノミクスの波に乗って急上昇したものの、昨年から本年にかけて再び水準を下げ、横ばいを続けた80ドル水準から直近の120ドルまで50%は上昇しただろうか。2011年の底値と比べれば、2倍程度にまで回復したと言うこともできるが、円高に揺れた底値と円安で押し上げられた高値を比べる視点は内実を伝えない。50パーセントの上昇は確かに大幅上昇ではあるが、VWやHyundaiに比べると、トヨタの株価上昇はいかにも物足りないわけであり、「そんな程度にとどまっている」と言うほうが適切だと感じる。

☆ ☆ ☆

小生は、まだリーマン危機が訪れる前、トヨタ自動車の株価が6500円前後だったころに買い入れ、8000円台になるまで保有した。その後、バーナンキFRB議長就任がきっかけになってNY市場が不安定になり、遂にはバブルがクラッシュしたことは周知のとおりだ。小生は、損切りが遅くなってしまい、何の利益にもならなかったものだ。自称・投資家と時に口にしているが、実は「トウシカ」というより「ドウシタ」である「トンデモ投資家」なのだなあ。東京市場では、その6500円の高さにトヨタはまだ戻っていない。

NY市場、東京市場、いずれの場においてもトヨタというメガ企業の稼ぐ力、これからも成長を続けていく力が、世界から高く評価されているとはとても思えないのだ。

以前は、リーマン危機の灰神楽が落ち着いたとき、ハイブリッドと電気自動車に向けた新技術が評価され、世界の自動車市場ではトヨタの独り勝ちかと夢想したものだが、その後は高性能ディーゼルエンジンの開発、韓国車の品質向上、電気自動車開発における他社のキャッチアップなどが続き、トヨタの技術的優位性は、実は砂山が波に浸食されて崩れるように、それ程のものではなくなっていると見るべきではないか。なおも成長性を否定しがたい中国市場において、日本政府の拙劣な外交からトバッチリを被っている一面もある。逆カントリーリスクという奴だ。ま、いずれにせよ株価は現実を正直に反映していることが多いものだ。

ただトヨタの経営戦略が非常にまずいという印象もないのである。日本企業は総じて打てる手は打っているような気もするのだが、それでも世界が変わる速さに着いていけない。もしそういうことであれば、企業経営の競争劣位は治っていないし、それより「成長のための国家戦略」が口先ばかりで、肝心の本体が難産といえば聞こえはいいが、要するにまとめられない。新しいことを実行できない。マスメディアはちっとも書かないが、汗をかかず、支持率を落とさず、摩擦を避けながら人を引き付ける結果を発表したがる現政権の志向が見透かされている。そんな気もチラチラとするのだ、な。



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