2014年11月5日水曜日

質問のルール − 国費を投入する以上、ルールを設ける方がよいのか

野党議員の質問に首相が激怒したという報道があるので何々と読んでみた。ま、下世話なことには—イヤ、国会が下世話であるとはトンでもないことだが—興味があるのだ、な。
安倍晋三首相は4日の参院予算委員会で、過去の週刊誌の記事を元に首相に対し「脱税疑惑」を尋ねた社民党の吉田忠智党首に対し「重大な名誉毀損(きそん)だ。議員として恥ずかしくないのか。全くの捏造(ねつぞう)だ」と激しく反論した。
 吉田氏は「政治とカネ」の問題を追及する中で、首相に関して平成19年に週刊誌が報じた「相続税3億円脱税」疑惑について事実かどうか尋ねた。
 ところが、「もう時効だが…」と述べた吉田氏に首相は激しく反応。「まるで犯罪者扱いではないか。失礼だ。答弁できない」と発言の撤回を求め、審議が中断した。
 結局、吉田氏は「断定的に申し上げたことは申し訳ない」と陳謝。これに対し首相は「こんなことに時間を使うことに国民もうんざりしていると思う。いくら質問とはいえ、慎んでほしい」と不満そうだった。
(出所)Yahoo!ニュース←産経新聞、2014年11月4日

脱税を疑わせる根拠は(某)「週刊誌」であるそうな。

確かな根拠もないのに「事実」を捏造してはいけない。これは確かだ。

しかし……法廷では証人への反対質問で『あなたの友人の一人から聞いたことですが、本当はあなたは事件当日には風邪で寝ていてよく知らないんだと。そう話していたそうですね。それは本当ですか?』と、「異議あり」と抗議されるような質問を故意にすることもあるだろう。証人の発言は、双方の立場から質問をされて初めて客観性を帯びるものだ。とはいえ、憶測や信頼もなく勝手に「そんな事実もあったかもしれないと思うのですが…」と言って、「それは憶測だ」と抗議され、ここで裁判官(=国民でもよい)が質問の根拠を求めた場合、「私にもわからない」と答えれば「憶測でものを云うな」という注意になるわけで、結果として証人を侮辱した罪に問われても仕方がない。 これが公のルールだろう。それが分かっているから、質問者は直ちに根拠のない質問を撤回する。

とはいえ、その質問を聞いた人の記憶には残ってしまうわけである。そんな戦術を戦術としてどこまで容認するべきか。

野党議員は「脱税について週刊誌に書かれているが、それをどう思うか?出版社に対して抗議はしたのか?」とでも質問をすれば、これは事実確認だから、首相にも返答義務があるのではないか。抗議をしていないとすれば、書かれたことを容認していると思われるがそうかと質問すればよい。…まあ、その果てには週刊誌の取材根拠を確認するために出版社に対して国政調査権を行使するということにもなるだろう。

そもそもマスメディアの記事には、真実と嘘(=誤報)が混在している。その点は周知の事実である。嘘が発端となってネガティブ・インフォメーション・バブルが発生すると社会的損失が生じる。故に、誤報の合理的疑念がある場合、当人によらず第三者であっても報道元を名誉毀損で提訴する権利を与える。そうすれば、報道の真偽に関する公的な審査を速やかに開始し、ネガティブ・インフォメーション・バブルを事前に防止することになる — 審査開始に至ったという事実そのものがバブル発生を防ぐだろう。それは社会的な利益にもなる。最近はこうしたことを考えることが増えてきた。…名誉毀損について第三者による提訴を認めるなら、韓国と類似の制度になるか。

0 件のコメント: