2017年6月8日木曜日

アメリカの政治: 歴史は繰り返すか?

トランプ大統領の発言、というよりツイッターの書き込みから垣間見える大統領ご本人の精神状態が、いよいよ本気で心配されるようになってきたという。

周囲を驚かすというのはいつもの事だが、テロに見舞われた直後のロンドン市長に暴言を吐き、市長から「(何か答えるより)私にはいまやるべきことがある」と扱われてしまったというので、心配の雰囲気はいやが上にも高まっているらしい。

以前にも投稿したことがある。

100年前(厳密には99年前だが)に第一次世界大戦が終わったが、ドイツ帝国を倒し、連合軍を勝利に導くうえでアメリカの参戦は決定的だった。そのアメリカ外交戦略を主導した民主党・ウィルソン大統領はまことに人格高潔な人物であり、戦後に国際連盟設立を主導したのも米大統領であった。ところが、先日に日本の麻生財務相もパリ協定、ひいてはTPP脱退を思い出したか、これにかこつけてアメリカを揶揄したように、アメリカはその国際連盟に加盟しなかった。国内で批准されなかったのだ。『そこまでの国なんですよ、アメリカは』という意味のことを財務相は語っていたそうだ。

高校の世界史教科書でもそのことは解説されており、アメリカの不加盟こそが国際連盟の弱体化(いまの国連も十分弱体だが)、ひいては第二次世界大戦の勃発を招いた、そんな失敗の根本的原因であるとされている。

まあ、アメリカの立場から見れば国際連盟加盟を却下したのもわかるような気がする。欧州の戦争にアメリカが参戦し、膨大な戦死者を出したが、『そもそもなぜ他国のためにアメリカはそこまでしなければならないのか』と。アメリカは英仏に利用されただけである、と。この憤懣に加えて、国際連盟を設立して本部をスイスのジュネーブに置き、「世界平和」の維持に努力すると。アメリカから見れば『いい加減にしてくれ」になるわけであり、アメリカが国際連盟に加盟しないという選択をしたのはとりわけて自分勝手でもなく、"America First"で言うような自国中心主義にも当たらないだろう。この辺が公平な視線だろうと感じたりするのだ。

ウィルソン大統領のあとを継いだのが共和党のハーディング政権である。ハーディング大統領候補は"Return To Normalcy"(正常な状態への復帰)を旗印に掲げ、"America First!"を連呼して第29代大統領に当選した。ところが、そのハーディング政権は、「オハイオ・ギャング」たちの「お友達」政権となり、数々の汚職やスキャンダル(それと暴言、失言?)に塗れるという結果になってしまった。そして、当のハーディング大統領自身も就任後2年余がたった後、病死してしまったのである。最近年においては、その政権の政策を見直す向きもあるようなのだが、ワースト大統領のランキングには毎回登場するのが人格高潔なウィルソン大統領の後継者ハーディング大統領である。

いま何となく懸念されているのが、100年前の歴史が繰り返されるのかどうか、になってきている。

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