石油価格がまた低下してきた。
たとえばNasdaqからBrent価格を引用すると:
さる9月28日、石油輸出国機構(OPEC)が実に8年振りに石油生産量を減らすことで合意してから世界の石油価格は急速な回復傾向にあった。非OPEC加盟国のロシアもこう言っていた。
減産をめぐっては、OPEC非加盟国のロシアのプーチン大統領がこの日、「世界的なエネルギー部門の安定を維持するためには、現在の状況下では増産凍結、もしくは減産が唯一の正しい決定となる公算が大きい」とし、OPECの減産合意にロシアも参加する用意があることを明らかにしている。(出所)ロイター、2016年9月29日
しかしながら、イラン、イラクなどサウジアラビアが主導する状況に反発する非主流派が果たして減産でまとまるか。こんな懸念が強まり、再び下落基調に戻っている。
サウジのファリハ・エネルギー産業鉱物資源相は今月のOPEC総会で減産に向けた具体的な合意が得られる「可能性」があると語っている(Newsweek, 2016-10-11)。
***
価格下落期に協調減産ができるかどうかという問題は典型的な「囚人のジレンマ」になる。ライバルが減産に協調するかしないかにかかわらず、自国としては抜け駆けをして増産するという戦略が支配戦略になるからだ。
もちろんライバルも余剰能力をもっているから、自国が抜け駆けをすると報復的な増産を招き、価格は下落へと戻る。
この「囚人のジレンマ」を解くのは極めて困難だ。協調とペナルティを組み合わせたメカニズムを産油国の側で構築しなければならない。そのためには統一的な理念が必要だ。
1973年10月の第一次石油危機の時は第4次中東戦争でイスラエルに勝つというアラブ産油国共通の大義があった。
1979年2月から始まった第二次石油危機は、アラブの大義というのはなかったものの、イランのホメイニ革命による石油生産停止が招いた需給逼迫の中、OPECが協調値上げを決定したことから進行した。米国のシェールオイル業者など有力なアウトサイダーはいなかった。
供給過剰期に理念なき価格カルテルを発動しようとしても決して機能するものではない。
というか、意図的な石油価格低迷はロシアに対するアメリカの経済制裁の一環であるとも解釈できる。
0 件のコメント:
コメントを投稿