大学設置審議会で加計学園獣医学部(今治市)の新設が認可される方向となった。これでこの春から世を騒がせてきた加計学園騒動も一区切りがつくだろう。審議会の新設認可が出る前と後とでは問題の性質がかなり異なってくるのは明白だからだーというより、問題そのものが実存していたのかどうかすら相当曖昧な状態に置かれている。だからこそ、世間は納得していないとも言えるのだろうが、正に、問題はないということの証明は至難であるという一例になってしまった。
その「まだ問題はあるのか」という点だが、世間には、設置審議会の審議内容自体に疑問符をつける人もいる。あるいは、大上段に振りかぶって『大学設置審議会の加計学園の獣医学部設置認可は、問題が無かった事を意味しない』といった論調もある。
一般的には、大学設置審議会の認可には問題がある可能性が常にある。もちろん厳しい認可要件を設ければ、設置される大学に問題が潜在している確率を低く出来る。しかし、中央官庁が大学新設に厳しい要件を課すことが適切かどうかという問題も片方にはある。と言って、要件を緩くすると、日本国内の審査基準が国際基準より甘いのではないかというバイアスが生じる。いわゆる統計分析でいうアルファ・ベータ問題だ。審査を担当する委員も神の目を備えているわけではない。一般論を述べても、だから加計学園獣医学部について何かの具体的な問題点があると指摘することにはならない。一般論は一般論である。
森友はどうか。こちらは会計検査院の審査によりごみ撤去費用が過大に見積もられていたという結論が出てくる方向だ。値引きが過大であったということでもある。
しかし、この問題は詰めれば詰めるほど事務手続き上の瑕疵の有無の問題となり、直接の責任は近畿財務局、せいぜいは財務省理財局長まで監督責任が及ぶかどうかではあるまいか。ましてもっと上の事務次官、さらに上の麻生財務大臣にまで国有財産処分の不手際の責任が及ぶとか、行政府の最高責任者である総理大臣に責任が及ぶという風には、正直言って、ちょっと「同意しかねますなあ」と言わざるを得ない。
そんなことを言えば、小生が暮らしている北海道の地方都市の一隅で行われた国有地払い下げ、その後の宅地造成においても、何か東京の首相官邸の力が行使され、不正が行われていた可能性がある。そんな見方もとれるということになる。
まあ、とれるのだよということだろうが、そもそも力を行使する側において動機がないのではないか ― 森友経由でカネが政治家にわたるなどという裏の贈収賄の構造でもあるならまた別だが、しかし、話しは政治家がカネをもらったのではなく、寄付をしたというのが問題になっているくらいで真逆である。
ま、森友事件で問題があったとすれば、首相夫人が名誉園長をしていた。この一点だけではないだろうか。やはり、公の場で何か一言、夫人の釈明があってもいいような気もしないでもないが、『軽率なことでございました』というだけになるのは確実であるし、だから首相を辞めさせるという風にはならないのではないか。
ま、マスメディア大手はどれほどの扱いをしたいと予定しているかは不明だが、春先とはかなり違ってくるのではないだろうか。
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