2016年7月13日水曜日

覚え書: 南シナ海仲裁裁判判決に関連して

中国政府が主張する「南シナ海九段線」が、12日、ハーグの仲裁裁判所の判決で真っ向から否定され、中国の完敗になった。ほぼ予想通りの結果である。

こんな記事がある。
李克強総理は13~16日にモンゴルを訪問するとともに、同国の首都ウランバートルで開催される第11回アジア欧州会議(ASEM)首脳会議に出席する。人民日報が伝えた。 
李克強総理の外国訪問は今年初であり、ASEM発足20周年、モンゴルの新政権発足にあたる。李総理はアジア欧州のコネクティビティ強化、中国とモンゴルの実務協力強化について新たな提言と措置を打ち出すとともに、アジア欧州協力のアップグレード版を築き、中国とモンゴルの実務協力に新たな1ページを開くために強固な基礎を築く。
(出所)人民網日本語版、2016年7月12日


本日はもう北京を離れているのか。数日は帰らないのだな。

何だかわからないが、記録しておこうと思った。

今年は申年だ。『申酉騒グ』という言い伝えがある。今年の世界では十分騒ぎがあったと思うので、もうこれ以上はないことを望む。

2016年7月11日月曜日

民主主義と「私の民主主義」

参院選はほぼ事前の予想通りの結果になった。世論調査は信頼できないという指摘がある一方で、選挙結果はこれまで概ね事前の世論調査どおりになることが確認できている。

英国の国民投票では予想が様々分かれていて、まったくどうなるかわからなかった。たとえ僅差であっても、繰り返しサンプル調査を反復すると、まあ大体は推測がついてくるものなのであるが・・・奇妙だったネエ。

それで与党の勝利という結果になったのであるが、マスメディアの論評が面白い。

本日の道新のコラム記事では元首相・田中角栄が話題になっている。『政治家が自分の選挙区民と会うことは民主主義なんだ。国民の声を聞き、政治に取り入れるんだ』。いいじゃないですか。「数の力を誇示した足跡からは意外だが、謙虚さは見習いたい」とも述べている。

ちょっと矛盾した思考法ではないか。国民の多数の声を聞き、多数の願望を実現したいと政治をするなら、たとえ少数の知識階級の理念・哲学とそぐわないとしても、できる限り現実にある多数の声を通していく。とすれば、理想主義にはしるエリート層の立場からみれば、数の力を誇示するような政治姿勢にうつるだろう。

謙虚さが必要であるのは、まず第一に知識階層であることを忘れるべきではない。エリート層が唱える民主主義とは、自分が勉強した民主主義、いわゆる「私の民主主義」である。

それにしても東北・北海道では野党が勝利、西日本では自民党が勝利。これほど地域間で支持率に差が現れたのは、あまり記憶がない。二大政党への社会基盤が整いつつあるのではないか。そう見ることもできるかもしれない。

それと年齢別の与野党別支持率。意外なことに若年であればあるほど自民党の支持率が高い。最も若い10代・20代では民進党に対して自民党がダブルスコアである。ちょっと吃驚である。

社会保障、介護重視の民進党には(中低層の)高齢者が集まる一方で、意外や現役世代には「うざったい」と思われているのだろうか。若者は決して社会の「弱者」ではないし、女性もまた社会の「弱者」とは決めつけられない。「弱者」は、案外、いまの日本社会で多数派を占めてはいない。保護より仕事を。とられる話より稼げる話しを。これまた今の現実であるかもしれない。

とはいえ、福祉・再分配重視/経済活動・成長重視。ここにも二大政党制への隠れた(というより、戦後日本でずっと見られていた伝統的な)道筋をみるべきであると。こうも言えるのか。

2016年7月10日日曜日

入試の「得点調整」から選挙の「投票調整」へ進化することができるか?

本日は参院選投票日である。いま見ている日曜ワイドショーでも選挙の話が出ていて、そうなると(当然だが)「シルバー民主主義に問題はないのか」という展開になる。

ただ、シルバー世代には気の毒な気もする。こんな話をテレビ画面でやっていいのかとも思う。高齢者が人口の高い割合を占めたことに対して高齢者に責任はない。しいていえば、3人兄弟で育った団塊の世代が2人しか子供を作らないとすれば、そして二人兄弟で育ったジュニア世代が晩婚化し、育てても一人っ子が多いのであれば、これは高齢化が必然だという話になる。このプロセス全体に高齢者世代に責任はあるかと問われれば全くないわけではないのだろう。

まあ、理屈の話だ。

小生の感想だが、現実に高齢者の人口が多い以上、多人数を占める高齢者の意見に耳を傾けて国全体の方向を決めていくのは、当たり前であるとは思う。

が、高齢者の投票率は若年層の2倍は高いとなると、やはり問題であろう。実際に投票をしている人は、約半分が高齢者であると。それも仕事をしていない人たちであると。それで決まってしまうのかと。日本社会のご隠居じゃあるまいし、小生でなくとも、これは可笑しいと思うはずだ。

最近の入試センター試験では、同じ理科であっても異なる科目の間に平均点の大きな差が出てしまうと、素点で評価すると不公平になるので、得点調整をかけることがある。得点調整をかける場合の計算技術には、正規分布と標準化が応用されていることが多いのだが、選挙でもあまりに年齢層間の投票率の違いが大きくなれば、投票調整をかけてもいいのではないか。

雑駁に言えば、若年層の投票率が30パーセント、高齢者の投票率が60パーセントの場合、若年層の投票数を2倍計算するかどうか。単に2倍するのが論理にかなっているか。マア、こんな問題意識である。

先ごろ行われた英国の国民投票でもロンドンの豪雨が投票率に影響して、それが離脱派に有利に作用したという報道があった。

このような問題は、データ収集過程に必ず発生するミス・レポーティング(未回答)の処理をどうするかという課題にも通じるもので、多くの研究成果の積み重ねがある。支持する候補者、支持する政党と、年齢、投票率等の間に相関がある場合は、調整のための計算技術も複雑になる。

投票調整の計算技術を研究しておくとよいのではないだろうか。
これは統計学者にとっては挑戦しがいのある問題ではあるまいか。

2016年7月9日土曜日

参院選: 民進党の戦略的誤りか

参院選が近づいてきた。

与党の安倍総理の演説が受けているそうで、そんな報道がある。アベノミクスや消費税率引き上げ再延期を話しているうちは、マアそんなものだろうという冷めた雰囲気があるが、そのうち「もれなくついてくる共産党」という辺りから政談に入ると、にわかに熱気が高まり、最後に「気を付けよう、甘い言葉と民進党」で締めくくると、割れるような拍手がまきおこるとのこと。

これまた<劇場型政治>の一例じゃなあ、そんな感じがする。ワンフレーズ・ポリティックスでは、上手なキャッチコピーを思いついたほうが勝利をおさめる。そんな法則があるのかもしれない。

オバマ大統領の誕生を支えたのも"Change!"と、"Yes, We Can"だったねえ・・・。これはツーフレーズ・ポリティックスだ。レコードのように、ガアガアとノイズが入ると、時代の風合いがついて更によし、だ。

★

民進党の岡田代表はいかにも散文的だ。<理屈>というのは、アピールしない。大体、<理屈>というのは、数名のゼミで有効な説得術であり、勉強するための大学という場でも教室内の出席者が200人を超えると、授業当日に<ロジック>を展開しても学生は寝るだけである。

そもそも与党の3分の2を阻止するなどという戦略がありうるのか?こんなことが戦略になるのか、さっぱり理解できない。

改憲勢力が3分の2を超えれば憲法改正をしかけてくるという警戒感であるというのは言わなくともわかるが、憲法改正は野党にとっても脅威だろうが、与党にとっても大変なリスクなのである。

憲法改正が必要であると回答する国民は、各種世論調査で25パーセントを超えるか超えないかという高さで推移してきている。4人に1人である。

他方、明確に反対する国民は直近の2015年NHK調査で30パーセント、このとき賛成と回答したのは22パーセントである。

世論調査で、改憲賛成が反対を上回ったことは一度もないと記憶している。

仮に、衆参両議員で憲法改正を3分の2以上の賛成で可決し、国会が改憲を発議したとしても、国民投票で過半数の国民が賛成の票を投じるかどうか、現状では極めて可能性が低い。

内閣が主導して、改憲を発議して、国民投票で否決されれば、常識的に考えれば内閣は総辞職するであろう ー しなければ、不信任案が提出され、与党の一部も賛成に回り、不信任案が通ることはまず間違いない。内閣がと書いたが、正確に言えば与党の総裁を辞任するべき筋ということになる。

そして、総選挙となるのが必至だが、与党は大敗するだろう。だけではなく、改憲勢力は二度と回復できない政治的ダメージをうけると予想される。

そのあと(=宴のあと)の参院選でも改憲勢力は退潮するであろう。

与党議員の大半は、真に憲法改正をしたいと考えているわけではあるまい。こんな危険をおかして、本当に改憲発議の勝負に打って出るとは到底予想できない。

★

最重要なことは、過半数の国民が了解できるような憲法改正案を提案できる政党であるか否か?

これだけである。

民進党は、改憲勢力が3分の2以上をとろうと構うことはないのである。巨大なリスクは憲法改正を発議する側にある。

ここは腰をじっくりと落として、真に国民が望む政策、というより<国民がとるべき政策>とはなにか。それを真剣に議論し、党内でまとめることだと思われる。

2016年7月8日金曜日

経済予測: 5月14日時点の予測のままでよいか?

世界的に株価の動きはさえない。BREXITのせいだと決めつけているが、仮に英国が残留を選択していたとしても、その時はその時で米・FRBの金利引き上げ予想が高まって、やはり株価はさえなかったであろう・・・というのは、典型的な「レバ・タラ論」である。

が、学問分野としての将来予測をみると、最初から最後までレバ・タラ論で終始している。とにかく予測というのは「ここまでを予測の材料として使うのであれば」と、常にそんな枕詞はついて回るのだ。

7月に入っても日本の株価は低迷を続けている。ただ、5月14日の時点で ― その時点で利用できるデータは概ね3月までのデータであったのだが ― 春までのデータを見る限り、株価をはじめとする先行指数は7月にボトムを形成するであろう。そんな計算結果になっていた。なので、実態経済が先行指数に追いついてくる今秋以降は徐々に温かみが日本経済全体に感じられてくるのではないか。そんなことを前の投稿では記述している。

ちょっと考えてしまうのは次の点だ。

5月14日時点では英国の国民投票があのような結果になるとはわからなかった。実際には、想定外の「離脱」と出たのだから、そのネガティブインパクトを予想に加えて、予想は下方修正する。故に、国内先行指数の7月ボトム説は捨てなければならない。それが一つ。

いや違う、と。前の予測計算は(変わり映えのしない)ボックス・ジェンキンズ法でやったのだが、簡単にいえば、データに含まれているノイズの部分と過去の動きから予測できる部分を分離する作業のことである。

これまでの30年程度の動きをみながらノイズを抽出して計算したのが前の結果だ。当然、リーマン危機もあったし、東日本大震災もあった。「異常」だと思われるデータをすべて「この時期は異常だったし・・・」と外生的に別扱いにすれば、将来予測という計算は成り立たない。なので、すべて予測しがたい要因は、一定の確率分布の下で生じうるノイズと前提しているのだ。

その結果が7月ボトム説。だから、実際にUK離脱の結果が出たからと言って、予測の下方修正をするべきだとのロジックは出てはこない。

どちらの考え方をとるべきなのだろう。

ま、もちろん直近の観察値を含めて再計算するのがベストであることはわかっているが、考え方として上の問題を意識しているのだ、な。


2016年7月6日水曜日

覚え書: 高齢化の中では、実質賃金が伸び悩み、労働分配率が低下するのがロジカルだ

付加価値がどのような割合で賃金と利潤に分配されるかという問題は、リカード、マルクス以来の大問題である。

そして、いま労働分配率が低下傾向をたどっているのは、グローバルな規模で進行している格差拡大の象徴であるとも言われる。日本も同じであって、間もなく投票される参議院選挙でも大きな論点になっている。

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当たりまえの点に気がついたのでメモしておく ― いま思いつくのも頭脳活動が低下した証拠だが。

国民所得とは付加価値の生産に参加する生産要素が獲得する報酬の合計である。

総人口が100として100全員が現役世代であれば、付加価値は働いて得る労働所得と資本を提供して配当・利子・賃貸料のいずれかを得る資本所得のいずれかに分かたれるという見方が経済分析の上でも効果的だ。もし労働所得部分に経営者自らが働くことの報酬である役員報酬(の一部)を含めるとすれば尚更だ。

もし全員が現役世代であれば、実質賃金の上昇は人の暮らしが向上することと裏腹の関係になる。

が、高齢化が進むと言うことは、働かずして所得を得る人の割合が増えるということだ。高齢者全体が得る所得はその社会の労働所得ではない。

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現役世代が減少すれば、賃金が上昇する(はず)ので、人から設備への代替を進めるプレッシャが生じる。たとえば自動化や人工知能(AI)を活用したロボットへの代替はその一環だ。

介護施設で働く人の数を増やさない一方で、一人一人にパワースーツ"HAL"を支給し、労働生産性、持続可能性を確保しようとするのは具体的な一例だ。パワースーツの装着可能性向上などR&D投資が増えるということは、典型的な資本深化の一例だ。もし人ではなく、全面的に介護ロボットにシフトするなら、もっと資本集約化が進むことになる。

これらの一連の事柄は、施設運営者の利益拡大 ― ヒトは高く(なければならない)、ロボットは安い ― の努力として進むはずだが、結果として現場で働く人、介護をされる人の満足度向上にプラスの寄与をすることを理解できないはずがない。

高齢化が進む中で賃金の規制や介護方法の規制など規制を全面的に撤廃すれば、機を見るに敏な経営者が勝ち組となる可能性が高い。しかし、社会的には望ましい状態を作ってくれる可能性が高い。

それは社会の進化というものではないか。


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機械への代替が進む中で賃金上昇は緩和される。人は減るので労働所得の増加も抑えられる。他方、資本集約化されることで生産活動は全体として減ることはないので、利益が拡大する。労働分配率は低下する。

「悪い低下」ではないだろう。

ロボットの持ち主が得る報酬は賃金ではなくレンタル利益、つまり利潤である。

自動化とロボット化を進めることで、高齢化社会の生産活動が維持可能となる。この方向を促進することは高齢者の生活水準向上、格差拡大を縮小するという政策目的にも寄与するはずだ。


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高齢化社会においては、実質賃金の伸び悩み、労働分配率の低下を問題視するべきではない。むしろ経済問題が合理的な形で解決されつつあることを裏付けるものだ。

人口増加社会における経済的な常識は、人口減少社会においては経済的な非常識となる。

2016年7月2日土曜日

ポスト”BREXIT”: 英国株の怪(?)

英国の離脱派の巨頭と目されていたボリス・ジョンソン氏。仲間のゴーブ司法相の裏切りにあい、あえなく党首選辞退のやむなきに至ったとのこと。

 ゴーブ氏の友人によると、ジョンソン氏による英紙デイリー・テレグラフへの寄稿文が難解で、指導者としての資質を懸念する声が保守党内に一層高まったという。

 非難の応戦も始まった。ジョンソン氏の友人はこの記事は「ゴーブ氏が校正した」と証言する。また党首選運動の混乱も、運動を率いたゴーブ氏が原因だと主張する。

 29日夜、ある電子メールが流出した。書いたのはゴーブ氏の妻で英紙デイリーメールのコラムニストでもあるサラ・バイン氏だ。バイン氏がジョンソン氏の性格を疑問視する内容だった。

 バイン氏はこのメールの宛先を誤り、結果として民放スカイニュースが入手したという。だが「流出を前提に書かれている」とジョンソン氏の支持者は話す。

 真実がどうであれ、ジョンソン氏が出馬表明をしようかという日に大きな痛手となった。各紙は内容を1面で報じた。

 ゴーブ氏は30日朝に決定打を加えた。午前9時すぎのプレスリリースで出馬を表明。ジョンソン氏の指導者としての資質に疑問を投げかけた。

 ゴーブ陣営は事前にジョンソン氏に電話で知らせようとしたが、つながらなかったとしている。ジョンソン陣営は「着信はなかった」と反論する。

 ジョンソン陣営ではある臆測が広がる。ゴーブ氏はキャメロン首相の辞任に罪悪感を感じ「ジョンソン下ろし」に加わったというものだ。

(出所)日本経済新聞、2016年7月2日、(元記事)Financial Times


欧州においてもやはり「裏切り者」の烙印は成功への最大の障害となるようだ。ジョンソン氏の父親はゴーブ氏の突然の背信を聞き、"...and you, Brutus"と言ったとか。


7月1日付のTelegraphには次のような報道があるので、いまの英国政界は一寸先が闇である。

Andrea Leadsom was last night emerging as the pro-Brexit choice for Conservative leader after support for Michael Gove faltered in the wake of his plot to remove Boris Johnson.
The Telegraph understands that around 30 MPs who had previously declared their support for Mr Johnson will next week endorse Mrs Leadsom, making her the most popular anti-EU candidate.
Mr Gove - who had hoped to become the leading Brexiteer in the race - has instead been ostracised by MPs furious at what they regard as an act of "treachery" following his decision to abandon Mr Johnson at the eleventh hour and run for the leadership alone.

レッドサム議員ですか・・・。

知恵は称えるが、と同時に背信的行為を憎むという人間の微妙な心理は、古典古代のトロイア戦争の時代から現代にいたるまで、同じである。

だから同じような行動がそのまま反復されているわけであり、だからこそ時代を問わず、権力闘争は外部の人間にはとても「面白い」のだ。


★


それにしても、こんな政治ドラマが進行中のイギリスお膝元の英国株を、小生、物好きにも買ったのが5月から6月23日まで。

「離脱」と出て、非常に下がりましたー日本株も同時に下がり、かなりの損になった。

しかし、今日現在、下がったままの日本株の損失を、国民投票前の水準を超えて回復してきた英国株の値上がり益でカバーしている状態である。

これは英国株の怪というべきか、冴えない日本株の怪というべきか・・・。

これもポンド安、円高という為替相場のなせる業と言われれば、経済の理屈は通る、どうせ一過性の怪であることはわかる。

それでも常識では解せないねえ、火元は英国だっていうのにねえ。そんな心境だ。