2013年7月20日土曜日

China as Number One (CNO)は、JNOと相似形かもしれない

カミさんがいないので時間があってしょうがない。しゃべらないだけで、時間はできるものだと、改めて思う。もしカミさんに先立たれたら、毎日が永いだろうねえ……。で、何気にネットをみていた。
デンマーク紙ポリティケン(Politiken)の調査では、53%のデンマーク人が「中国は10年後に超大国として世界をリードする」と回答。「米国がリードする」と答えたのは30%だった。オバマ氏再選後、ポリティケンは中国共産党指導部の交代劇について特集を組んだが、コペンハーゲンの北欧アジア研究院のオスターガード研究員は「われわれはかなり前から北京の動向に注目していた」と話す。同研究員によれば、デンマーク経済は輸出に依存しており、国民の生活水準を維持するためには、世界第2位の経済大国であり、欧州全体の総人口に匹敵する中間所得層を有する中国に期待すべきだという。

コペンハーゲン大学の中国問題専門家、ビヨルン・ドルマン教授は「米国はデンマークにとって重要な貿易相手国だが、中国との長期にわたる発展的な関係はデンマークの未来にとって重要だ」と述べ、中国の新指導部と早急にパートナーシップを結ぶよう提言している。デンマーク人にとってオバマ氏は面白いテレビドラマであり、EUは退屈で味気ない存在だが、中国はデンマークの未来なのだ。(翻訳・編集/本郷)
(出所)レコード・チャイナ
しかし、小生は常識的に考えて、「いずれ最終的には」というならともかく、近い将来に中国が政治的、経済的な超大国になるという予想は、 実現困難だと思う。以下にその理由をあげて、覚え書きとしておきたい。
  1. 高度経済成長は、生産力の拡大だけではなく、需要がそれに伴って拡大しなければならない。Made in Chinaは、世界市場に浸透したが、世界市場が中国製品を買うことができたのは、それが安価であったと同時に、世界市場も高度成長していたからだ。世界市場の高度成長の背景として、金融技術と国際金融の発達があり、それを支えた欧米の金融機関がある。これらの金融基盤の生産性が2008年から2009年の危機以来、障害を起こしている。したがって、中国が旺盛な投資を継続して、生産力を拡大しても、世界市場の需要がついてきてくれない可能性が高い。
  2. 中国は国内市場で需要を創出することが、今後の経済成長には不可欠である。しかし、そのためには層の厚い中間所得層を形成しなければならない。それには所得分配をより平等化し、資産課税を強化する必要がある。この経済的平等は政治的平等に通じる道であるが、その道は中国共産党の一党独裁制とは相容れないと思われる。中国の国内市場を育てる上で、どこかで現在の政治制度と経済の現実との矛盾が破断界に達すると予想する。
  3. 中国も高齢化が進行している。アメリカは高齢化による<人口オーナス>の被害をこれからも回避できる見込みである。何よりも海外から人的資源を受け入れられる開放的な社会的基盤が整っているのが強みである。そんな開放的社会に中国がなっていくとは思えない。古(イニシエ)の世界帝国・唐王朝と、いまの中国共産党は全く違うのだ。既に共産党インターナショナルは消え去っているのだ。その世界性は幻想となっており、中国共産党の唯我独尊になり果てている。

社会学者エズラ・ヴォーゲルが、"Japan as Number One"を刊行したのは1979年である。この年、イラン・イラク戦争に端を発し、第二次石油危機が進行した。<官民一体>となった日本の際立った適応力が世界の注目をあびたことも今は懐かしい。確かに、なるほど、その後10年少しは<経済大国日本>が健在であり、ヴォーゲルの観察も的を射ているように見えたものの、Japan as Number Oneと言われてから11年後の1990年に東京バブルは突然破裂して、その後<デフレと停滞の20年>に入っていくのである。

0 件のコメント: