2014年3月20日木曜日

給与の国庫返納は「あざと過ぎる」振る舞いではないか

日常会話ではあまり使わないが、アザトイという形容詞がある。意味は、Goo辞書によれば
1 やり方があくどい。「―・い商法」
2 小利口である。思慮が浅い。あさはかだ。
ニュアンスというか、語感はまさにこの通りだと思う。

さて、二、三日前に日経新聞が報道した次の記事。
政府は14日の閣議後の閣僚懇談会で、安倍晋三首相と閣僚らの給与を国庫に返納する措置を来年度以降も続けることを申し合わせた。東日本大震災の復興財源に充てるため、2012年度から2年間の特例措置として首相は30%、閣僚と副大臣は20%、政務官は10%を減額してきた。法律上は今年度末で終わるが、引き続き歳出削減に取り組む姿勢を示す。
 政府は一般の国家公務員の給与も平均7.8%削減してきた。この特例措置は13年度限りで取りやめる。
(出所)日本経済新聞、2014年3月14日

国家公務員の給与が2年間、平均で8%弱減額されてきたことは周知のこと、それがこの3月で終わる。「給与引き下げ」ではなかったのだ。労働基本権を制限したまま、使用者側が恒久的に8%程度給与を引き下げると決めれば、さすがにそれは憲法違反になる(と小生は思っている)。引き下げではなく、震災復興に対する(強制的な)有期限協力である。これなら理屈は通る。

しかし安倍内閣の閣僚たちは、自分たちだけは4月以降も同じ減額措置を続けると決めたという。これは「あざとい」ねえ・・・、そう感じたわけだ、な。

それほど震災復興に協力したいなら、首相は50%減額でも暮しには困らないだろうし、政務官も10%では減額率として甘いのではないか。政務官も副大臣も年間収入で2000万円を優に超える。総理大臣は4000万円に達しているはずだ。そもそも国会議員はすべて毎月200万円弱の給与を支給されているのだ。日本では議員歳費は事務次官を下回らないことになっている。カネの恨みは怖いとはいうが、一度、海外の政治家・公務員給与事情を報道すれば啓蒙的効果があるだろう。米国の大統領と日本の総理大臣は、在職中の給与に限れば概ね同額のはずだが、これを適切と見るかどうかは、その人の立場によるだろう。

ま、いずれにせよ毎月の手取りが40万円ほどの大学教員もまた10%の減額を忍んできた。忍んできたが、井戸端会議で声高々とこれを論じれば、嫌味な奴と思われるだろう。あざとい……。

給与は規定で定められているのだから、受け取ることは受け取って、寄付をすれば同じ目的は達成できる。課税優遇措置もあるし、匿名の寄付という形で復興に協力しても良かったのじゃないか。




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