2016年4月12日火曜日

報道がドラマより面白い時代ということか

夜の楽しみの一つはTVのニュース番組である。

そのニュース番組で4月以降、かなりのリニューアルがあった。

テレ朝の報道ステーション(22時~)はスタッフが一新された。が、いい人のようだなあ、という印象で前任者のように視聴しながら画面に向かって悪口をいう気にはならない。自己規制路線に戦略を転換したのだろうか。

TBSのNEWS23(23時~)も一新された。若返った。が、若いなりに上手だなあ、という印象で、その話ならネットで知っていますけど・・・と、そんな印象である。

いずれの時間帯でもNHKが視聴者略奪的コミットメントをかけてきている。22時からは『クローズアップ現代+』、23時15分からは『ニュースチェック』だ。

かなりの人的資源を大量に投入してきている。これで視聴者評価をとれなければ、大きな失敗に数えられるだろう。

NEWS23は、シェア、いや視聴率を奪われる可能性ありとみる。報道ステーションは、ひょっとするとロイヤリティの高い視聴者がいるかもしれない。とはいえ、長期的には失望されるかもしれない。NHKが22時の時間帯では差別化を強調し、23時の時間帯ではほぼ同質的な内容をぶつけているのは、理にかなった競争戦略である。半分以上をとれる見込みのある時は、私は違います(=相手もいいところがあるのです)と競争回避策をとるのではなく、正面から競争する方が期待値は高い。

NHKの意図は明らかだ。21時からは『ニュースウォッチ9』、22時から『クローズアップ現代』、23時(15分)には『ニュースチェック』という報道シフトが際立っている。視聴率獲得の主戦場がリアルタイムの情報提供にあるとみているのだろう。そして、これこそNHKの存在意義にも沿っている。ここに強みがある。強みを生かしてチャンスに乗じる。オーソドックスである。

というよりも、「テレビ」が生き残るには正当な選択だ。足元の視聴率をねらうよりも戦略的ポテンシャルがある。大体、民放は事業の再構築が可能だが、NHKは放送事業を死守するしか逃げ場がない。カネもあれば、危機感もあるのが、NHKという会社なのかもしれない。

それにつけても思うのは、ドラマとは所詮はフィクション。事実のほうがはるかに面白いということだ。たまたま思いついたトリックや作為、さらにはヒットがほしいという思惑の混じったシナリオより、まっさらのリアリティそのものにこそ、真っ先に触れたいものだ。これはフィクションだと感じた途端に、白けてバカバカしくなるものではないだろうか。

最初からフィクションであるストーリーを時間をかけて追うのは、そこにリアリティがあるからだ。リアリティがなければ、全てのドラマは自分とは関係のない絵空事になる。リアリティを感じさせるスキルがドラマ作りの実力のはず・・・、マアいいか。芝居作りのスタイルもまた時代によって変わるものだ。


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