米中対立の潮流の中で戦略ベクトルを再検討しつつある国は韓国ばかりではない。
昨年、シンガポールのリー・シェンロン首相はジョン・マケイン米上院議員に対し、米国がTPPを離脱すれば「(米国は)アジアでは終わりだ」と述べた。(出所)WSJ、2017-2-22
軍事戦略と経済戦略は整合的でなければ、利益があったとしても一過的である。
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アジア圏に中国的秩序が浸透すれば、韓国の地に「地上配備型ミサイル迎撃システムTHAAD」が配置されるとしても、遠くない時期に"America First"ではなく、"Korea First"を唱える政治家が権力を得て、韓国の政策は転換されるであろう。そうすれば、北朝鮮のミサイルに対する防備なくして自国の軍隊が常駐するのは不合理であるという判断がアメリカにおいても正当となり米軍は韓国から撤退する可能性が高い。
フィリピンは現時点では輸出総額に占める中国の割合は10%程度であり、日本・米国に次ぐ第3位を占めるのみである(ここを参照)。しかし、台湾は付加価値ベースで中国依存率が10%と対米依存率を上回る。韓国は米中それぞれの依存率が拮抗しているが、対米依存率は低下しつつあり、中国への依存率は高まりつつある。
日本も最近時点において、米中それぞれ、経済的関係は依存率という数字で見ればほぼ同等であるのだ。
戦略的互恵システムとしてのTPPは、やはり米国の国家戦略として、一つの有力な選択肢であったことは否定できまい。
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こんなことは近い将来において起こりそうもないが、フィリピンと中国の関係が深まり、安全保障面においてもアメリカとの関係が見直されることになれば、それは日米安保体制の終焉を意味するかもしれない。
そうなれば、中国の覇権はハワイまで東進し、仮にそうなれば、最終的にはアメリカの力は本土まで後退する―合衆国に含まれる州が50から49になる。
一つの可能性だろう。
いやいや、そんなことはないと言われそうだが、世界史をみると洋の東西を問わず、どんな大勢力も続いた所でせいぜい400年が一つの目安である。勢力圏の膨張や縮小は、これまでにも常にあったことだ。
英国にも「失地王・ジョン」がいた。ローマ帝国が最大版図を誇ったのは西ローマ帝国滅亡の350年も前、トラヤヌス帝の時代である。黄金時代である五賢帝時代は唐突に終了し、以後100年近くの混迷が続いた。
ま、こんな世界史的変化を小生が目にすることは絶対ない(と思う)。愚息が生きている時代にも起こらないだろう。
衰退は100年単位で進む現象だ。
衰退の時代の始まりは、ずっと後になってわかるものだ。しかし、衰退すればどうなるかは、実際に衰退する以前においてある程度予測はできているはずだ。
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