2025年8月18日月曜日

ホンノ一言: 景気動向指数も疑問符をつけざるを得ないのか?

株価は景気判断をする際の典型的な先行指標である。その株価だが、トランプ関税による景気下押し懸念、実質賃金低迷による消費需要下押し懸念などから、景気の先行きには不透明感が増している。言い換えると、リスクが拡大している。

ところが、いま日経平均株価は極めて強気に上げ続けている。



不思議だ。

その他にも、幾つかの先行指標を総合し、数値化したのが景気動向指数の先行系列である。これを一致系列と並べて描画したのが下図である。



緑が先行系列、紫が一致系列である。見てすぐに分かるように、コロナ禍が明けた2021年半ばから4年の間、先行系列は低下トレンドを続けている。その一方で、生産・販売データを中心とする一致系列は上げ基調を続けている。

通常、先行系列は半年から一年弱ほどのリードタイムを示す経験則がある。実際、最近4,5年間より前までは、先行系列の動きを一致系列が追うような変動パターンが示されてきた。少なくとも、この4年間のように、一方が低下トレンド、他方は上昇トレンドという風に、正反対の傾向が何年も続くということはなかった。

景気動向指数のどこかがおかしい。

実際、
  1. 一致系列が示すように、国内の景気は基調的に上向きなのか?世間の感覚と余りにずれているのではないか?
  2. では、先行系列が基調的に下向きであるのに、なぜ株価は上げ続けているのか?こちらの方が不思議である。
  3. 株価が上げているのは、先行系列には含まれていない強材料を肌感覚的に投資家たちは知っているからではないか?
  4. だとすれば、一致系列が基調的に上げているのも合点がいく。
株価と世間の感覚と、先行系列と一致系列と、何が正しいのだろうか?

いずれにせよ、景気動向指数は整合性に欠けている。

景気判断をする材料として「GDP四半期速報(QE)」は使いづらいというのは、何度も投稿してきた(たとえばこれ)。景気動向指数の方が客観性に優れるとも書いて来た。その景気動向指数も疑問符をつけるとすれば、他に何がある?

話している事がバラバラのエコノミストの意見や、にわか専門家、TVやネットの井戸端会議に耳を傾けるのは、肥溜めの中から宝石を探すようなものだ。

結局、ChatGPTを助手にしながら、自分で調べ、自分で考えて、判断していく以外に道はない。

もともとそうであったのだが、厳しい時代になってきたものヨと、改めて感じる。統計情報環境は、明らかに劣化してきていると思う。



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