前稿ではいま流行の生成型AI(≒人工知能)が問題解決に知恵を貸すパートナーとして働けるのかという点について今の感想を述べた。
まあ大雑把に言えば、いまの現状では客観的なアドバイスを提供してくれる賢いパートナーにはなりえず、どちらかといえば、主人におもねる家来、というか質問者のプライドを忖度してくれる今流の(?)のスタッフといったレベルかナア、とも感じている。
たとえば、最近何度か米価高騰と参院選に関連して投稿した農産物関税率の引き下げについてだ。ChatGPTに以下の質問を発してみた:
- 日本がコメ輸入の関税率を引き下げて海外の米輸入を増やすことは日本人をより豊かにするか?
- 反対に、「コメの輸入関税を引き下げることは日本の国益を害する」という判断には、どんな理論的根拠がありますか?
ChatGPTが回答した応えをシェアしておこう。要約するに、関税率引き下げが日本人を豊かにするかという問いには
コメの輸入関税を引き下げることは、経済的には日本人消費者の福利を向上させる可能性が高いが、文化的要因や政府の介入がその効果を弱める可能性もある。
と応え、関税率引き下げは日本の国益を毀損するという懸念に根拠はあるかとの問いには
輸入関税の引き下げは、日本の農業基盤・食料安全保障・地域社会・文化を脅かす可能性があり、これらを「国益」と捉える立場においては関税維持に正当な理論的根拠があるといえる。
と回答する。
自由化論者には『そうですヨネ』と答え、保護主義者には『そりゃ、そうですヨネ』と答えるわけで、こんな風では大事な意思決定のパートナーには使えないわけである。
仕方がないから、
上の二つの対立する見解を総合して、日本はどちらの方向を行くべきか?どう思いますか?
と質問すると、
日本は、コメに象徴される農業と国民生活の価値を守りつつ、経済的合理性に基づいた段階的な自由化と農業政策の構造改革を進めるべきです。これにより、消費者・農家・国家安全保障のすべてをある程度バランスよく守ることが可能になります。
こんな風に総括してくれる。
官僚(?)としては優秀だが、大臣に迎合するいわゆる《佞臣》に近いのが、現段階の生成型AIかもしれない。故に、人間を助ける「人工知能」とイコールではなく、ニアリーイコールというレベルだと感じた次第。
最近のバージョンアップでペーパーテストの難問を解くのは段々と得意になっているようだから、その意味でも今の生成型AIは、悪い意味での《秀才官僚向き》といったところである、な。
いや話は逆で、日本的学校システムで高評価されてきたのは、どうやら生成型AIのような《試験秀才》であったのかもしれない。真の知識ではなく、パターンを暗記するという点も何だか似ているような気がして、暗澹とした気持ちになります。
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