今7~9月期のGDP速報が先日公表され、意外にも(!?)対前期比でマイナス成長となったことが、多くのエコノミストの驚きを誘ったようだ。
実際、ロイターでは次のように報道している。
[東京 15日 ロイター] - 内閣府が15日発表した実質国内総生産(GDP)1次速報によると、2022年7―9月期の成長率は前期比0.3%減、年率換算で1.2%のマイナス成長となった。4四半期ぶりのマイナス。内需に底堅さがみられる一方、対外サービスの一時的な支払いで輸入が増加したことが影響した。
ロイターが民間調査機関18社を対象にまとめた予測中央値は前期比0.3%増、年率換算で1.1%のプラスが見込まれていたが、結果は予想外のマイナスとなった。
GDPの多くを占める個人消費は前期比0.3%増。衣服や外食などが増加した。4四半期連続でプラスとなったが、前期の1.2%に比べて伸び幅は縮小した。
個人消費とともに内需の柱となる企業の設備投資は同1.5%増と、2四半期連続プラス。内閣府によると、半導体製造装置などが増加した。コロナ禍で先送りしていた企業の設備投資はそれなりに多いとされる。
民間住宅投資は0.4%減で5四半期連続マイナス。公共投資は1.2%増で2四半期連続プラスとなた。
輸出は1.9%増、輸入は5.2%増。外需寄与度は0.7%のマイナスとなった。「専門・経営コンサルティングサービス」部門で海外企業に対する広告費用の大口の支払いが7─9月期にあった。輸入の増加は一時的とみられるという。
Source:ロイター、 2022年11月15日9:53
プラス成長を予想していたところがマイナスの前期比成長率になったのだから、それは驚くはず ― ただ、数字そのものを見ると、4乗した年率では▲1.2%だが、生の前期比ではゼロ前後の▲0.3%。ほとんど統計的誤差の範囲ではないかと言われればその通りでもある。
そもそも前にも書いたことがあるが、GDPという統計は先ず暦年値が確報段階でトータルとして確定し、それを補助系列を利用して四半期分割している。速報は確定した数値を補助系列(=支出側データ)で延長した数字だ。故に、季節調整をかけて基調を算定するにしても、四半期分割の不自然が影響するシステムになっている。7~9月期は、加えて、貿易取引上の特殊要因があったとも言われている。輸入は控除項目だから何かの理由で増加するとGDPの下振れ要因になる。
こんな時は(普通は)前年同期比を見るものだが、最近は前年比を参考情報としても言及しないようだ — マア、記者レクでは担当部局が語っているのだろうが、クラブ所属の記者たちが機械的に、分からないながらも「実質季調済前期比」を文章にして送っているのだろう(と憶測される)。
なので、小生は景気動向指数を最近は観るようにしている。こちらは多数の月次データを総合した指標であるから、無理な四半期分割の影響はなく、個々に生じる季節調整の問題も相互に相殺されるので、マアマア、体感にマッチした動きになることが多い。実質GDPと対応するのは景気動向指数の中の一致系列である。
この統計はマスコミはほとんど触れないし、役所が公表する資料は使いづらい。なので、自分でこれに特化した簡単なアプリを作って定期的に確認するようにしている。
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