愛読しているKrugman先生の投稿は、最近毎日のように、いかにトランプ政権が無能であるか、いかにトランプ大統領が悪質であるか等々、経済というより政治的な非難が多いので、その種の批判はちょっと丁寧に読むのは止めている。
そのト政権が経済制裁中のキューバ。やり方が惨いのでどうしてもト政権批判へと議論は流れがちだが、DeLong先生は意外と冷静な目でとらえている。
引用しておこう:
My view is that, had Cuba remained a normal country rather than becoming the patrimonial-authoritarian really-existing socialist caudillismist Castroite state that it did, the likely counterfactual is that nearly everyone would have been much better off. People would have been better off even with respect to infant mortality. In brief, Cuba today would probably look a lot like Costa Rica today, with 9 infant-mortality deaths per thousand live births. The Revolution and the Castroite régime has been a 2.5-generation disaster for Cuba, and the ability of the medical system to punch well above its economic weight in infant mortality is 100% offset by the régime’s system that makes its economic weight so low.
私の見解では、もしキューバが、家産制的かつ権威主義的で、現実の社会主義体制下におけるカウディージョ(独裁的指導者)支配の「カストロ体制国家」へと変貌するのではなく、ごく普通の国であり続けていたとしたら、ほぼすべての国民にとって状況ははるかに良好なものになっていたはずです。乳幼児死亡率の面でも、人々は今より良い状況にあったでしょう。端的に言えば、今日のキューバは、出生1,000人あたりの乳幼児死亡数が9人であるコスタリカとよく似た姿になっていた可能性が高いのです。革命とカストロ体制はキューバにとって2世代半にわたる災厄であり、乳幼児死亡率に関して経済規模に見合わないほどの高い成果を上げている医療システムの能力も、経済規模をこれほどまでに低く抑え込んでいる体制の仕組みによって、完全に相殺されてしまっているのです。
Source: substack.com
URL: https://braddelong.substack.com/p/no-castros-cuba-was-not-a-successful
このところ、日本でも《社会主義待望論》があるようで、アメリカでも何だか"Socialism"に関心をもつ若者が増えているそうだ ― さすがに"Communism"(=共産主義)は私有財産の完全否定につながるのでアメリカ人の感性には受け入れられない様子だが。
キューバのカストロ政権は、乳幼児死亡率やその他の医療面での福祉では(驚くほどの)ハイレベルな結果を残してきたものの、肝心の生活水準全体はといえば「停滞ぶりは酷いものだ」というのは、「社会主義経済」なるものを観察するときの最大公約数になっている。旧ソ連もそうであったし、西ドイツに対する東ドイツ、西欧に対する東欧と、どんな比較をしても同じ結果である。
社会主義は、一時的、短期的には良い結果を残すのだが、長期的に停滞に陥り、その停滞を解決するためのシステム改革ができないという袋小路に囚われてしまうのだ。中国共産党がいわば《不真面目な社会主義》へと舵を切ったのは、漢民族の現実感覚がなし得たファインプレーだと思っている。仏教はインドでは途絶えたが、中国では形を変えて残った。どこか相通ずるものがあるとも思っている。最近ではまた「社会主義原理主義」の志向をもつ政権トップが君臨しているためか、難問山積の状況だが、この辺の分析は社会主義的要素と自由主義的要素との絡み合い、更には中央指令的な共産党中央という要素があって、分析は一筋縄ではいかない。
いずれにせよ、社会主義は現在の体制とは違うので、何だか「いいね!」とか、あれも「よさそうだネ」とか、幼稚な感覚を超えた真っ当な議論の深まりが日本でも進んでいってほしいと思う。
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