2018年3月10日土曜日

予想: 公文書書き換えはちょっと考えられない

前稿では官公庁、企業の最終的文書と中間的文書との食い違いは大した意味はないという点を書いた。

森友事件の国有地払い下げにおいて最終的文書があるにもかかわらず、国会に提出した文書はそれとは異なっていた。これを以て朝日新聞は「国会には書き換えたものを提出した可能性がある」と報道した。

元の最終的文書を「これでございます」と提出すれば直ちに疑問は解消できるにもかかわらず、大阪地検に押収されているので出せないと。それで野党は国会審議を拒否している  ―  確かに、この状態は拒否されても仕方がない。

可能性があるのは、

  • 国会に提出した文書は、最終的文書(=真の決裁文書)ではなかった。その理由としては、最終的文書(=決裁文書)を意図的に書き換えた(公文書変造)か、もしくは不注意による取り違えかのいずれかである。
  • 国会に提出した文書は、最終的文書(=真の決裁文書)である。

上の二つのいずれかしかない。上の選択肢が二つに分かれているので可能性は三つだ。これ以外に可能性はない。

上の二つのいずれが真であるか。現在、大阪地検に押収されている最終的文書(決裁文書)を国会の場に示せば直ちに回答が得られる。

国会には憲法で国政調査権が与えられている。財務省・法務省の行政機関による欺瞞を防ぐためには、国会は国政調査権を発動して大阪地検からダイレクトかつ速やかに国会に提出させるべきだろう。

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その後の発展で予想されるのは以下の点だ。

大阪地検から提出される文書が国会に提出された文書と一致する場合、国会審議の混乱の主たる責任は「書き換えの可能性」と報道した朝日新聞社にある。ただ、朝日新聞は「可能性」と報道しただけであるから責任はないという理屈になる。

しかし、可能性があると判断した根拠は「出せる範囲で」示すのがマナーではある。まあ、報道機関としての信頼性はガタ落ち(ひょっとすると大手新聞からは脱落?)にはなるだろうが。

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もし文書が不一致の場合、上の選択肢のサブアイテムのいずれが真であるかの確認が必要になる。これは犯罪性があるかどうかの判定になるので、それこそ大阪地検の所掌である。

大阪地検は既に文書が国会の場に提供されたものと一致するかしないかを把握しているはずである。犯罪性があるならば起案者かその上役を逮捕しているのではないか。

しかし、逮捕者は出ていない。

ということは、そこに犯罪性はない。そう推測できるのだ。

とまあ、この辺までは考察が自然に進む。

というより、小生も役所という所で小者をやっていたが、「決裁後の書き換え」は担当者レベルでは絶対に思いつかない。今回の騒動は書き換え、というより2ページ以降の「差し替え」にあたるが、決裁後に差し替えるべき何らかの不備な箇所が見つかった場合、別の起案をたてて謝りながら判をもらっているのが自然だ。こんな大事件になる前なら、何の心配もなくそうしているはずだ。これが最終的文書になるわけで国会にはこれを出せばよい。ここに不注意によるミスの可能性がある。こうではなく、大事件になった昨年に改めて2ページ以降を差し替えて国会に提出する・・・・まあ、疑う人は疑うと思う。であれば、元の決裁文書をも既に差し替えているはずだ。大阪地検が保有している文書と国会提出文書は一致する。しかし、こんな差し替えをするのは真の犯罪行為が決裁文書中に含まれている場合のみである。しかし、もしそうならそもそも最初の決裁が得られるはずがない。完全に隠ぺいするはずである。文書からは分からない理屈だ。ならば差し替える必要もない。差し替える必要もないのに、差し替える犯罪行為を行うというのは理に適っていない。なので、これも考えにくい。

故に、朝日新聞の言う通りであったとしても、それは不注意である可能性が高い。

もちろん、大阪地検が保有する決裁文書が国会提出文書と一致する場合であっても、表面的整合性の背後に実は犯罪行為が隠蔽されているのではないか、と。そういう但し書きはつく。そんな疑惑を持ちたい人は持つだろうが、しかしそれは「安倍政権と財務省はクロに決まっている」と確信しているためだ。その場合は、なぜクロであると確信するのかをオープンにすることこそ、有効な議論につながる第一歩になるだろう。

【加筆 2018-3-10-20:10】

どうやら財務省は「書き換え」を認める方針との速報があった。それも意図的な改竄を行ったとのことで、不注意ではないらしい。これは吃驚仰天の一言。このとおりなら理性ではなく、何らかの恐怖、欲望、迷いといった人間の弱さが招いた不祥事であったのだろう。思い起こせば、かつて大阪地検特捜部で証拠ねつ造事件があった。近畿、関西、大阪をどう制御するかというのは東京の中枢本部からみると一種の「鬼門」なのかもしれない。

多分、週明けの月曜に事実報告と併せて麻生財務相は辞任するのではないか。安倍総理は決してストレス耐性が高くはなく、そうなると内閣総辞職の可能性も出てきた。場合によっては意外や政界再編成にまで進んでしまう「動乱の季節」がこの先に待っているのかもしれない。これが日本にとって吉となるのか、凶となるのか、予見不能であるが。もしそうなるとすれば、一年前の投稿が的中したことになる。

関係者がすべて合理的に思考し最適な行動をとっていれば、将来予測が(ある程度)可能である分野は確かにある。しかし、たまたま重要な職位にある人物が不合理な行動をとった場合に結果がどうなるかという問題に合理的に回答することは不可能である。

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