2014年5月27日火曜日

覚え書―近年の大学学部新設の不思議

先日、元同僚が来室。しばし雑談してから京都へ戻って行った。
元同僚: 経済はもういかんやろ?
小生: 大体、「経済学部」がはやり始めたのは主に戦後ですよ。戦前にもありましたけど、主流は法学部でした。経済をやる人間でも、僕の出た学校では理財科が一番人気でしたよ。けど、もうあきませんやろなあ…、経済学という学問からオーラはもう消えてますから。昔はマルクス経済学も隆盛で、よい世の中をつくって行こうという情熱が満たされましたけど、その後がいけない。数学好きなら、経済学よりホントの数学をやればいいわけですよ。だから経済学をまともにやろうというのが入ってこなくなりました。
元同僚: これからどうするんや、経済学者は?
小生: 必要なんですよ、人材としては、経済学が分かった人間が。おらんとアメリカ政府、EUと論争するにも議論できませんから。いまは中国の官僚も現代経済学に精通してますからね。
元同僚: 相手の言ってることがチンプンカンプンじゃいかんわなあ。けど、そんな授業、やっとらんやろ?
小生: まあね。
元同僚: これから、経済、どうするんや? 
小生: 「総合経済学部」にするとか、看板をかけかえるんやないですか?一番手っ取り早いわ。
元同僚: ハハハ、少しは騙されてくるかもしれへんわなあ…
小生: いまの時代、総合、国際、環境の三つをつけておけば、何とか生きていけますて…ま、ちょっとバカバカしい時代やけどな。
元同僚: 総合環境学部もどこかにあったなあ。
小生: これからも呼び名にこだわる必要のない学部は、まあ、文系では法学部、それと理系の医学部か、理学部はどうやろなあ。どんな理学なんか分かるようにしとかんといかんかも、生命科学部とか、バイオエンジニアリング学部とか、な。
元同僚: また騙されてはいる奴が増えるだけやないか!

ま、そんな雑談をしたのであるが、小生が不思議に思っていることもある。先日、東京へ出張した折にも感じたのが、いまの「統計ブーム」だ。斜め右の青年が二人話している。『何読んでんだよ』、『統計のさ、これ分かりやすいんだよ』、『パソコンまで出して…』、『Rを使うのさ、とにかくこれできねえとサ』。機内でも統計の勉強かよ!そう思いました。

これだけブームなら、なぜ大学に統計学部が新設されないのか…?不思議でならない。外国、特にアメリカには統計学部は普通にある。そこでは自然科学、社会科学、言語学、文学、歴史学までカバーしてデータ解析を全部教えている。麻布から立川に移転した統計数理研究所は、永らく統計学部のない日本の大学を補完する機能を果たしてきたと言われている。「補完する」などと情けないことを言わず、『あったほうが有難い統計学部ならさっさっと作らんかい!』、そう思って既に10余年、これは大学学部新設の七不思議だと思っている。

まっ、この辺りが日本では『単なるブームなんだよね』と、そんな風に卑下というか、揶揄というか、そう話しては前向きのドライブがさっぱりかかって来ない。国全体の競争優位がじわじわと劣化する。そんな状態なのであるが…。

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