2015年3月27日金曜日

株価のアノマリー健在?それとも成長率の鈍化?

『節分天井、彼岸底』と言えば兜町の格言だ。ところが、下がって当然のはずの日経平均が春彼岸を迎えても下がる気配がなかったので今年は特別か、と。そんな風に首をかしげる向きも多かった。ところが、この二、三日、調子が悪くなった。やはり彼岸底というアノマリーは健在であったか・・・。ま、日経平均は相当の高値圏にあったので下がるタイミングだったともいえる — 小生がそう思うくらいだから、やはり売る人も増えるのだな。


 Source: Yahoo! ファイナンス

下がる背景としては、例によって米株の低下が挙げられているようだ。確かに、AmazonもFacebookも最近小さいピークを作った後、冴えない動きが続いている—それでも一年前と比べれば両方とも2割程度の上昇となっているのだが。

★ ★ ★

久しぶりにOECDの先行指標(Composite Leading Indicator)を見てみると、日本はまだしも、特にアメリカ、中国の景況悪化が明瞭である。



アメリカは2014-Q4の実質GDP成長率が堅調だった前2四半期のあとやや鈍化した。その反映かねえ・・・いやいや、消費者物価指数も前年比で1月はマイナス、2月もマイナスとなり、これが続けばデフレである。10年もの国債利回りも2%未満の低レベルにある。ただ完全失業率は2月は5.5%で、リーマン危機直後の2009年秋からずっと改善傾向にある。非農業雇用者数の増加ペースにも大きな変化はない。遅行性があるものの雇用状態が悪化しているわけではない。



根本的にはやはり石油価格だろう。エネルギー価格低下は、これまでアメリカ経済全体にとってプラスに働いてきたが、低下速度が速すぎれば、価格体系に歪みが生じ、それが生産再調整を引き起こして、生産全体にとってマイナス要因になりうる。今回の成長率低下は、1970年代のOPECによる政治的な石油価格支配、21世紀初頭の中東政治不安に由来する石油価格高止まりとは一味違って、シェールオイル革命とロシア経済制裁、これにサウジアラビアなど中東産油国による価格戦略ミスが加わった石油価格のミスアラインメント。つまりは市場の価格調整メカニズム不全症。その状態が持続すると予想した各主体の行動変化。一昔前によくあった主要通貨のミスアラインメントと相通じる価格問題なのだとみる。

価格のミスアラインメントであれば、いずれ再調整される可能性が高い。近いうちに石油価格の再上昇があると予想しておく。


0 件のコメント: