2015年3月30日月曜日

私感: 大塚家具騒動

事業継承の困難を示す象徴になったのが大塚家具のお家騒動である。

おそらく家族・親子・兄弟間で複雑な葛藤がこれまでにもあったのだろうが、調べる気もないし、そもそも当人でないと分からない感情があるものだ。

ただ再建は難しいだろうなあと思う。

今後は中価格帯市場に参入するというから、価格はほどほどにボリュームを出すスタイルに移行しようと考えているのだろう。しかし、この市場はニトリが強化しようとしているターゲット市場であり、IKEAとの競争激化がますます進むであろう市場でもある。競争回避がビジネスの原則であるのに、わざわざそこに飛び込むのは愚策である。

もともと高価格を維持できる商品を値下げして販売するのなら、これは自殺行為にほかならないから、実質的にはブランド価値のある高品質商品を(実質)値下げして販売する戦略なのであろう。そうとも思われるのだな。

もしそうならば、確かに客は大塚家具の高品質商品を買うかもしれないが、高コスト商品を低価格で販売する戦術は収益が犠牲になるので持続可能ではない。約束した高配当は不可能となり、株主は離れるだろう。

創業以来のビジネススタイルは、確かに顧客の高齢化、若年層世代取り込みの弱さという問題があった。このままでは確かに持続困難であった。であれば、解決するべき経営上の問題を解決していけばよかった。良い物を高価格で売る店は今後将来もあってよい。おそらく大塚家具という企業が生き残る有望な戦略はここにあったと小生は思うが、今はどうなるかは分からない。

戦略変更は予想以上によほど至難の技である。それは説得性のある新たな理念に裏打ちされていなければならず、社内の価値観を変えなければ決して定着しない。「利益を出す」だけでは人はついてこない。実績があるならまだしも、世襲でトップの座を継承した親族に伝統的な価値基準を革新するのは土台無理なのではないか。

同社の将来は明るくはないと予想しておく。

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