黒田日銀総裁がデフレ脱却間近しと語り、大企業では久方ぶりの、それもかなりの賃上げが確実視されている。
労働市場の需給関係を示す有効求人倍率は下図のように本年1月時点で1.2に迫り、この10年間のピークを迎えている。
賃金引き上げは、何も安倍内閣が財界に要請したから実現したのではない。労働市場の逼迫化がもたらした経済的帰結であり、誰が総理大臣でも現在の労働市場では自然に生ずる結果である―このような状況に導いた功績は現在の政府と日銀にあると当局は力説するだろうが。
その中で、シャープは賃下げを選んだ。
シャープは18日、社員の賃金を減らす方向で本格検討に入った。テレビや太陽電池事業などの不振で2015年3月期連結決算で2500億円に迫る最終(当期)赤字を計上する見通しとなったためで、削減幅は数%になるとみられる。5月中旬に発表する中期経営計画で明示し、できる限り早期に実行する。(出所)毎日新聞、3月18日
同社は18日午前、15年春闘で労働組合に対し、定期昇給を凍結せず、賃金体系を維持すると回答。夏のボーナスについては、14年夏・冬の2カ月分から1カ月分に半減するとした。だが、賃金削減を中期経営計画に盛り込むことは避けられない状況で、今後、構造改革とセットで賃金の削減幅を詰め、改めて労組に提案する。
経営上の失策は利益の減少になって現れる、というかそうあるべきであって、賃下げで利益を確保するのは自傷行為に等しい。それでも間に合わなければ業務の縮小と人員削減が採るべき道であり、現時点の労働市場の下で人員を維持したまま、賃下げでコスト節減を求めるのは避けるべき自殺行為に等しい。
有能な人材から社外に流出するだろう。人員削減によるスリム化を行えば株価は上がっただろうが、今後のシャープには反対の結末がまっていると小生は見る。
0 件のコメント:
コメントを投稿